ハネスクが観客に向かって唾を吐きリタイア

(Updated)

あの11時間の死闘が繰り広げられたヒロイックな18番コートで、翌日25日に今度はウィンブルドンの汚点となる事件が発生しました。これからいろんな情報が入ってきますので、真相追求のため記事を更新していきたいと思います。

事件の張本人はヴィクター・ハネスク Victor Hanescu 28才のルーマニアの38位の選手です。彼の対戦相手は、ドイツのブランズ(98位)22才。

ハネスクはこの事件によって、グランドスラム・ルール「トーナメントを辱めるようなスポーツマンシップに反する行為に対する処罰」に基づいて、罰金(百万円相当)だけでなく、今後のGS出場停止の処分を受ける可能性が大になってきました。(昨年は全米オープンでセリーナ・ウィリアムズが処分を受けています。)

今まで何度もハネスクの試合を観たことがありますが、198cmの長身で雰囲気がカーロヴィッチに似てもの静かな性格。とても新聞にデカデカと出るような悪行為をしでかすような選手ではなかったので、大変驚きました。

真相はこれからハネスクが審議会にかけられ証言することによって明らかになると思いますが、一体ハネスクは何をしでかしたのでしょうか?

この試合を記録したビデオが見つかりましたので、下記のビデオのYouTubeを観ながら事件を紹介していきたいと思います。

第4セットの結果はブランズvsハネスク:6-7(7) 6-7(3) 7-6(7) 6-3

ハネスクは2セットをリードしながら、後半の2セットを落としてしまって第5セットに入ります。

0:30(ビデオのタイムです)
第5セットはハネスクのサーヴからですが、彼は審判のところに行って何か話しをしています。

(tennisnakama: ハネスクが何を訴えているのかよく聞き取れません。「観客の暴言に対してなのか、足の怪我に対してなのかよくわかりませんが・・・」と解説者も分からない状態で第5セットが開始。)

1:26
ブランズがネットにかけ、ポイントは15−0でハネスクがリード。再びハネスクが審判のところへ。審判は彼のリクエストを直ちに却下して、ハネスクに試合を続行することを命じます。

1:50
ハネスクは無表情で感情を表さずサーヴを続行。ハネスクがドロップショットをした時からブーイングが始まり会場がうるさくなってきました。

3:25
ハネスクがサーヴする前に会場からまた野次が起こります。審判は Ladies and gentlemen, please!と静かにするようにアナウンス。

スコアは30−30 ハネスクがサーヴする直前に野次が入り(ボールをついている段階)、ボールを転がしてしまったハネスクにまたもや野次が。

ハネスクはブレークされてスコアは0−1

ブランズは40−0で最後をエースで決める強いサーヴィスゲームで0−2とリード

6:47
第3ゲーム(0−2)でハネスクのサーヴ。サーヴをし始めてやめてしまって、会場のコーナーへ向かって歩き出しました。スコアに隠れて見えませんが、ハネスクが野次る観客たちに向かって唾を吐き、そのあと彼らに向かって何かののしりの言葉を投げかけました。

審判は直ちにコードヴァイオレーションを行ったとして、ハネスクにウォーニングを。

0−15 ハネスクはダブルフォルトで0−30

8:05
やる気をなくしたハネスクはわざと(?)フットフォルトとサーヴをアウトさせて観客からまた野次が。ラヴゲーム(0−40)でポイントをすべて落としたハネスクはまた審判のところへ。

8:40
足の怪我を理由にリタイアを申し出たハネスクの握手を審判は拒否。ハネスクは対戦相手のブランズに握手を求めて退場してしまいました。

どうやらハネスクに野次を飛ばし続けたのは4人の観客だったそうで、試合終了後に警察に連行されました。逮捕の理由は野次を飛ばしたことが直接の原因ではありませんでしたが、彼らの酔っぱらった行動が原因だとか。

ハネスクのとった行動は許されるものではありませんが、ビデオからではよく判断できませんが、もし野次を飛ばし続けられていたとしたら・・・審判は一度だけしか観客に対して静かにするように注意をしておりませんが、行き過ぎた行動にはもっと厳しく注意をしてもよかったのではないかと思います。

ハネスクは内向的な性格。観客からは野次られ、審判からはリクエストを却下されたハネスクの我慢に限度がありました。このようなプッツンの結果を招く前に、なぜハネスクはインジャリー・タイムアウトをリクエストしなかったのでしょうか。(私はその前のゲームを観ていませんので、ハネスクはすでにタイムアウトをとっていた可能性があります。故障の場所が同じであれば、ルールでは一度だけしかタイムアウトがとれないのです。しかし故障の場所が違うとタイムアウトをとることができます。)

