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ダニエル太郎君に会ってきました

日本では聞き慣れないジュニアの日本人選手がいます。USオープンのジュニアの部門で3回戦まで進出した17才のティーンネージャーのダニエル太郎君です。

以前、ポストナダルの選手はどんな選手がいるのだろうか、とリサーチしているときに浮上してきたのが、このタロー君で、外国の姓名ということでちょっと興味を持って調べてみました。しかし分かっているのは、ニューヨーク生まれでスペインかカリフォルニアかのどちらかに住んでいるということだけ。でもハーフに違いないだろうし、私もハーフの息子をもっていますので、US オープンに来ることがあればぜひ応援に行こうと思っていたのです。

2010年9月9日USオープンジュニア3回戦

Jiri Vesely def Taro Daniel: 6-1 6-7(2) 6-0

(彼の詳しい話は次のページ)

2010年9月9日。いつもの炎天下とは違って、風が強く寒さを感じます。温度は22度くらいでしょうか。今までの観戦は40度でしたので、急激の温度の変化にとまどってしまいます。

ともかくも何とかチケットを手に入れようと、前夜やっと公式サイトのTicket Exchangeで安い切符がみつかり、ティムさんもいないので、この日は早めにでかけました。

席はがらがら。私のお気に入りの席(TVをみるような感じで、ベースライン側のスタンド)は男性が一人座っているだけです。う〜ん。やっぱりジュニアはこんなもんなんでしょうね。直感で彼から感じるところがあって、「タロー君のコーチかも」と狙いを定めて、この若い男性に話かけてみました。

やっぱり!彼はコーチだったのです。

「タロー君をガンガン応援してよろしいですか?」

「もちろん!彼は喜びますからどんどん応援してやってください。」

よ〜し!がんばるぞ!しかし誰も声を上げているものはいない。さすがの私もちょっと恥ずかしい。

対戦相手は、チェコのシード4のJiri君です。かなりうまそう。しかも左利き。第1セットはほとんどサーヴィスリターンができずに1−6とタロー君は簡単に負けてしまいました。あんまり人がいないので大声で応援するのが気がひけたのですが、もうそんなことは言ってられません。

タロー君がどれだけ日本語ができるのか分からないので、英語で大声を張り上げて応援です。Let’s go, Taro!  Keep it up, Taro!  Come on, Taro! スペイン語もできるらしいので、Vamos, Taro! もう私も必死です。

ところがどうでしょう。2セット目から私は大声で応援し始めたのですが、タロー君の調子が目を見張るようによくなっていったのです。今までおとなしかったコーチも、コートサイドコーチングにひっかかりそうなほど、声を上げています。(でも彼が言ったのは、集中しろ。頑張れ。よく見ろ。くらいなものでしたが)

面白いですね。私たちが声を上げ出したら、Jiri君がまったくリターンができなくなって、ネットにかけるエラーの連続。タロー君はフォアハンドのダウン・ザ・ラインのウィナーも決めて40−0でサーヴィスゲームをホールドしました。

いいぞ!いいぞ!タロー!

コーチに「タロー君の弱点は?」と聞くのは失礼なので、「タロー君の長所はなんでしょう?」と聞いてみました。

「タローのテニスはディフェンスがよいこと。それにコートで落ちついていること。しかしレベルを上げていくには、もっとアグレッシヴにならなければ。そして効果的なトランジション(攻めと守りの)のやり方を学ばなければならない。」(ビデオで語っています)

そうですね。ちょっとスピンがかかりすぎてラケットをこすっているような感じもして、フォアハンドの強烈な武器はこれからみたいです。それにサーヴもパワーに欠けていましたが、プレースメントがなかなかよかったです。

でもあんなにガリガリじゃ。188cmに75kgくらいといってました。息子がテニスをやっていたときもあんな感じで、まるで彼の弟のような雰囲気です。昔、息子を連れてトーナメントを巡っていた時のことが思い出されて、ますます応援に力がこもってきました。

おお!ブレークしましたよ!あっ、でもまたブレークバックされてしまった。しかしまたブーレク、そしてまたまたブレークバック。そういえばジュニアのテニスってこんな風だったです。しかしなんとかタイブレークまで持ち越して、タロー君は一気に集中力が上がったのか、7−2で第2セットを勝ち取ったのです。

