サーヴィスレットをなくしたら?

国枝慎吾USオープン車いすテニス優勝』の記事で「サーヴをレットなしにすればよいのに・・・」と書いた理由の説明をしたいと思います。

「レット」とは、もう一度やりなおすという意味で、語源はネットという意味のフランス語のfiletからきているそうですが、サーヴがネットコードに触れてサーヴィスコートに入った場合は、サーヴィスレット Service Let と呼ばれ、私たちのアマチュア試合でも、このサーヴィスレットが当たり前になっています。

ですからレットのないサーヴだと「ええっ!そんな!無茶な!」と拒否反応を起こしそうですが、しかし現実にはノー・サーヴィスレットで試合を行っているところがあり、有名プロ選手のワールドチームテニスとか、カレッジの最も強いレベルの男子Division 1で適用されているのです。

ワールドチームテニス World Team Tennis は、『ヒンギスに会ってきました』の記事でご紹介しましたので説明は省きますが、残念ながら生観戦ではネットコードに当たったサーヴのリターンをみることができなかったのですが、テニスチャンネルではよく放送をしていて、これが結構面白いんです。コードに当たってポトンと相手側のネット近くに落ちてしまったら? エースです!落とされた方はショックでしょうが、ゲームに変化があって、結構楽しめちゃうのです。

カレッジでは1997年から男子のDivision 1でサーヴィスレットが廃止されてしまったそうです。つまりサーヴィスコートに入ってしまえば、ネットコードに当たろうが、レシーヴできなければ相手のポイントになってしまうのです。

しかし女子と男子のDivision 2以下のグループでは、このルールは採用されておりません。

ではなぜ男子のDivision 1だけがノー・サーヴィスレットなのか? 理由はチーティングなんだそうです。うん?どういうこと?

カレッジの男子のDivision 1はイズナーやブライアン兄弟のような選手がたくさんおりますので、プロのような超速サーヴを打ってきます。そこでレシーヴァーはエースになってしまったサーヴを、「レット」とクレームをつけてくる選手がいるのだそうです。アンパイアは実際にコードに当たったかどうか判断しかねる場合が多く、レットコールをした選手に今のは絶対当たっていないと反論しづらいのだそうです。サーヴァーは当然、あれはエースでコードに当たっていないと反論してきます。そういったいざこざを防ぐために、「いっそのこと、サーヴィスレットをなくしてしまえば、時間も短縮されて一挙両得」ということになり、廃止してしまったのだそうです。

ワールドチームの場合は、時間を短縮にするためにサーヴィスレットもアドもなしでやっています。スコアが1、2、3、4と数えて4になれば勝ちという独特のスコアリングですので、デュースはありません。

カレッジも女子の場合はデュースが認められているそうですが、男子の場合はノーアドだそうです。

ワールドチームのダブルスは、ネットコードに当たった場合は、レシーヴァーの二人のどちらでもリターンしてもよいことになっています。これって面白そ!

実際このルールでやったことのある人の話を読んでみると、生涯で一番楽しいダブルスだったとか。ますますやってみたくなりました。

最近はTV観戦でつまらないベースラインのラリーが多く、気がついていたら居眠りしていた、という場合があるのですが、もしこのノー・サーヴィスレットを取り入れてくれたら、もっとちゃんと観戦するのに・・・という意味もこめて「いっそのことサーヴィスレットをやめてしまったら?」と私は提案したのです。

スポーツ産業は過酷な競争の中にあって生存競争が激しいのですから、ATP250くらいのトーナメントで実際やってみてはどうでしょう。そうするともっとローカルのテニスファンが増えるかもしれません。テニスを特権階級のエリートスポーツにするのでなく、できるだけ大衆に近づける意味でも、「ヘッ!面白いじゃん」でいいとおもうのですが。

しかしそうなると、わざわざネットコードを狙ってサーヴをする選手がでてくるのでは?という心配をされる方がでてくるかもしれませんが、ネットコードでエースをとるのはミラクルショットですので、まずその心配は不要かと思います。カレッジで取り入れられて以来13年も続いているのですから、そんなに悪いルールではないはず。ときどき天のいたずらでゲームが逆転してしまう、というものスリルがあって面白いと思いませんか?