ハネスクのとった行動は批判されて当然だと思いますが、それにしても最も残念だったのは、ウィンブルドンの観客の態度です。今までの紳士淑女のイメージがふっとんでしまいました。

イズナーとマウットが示してくれた最高のスポーツマンシップ(選手も観客も)の18番コートで、一日経てば最悪のスポーツマンシップ(選手も観客も)が繰り広げられたことに、感慨深いものを覚えます。

人間のむきだされた美醜の両極をみせながら、ウィンブルドンのドラマは続いていきます。

Brands def Hanescu: 6-7(7) 6-7(3) 7-6(7) 6-3 3-0 Retired

Reference
http://www.telegraph.co.uk/sport/tennis/wimbledon/7855932/Wimbledon-2010-Victor-Hanescu-faces-fine-for-spitting-incident.html

(Update: 6月26日)

6月26日に以下のようなウィンブルドン公式発表がありました。

ハネスクはスポーツマンシップに反する行為で7500ドル(約67万円)の罰金に、ベストを尽くさなかったプレーをしたことに対する違反行為でさらに7500ドルの合計1万5000ドルの罰金を言い渡されました。ハネスクは10日間以内にこの処分について抗議を申し立てることができます。

5 Comments

  1. p.composeさん
    私もジダンを思い出しました。今までの彼の人格、功績があれでふっとんでしまいましたものね。

    美咲さん、hiromi_12さん
    どうしてもハネスクのとった行動が理解できませんでしたので、私なりに調査してみました。次号で紹介していますが、事実を明らかにしてほしいですね。

    ゆっこさん
    アルコールを禁止されるとちょっと困ります。(笑) 問題はアルコールではなく、自己規制ができない人間たち。アメリカで感心するのは、酔っぱらいをスポーツのイベントではほとんどみかけないことです。ヨーロッパのサッカーは反対で、酔っぱらって喧嘩を売る体勢でやってくる連中が多く、スイスでも機動隊が出動することがあります。

    これはカルチャーの違いだと思いますが、酔っぱらいや人種差別の言葉が会場ではタブーなアメリカではまず考えられない事件でした。

  2. いつも楽しく拝見しています。
    そもそも場内はアルコール禁止にするべきです。なぜスポーツを観戦する場所にアルコールを飲めるところがあるというのはおかしいです(スポーツバーや家での観戦とは違います)。神経を集中させて真剣にプレイをする選手がいる現場で試合を見る客のマナーとしてはあるまじき行為ですし、そういう人たちを監視しないセキュリティにも問題があると思います。誰でも真剣勝負をしている途中で、酔っ払いの野次が飛んできたらカチンとくるのではないでしょうか。唾はき行為自体は違法行為にしても、観客の無礼行為の副産物というか、そういう場面を作り出してしまったという責任は、ハネスクだけではないと思います。
    ウィンブルドン・テニスも昔とは違って、もやは大衆化してしまっていて観客のマナーが低下してしまったということを露呈する事件だったのではないでしょうか。

  3. 本当に本当に残念なニュースですね。
    これがただの酔っ払いの言動のため起きたことであれば
    なおさらハネスクがきのどくでなりません。
    世界には色々な人がいて、政治的、宗教的など様々な
    理由で人々が対立していますが、そういったこと、もしくは
    そういう理由も無くただ単に「酔っ払っていた」ということで、
    この伝統的であるウインブルドン選手権という場においてこういった
    事が起こったのは本当に悲しい。
    選手はみなテニスを職業にしている「プロ」と呼ばれる立場。
    いかなることがあってもそれを時には飲み込まなければならない
    立場にいるということは分かってはいますが、それにしても…

    真実が明かされ、公平な判断が下ることを願うばかりです。

  4. Tennisnakamaさん、こんにちは。
    私はこの試合を見ていませんでしたが、MTFのハネスクのスレッドを読むと事の経緯が少しわかります。彼のとった行動は非難されてしかるべきとは思いますが、そこに至るまでを考えると同情せざるを得ません。
    審議会でさらに真実が明らかになるのを待ちたいと思います。
    http://www.menstennisforums.com/showthread.php?t=164459&page=9

  5. Tennisnakamaさん、こんにちは。
    とても残念なニュースですね。ハネスクは温厚な性格と聞いています。ルーマニアのテニスを背負っているとも・・・。ルーマニアの子供たちが失望しなければいいのですが。ハネスクの行為はスポーツマンとして許されない事かもしれませんが、我慢できないような状況だったのでしょうか。
    理由はどうあれ、これからハネスクは自分の行動の責任を取らなければならないのですね。
    おりしもW杯。前回のジダン選手の頭突きを思い出してしまいました。

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