2回戦でドイツのフロリアン・マヤー Florian Mayer に4セットで勝利をあげた錦織圭 Kei Nishikori は、久しぶりに納得のいく試合をやったように思います。
錦織 def マヤー:6-4 6-3 0-6 6-3
「1回戦よりずっとよいプレーができた。マヤーはむずかしい選手だけれど、彼のスライスをうまく処理できたことがキーだったと思う。」と圭君は語っていました。
私が見た印象では、圭君のショットメイキングは、確実でサイドラインぎりぎりを狙う一発勝負が少なくなったこと。いつもだとかなりのエラーでポイントを落としてしまうところを、マヤー戦ではエラーも34とかなりすくなくなってきています。ウィナーは43本打ってますので、同じ4セットの1回戦のフォニーニ戦とくらべて、エラーが18も減り、しかもウィナーが13本も増えるという、合計31ポイントの差があり、高い確率のテニスを展開しました。
しかし圭君は相変わらず最初の数ゲームは、調子がなかなか上がらず、1stサーヴも44%と低率。それでもリターンがよいので、第1セットの第7ゲーム(3−3)でブレークしたまま、何とか切り抜けましたが、2ndサーヴが弱いので、リターンエースを3度もとられてしまいました。しかし圭君のフォアハンドのダウン・ザ・ラインは目の覚めるようなスピードで、何度もウィナーをとることができ、すごい武器となってきました。バックハンドのクロスでもウィナーがとれる圭君は、マヤーを左右に翻弄して第1セットと第2セットの両セットを勝ち取りました。
しかし問題は第3セットです。
2セット勝利で安心したのか、圭君のテニスにインテンシティーがなくなってしまいました。フォーカスもはずれ気味。しょっぱなの第1ゲーム(0−0)からエラーでブレークされ、また第3ゲーム(0−2)でも再びエラーでダブルブレークという事態を招いてしまいました。第5ゲーム(0−4)ではマヤーがギアアップして、フォアハンドのウィナー、リターンウィナーとアグレッシヴな攻撃をかけ、ついにモメンタムがシフトしてしまいました。圭君はここで無駄なエネルギーを使って戦うよりは、負けて次の試合に賭けることに決めたのか、あっさりとベーグルの0−6で負けてしまったのです。
このような試合運びは、2008年のUSオープンでのフェレール戦でもみられました。得点の開きが大きくなると、そのセットを捨てエネルギーを蓄え、次のセットで全力で戦う。この賭けはフェレール戦でも成功しています。この試合では、第4セットは2−6で無理に戦うことはせず捨て、5セットの最終セットに賭けたと彼は語っていました。そのかいあって圭君はフェレールに7−5で勝つことができましたが、この作戦はベルダスコには通用するかどうか? 最初から最後まで気をぬくことなく、インテンシヴに戦っていかなければ、あの強靭なベルダスコを打倒するのはむずかしいと思います。
さてベルダスコですが、2セットダウンから奇跡的にカムバックして、2-6 4-6 6-4 7-6(0) 6-0でティプサレヴィッチを破ってしまった根性はさすがでした。最初の2セットは、ティプサレヴィッチの撹乱作戦にリズムをとれずにエラーの重ねていたベルダスコですが、最後まで自分のプレースタイルを変えず、一発勝負でエラーを恐れないで打っているうちに、ティプサレヴィッチが疲労も手伝ってハイレベルを維持することができなくなってしまいました。
モメンタムが第3セットでシフトしてしまってから、ベルダスコはエラーを恐れずにティプシーをアタック。最終セットの5セット目でガス欠してしまったティプシーは、もう挽回できないと諦めたのか、あっさりとベーグルで敗退してしまいました。
錦織圭がベルダスコに勝つには
サーヴのパターンを変える
マヤーとの試合で気づいたことですが、圭君のサーヴがワイドサーヴに偏ってしまっていて、最初はマヤーを苦しめましたが、後は彼にサーヴを読まれてしまって、ブレークされがちになっていました。ベルダスコは左効きですので、アドコートのワイドサーヴは彼のフォアハンドです。両コートともほとんどがTを狙わないサーヴですが、ときにはミックスして予想をはずすということもやらなければブレークされそうな気がします。