USTAのサーヴのルールについてQ&A:
http://www.usta.com/Improve-Your-Game/Rules/Rules-and-Line-Calls/Serve_Rulings/

6 Comments

  1. 皆さんのご意見ありがとうございます。

    テニスのルールの改正については、
    私はできるだけテニスがメジャーのスポーツになって発展することを願っていますので、どうすればもっとおもしろいスポーツに成長させることができるか、この視点が私の原点となります。

    毎回ナダルvsジョコヴィッチなどのエキサイティングな試合をみるわけにはいかないのですから、退屈な試合のときは、他の局にチャンネルをまわされないよう、もっとゲームにプラスアルファがあってもよいかな、と思っています。

    その一つにノーサーヴィスレットの導入があります。もし評判が悪ければ止めればよいのです。Kさんがオンコート・コーチングについて記事を、ということですが、これも面白いテーマですので機会があれば記事にしてみたいと思っています。

  2. いつも興味深い記事をありがとうございます。

    NCAAのノーレットは採用されていたのですね!?驚きました・・・
    記憶は不確かですが、私が経験したのが1997年の少し前くらいだったように思います。ITF(?)がUSTAに公式ルールに採用可能かのトライアウトでNCAAで試していたものだと勝手に思っていました。むしろノーアドルールの方が時短には有効かと思います。

    テニスも時代と共にルール改正がされていますが、私のブログにも一度テーマとして記事で取り上げた事があります。そこで「時短」を目指すならノーアドが有効ではないかと提唱していますよ^^
          ↓
    http://love-30.cocolog-nifty.com/blog/cat39392467/index.html

    こうゆうこと(合理化)はアメリカが本場(?)ですよね?良い変化は心を広くして歓迎しますが、テニス本来の魅力を損なうような改正は避けて欲しいと願っています。

    そんな私のようなファンにとっては「オンコートコーチング」(実は私は否定的な見解です)が気になっています。ツアーでは頻繁に行われているのにGSでは見たことがありません。
    機会があればご意見と共に記事にしていただけると嬉しく思います。

    私もユニークな切り口でテニス界に提言をしていこうと思っています。tennisnakamaさんの記事はいつも楽しみにしています^^

  3. なるほどですね。確かに草テニスと違うレベルではネットセンサ-とかなければ、ネットかどうかはわからずに主審は大変でしょうからね。

    ダブルスに限れば、プロの男子ダブルスはよほど近くで見なければボ-ルが見えないくらいであっという間にポイントが決まってしまい、面白みに欠けますのでレット無しくらいにしないと観客が集まらないんじゃないでしょうか?

    上海マスタ-ズを見に行った時にウンザリしたのですが、本当にレベルの高い男子ダブルスほど詰まらないものはありませんね。遠くの席からは、何してるか分からないんですよ。ボ-ルが早すぎて。

    男子ダブルスの人気が低いのは良くわかります。

    中国は指定席の概念が希薄で、周りでしょっちゅう席の喧嘩が起こって大変でした。

  4. そう言われてみるとレットはいらないですね。ラリー中のネットインは続行なのにサーブの時だけやり直すのはよく考えてみると変な感じ(^^;)
    確かにてにままさんのおっしゃるようにバレーボールではネットインのサーブはOKですもんね。余談ですが、バレーを見ているといつも「テニスみたいにチャレンジシステムがあればいいのになぁ」と思います。ライン際のボールや、相手選手へのワンタッチの有無に関するジャッジへの不満・抗議が1試合に何度あることか。

  5. てにままさん
    ブログのマツタケの写真は思わずゴクリ。どっと食べたい欲望が湧いて来てコメントを残してしまいました。

    さてリターンの話ですが、バウンドしなければサーヴィスリターンはできません。私がもしネットにいれば、ヴォレーで相手直撃では生ぬるいので、思いっきりトップスピンのきついストロークで前衛直撃です。

  6. 楽しい話題をありがとうございます。
    バレーボールでは既に採用されていますね^^
    全てのスポーツが日本人に不利なようにルール変更されている、と言われます。
    バレーに関してはTV局の放送時間の都合で変更?(笑)
    伝統を重んじすぎの感あるテニス・・・少しずつでも変わっていくことを願います。

    ちょっと疑問!
     >レシーヴァーの二人のどちらでもリターンしてもよいことになっています。
    前衛が取ることになった場合もワンバンですよね?
    ネットインが前衛直撃の場合、ボレーで返してもOKなんでしょうか?(爆)

Comments are closed.