シード4のJiri選手はサーヴもよく、プレースメントもよいところをついてきますが、勢いがついたタロー君を食い止めることはできませんでした。

しかし第3セットはタロー君は0−6で完敗してしまいました。フルセットを戦って負けたタロー君に話かけるというも気がひけましたので、コーチに聞いてみました。

「残念でしたね。こんなときに彼に話しかけてもよいでしょうか?」

「勝っても負けても、選手は応援してくれる人たちにはちゃんと応対するべきです。だから大丈夫ですよ。」こういう立派なコーチについているタロー君はラッキーです。

息子のジュニアの時代に負けてしまったからと言って、応援しに来てくれている人に「ありがとう」の一言も言わずにプイと去ってしまう選手をよく見かけました。くやしい気持ちは大変よく分かるのですが、ちょっと釈然としない思いがありました。負けてしまった息子に、ねぎらいの言葉をかけてくれた見知らぬ人たちを思い出します。彼は一人一人に感謝をしておりました。というわけで、タロー君がどんな反応をするのか興味があったのです。

これからも応援をしますよ!ということを一言伝えたくて、コートを去るタロー君に声をかけてみました。

日本語がどれだけできるのか分からないので、「Hi, do you remember tennisnakama on Facebook?」と英語で聞いてみたのです。汗をふきふきニコッと笑って彼は答えました。Yeah, I do.  タロー君にFacebookに、「明日は応援にいきますよ!」とメッセージを残した私に、「Thank you!」という返事が即返ってきたものですから、この子はなかなかしっかりしているとすでに好感度がかなりアップしていたのです。

彼はとても気さくに私の質問にいろいろ答えてくれました。(ビデオ)それにしても日本語がうまい!何才のときにニューヨークから日本に移ったのか聞くのを忘れていましたが、12才ころくらいまで日本で生活して、アメリカンスクールに通っていたそうですが、日本語も読めるとか。立派!

3年前からスペインに家族と移住して、すでにスペイン語もマスターして問題ないとか。頭がよさそうだし、マナーもよいし、適応能力がすばらしい。それにキュートなマスクですし、国際的に活躍できる条件がすべてそろっています。

試合の後で、再びぱったりタロー君に会うことができたましたので、今度は遠慮なくズバッと質問してみました。

「第3セット(0−6)はどうしちゃったの?」

「最初おしいポイントをいくつか落としてしまったのがいけなかった。(ラインぎりぎりのウィナー狙いがはずれたもの)あれで相手は調子をあげてきたんです。そうすると自分は固くなるし。」

スコアではコロッと負けたような印象を受けますが、結構デュースにまでもっていってタロー君は頑張っていました。しかし肝心な時のポイントがとれず、Jiri君のモメンタムを止めることができませんでした。

カリフォルニアでも親戚が住んでらっしゃるようなので、「どうしてカリフォルニアじゃなくて、スペインのテニスアカデミーを選んだの?」と聞いてみると、私が『クレーが選手を強くするスペインテニスに注目』の記事で書いたことと全く同じ理由を上げていました。ますます意見が合って嬉しくなりました。

コーチは「タローはまだまだこれから学ぶものが沢山あって4年くらいかかるだろう」と言っていましたが、まだ17才。 この若さで異国を転々とまわっているタロー君、しっかりと応援しますよ!

2010年のタロー君の主な活動

2月 トルネオ国際インカボウル(ペルー)決勝(18才部門)

5月 フレンチオープン・ジュニア2回戦

6月 ウィンブルドン・ジュニア2回戦

7月 スペインF26フューチャーズ2回戦

8月 スペインF28フューチャーズ準決勝

9月 US オープン・ジュニア3回戦

(9月11日)

タロー君のお父さんからメールが届きました!

「今回は息子についてくることができなかったので、ビデオで息子の様子が見れて本当に感謝しています。」といった内容で、17才の子供が一人で転戦しているのは、やっぱり親としてもものすごく心配な気持ちが伝わってきます。

子供たちが自分の夢を追って一生懸命に努力する。それを大人たちがサポートして夢の実現に協力する。たとえその夢が叶えられなかったとしても、そのプロセスは私たち大人にも夢を追いかける楽しさを与えてくれます。

このブログのおかげで見知らぬダニエル氏とも交流ができました。どんどん広がっていくこのテニスの輪。やっぱりテニスはやめられない!


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