1stサーヴの確率をあげる
2ndサーヴが弱いので、アタックされブレークされやすいのが圭君の最大の弱点。今さら2ndサーヴを強くすることはできませんので、1stサーヴの確率を上げるしかありません。
ベルダスコのエラーを誘う
ベルダスコはあくまでも強気で攻めてくる一発勝負の選手です。そのためにエラーが多いのですが、そのかわりウィナーも多いアグレッシヴなプレーをしてきます。その彼に対抗するには、同じくアグレッシヴに、しかも速いテンポで攻めることが必要だと思います。
圭君のフォアハンドのダウン・ザ・ラインは最強の武器ですが、これはベルダスコのフォアハンド側にうつことになり、左効きの彼に同じ効果がえられるかどうか。しかしフォアハンドのクロスはベルダスコのバックハンド側にうつことになりますので、クロスのパターンも混ぜながら、左右に揺さぶりをかけ、ベルダスコのバランスをくずすことが先決問題。そして隙をみてネットラッシュを重ね、絶えずプレッシャーを与えること。
短期速攻でストレート勝ちを狙う
体力ではいくら5セットをやったといえベルダスコの方が優っているはず。長期戦になればベルダスコが有利ですので、アグレッシヴに攻め早くポイントを決める速攻が必要。ドロップショットや意外なショットで、得意の圭君の撹乱作戦が実践できればベスト。
フォーカスを途切れさせない
今日のようにフォーカスが途切れてしまうと、マヤーに勝ててもベルダスコには勝てません。今日のティプサレヴィッチとの試合で、ベルダスコがみせたように、相手の隙を狙ってどんどん調子を上げ、最後には手がつけられなくなるのがベルダスコです。最初から最後までインテンシティーを保ち続けなければ、ベルダスコにモメンタムがシフトしてしまいます。
ではベルダスコの錦織作戦とは?
錦織に対する作戦は?という質問に、ベルダスコは次のように答えています。
「彼はギルバートのようなコーチを迎えたのだからゲームは向上しているはずで、タフな試合になると思う。グランドスラムの3回戦はいつもタフなのだから。彼との試合は、今日の第3セットや第4セットでやったことをやるつもりだ。アグレッシヴにプレーする、ビッグサーヴ、そして最後まで諦めずに全力を尽くして戦う。」
一日も早くトップ50になりたい
マヤーに勝ったときの記者会見では圭君はこのように語っていました。
「インドのチェンナイでよいプレーをやって自信をもった。そして今日もマヤーのような選手を破ったことによってますます自信が深まった。僕のゴールはできるだけ早くトップ50になること。ヘルシーでよいプレーをすれば、そのゴールも近いと思う。」
(ギルバートのコーチングについて)「昨年の12月から常時ではないけれど、彼のコーチングが始まった。全豪オープンでは彼はESPNの仕事があるけれど、毎日彼とは話をして作戦をかえたりしている。彼からは、コートではもっと安定すること、1stサーヴの確率を上げること、などのアドヴァイスを受けている。」
ギルバートが言うように、圭君にとってはコートでの安定が最大の課題だと思います。マヤーとの試合では、第3セットを以外は実に落ち着いていましたし、無理なショットメイキングも控え、確率の高い、しかもアグレッシヴなプレーをしていました。
圭君はサーヴの確率がよければ、ひょっとしてひょっとです。もし圭君が勝ってしまったら? 何と4回戦はベルディフですよ!
Day 4 Day ハイライト
Day 4 Night ハイライト
【Day 4: 1月20日】
★ナダル def スウィーティング:6-2 6-1 6-1
★ソダリン def ムラー:6-3 7-6(1) 6-1
★マリー def マルチェンコ:6-1 6-3 6-3
★フェレール def ラッセル:6-0 6-1 7-5
★ユズニー def カフチッチ:6-3 6-1 5-7 4-6 6-1
★メルツァー def リバ:6-2 6-4 6-2
★ツォンガ def セピ:6-3 7-6(1) 7-6(5)
★チリッチ def ヒラルド:6-3 7-6(1) 6-1
★イズナー def ステパネック:4-6 6-4 6-2 6-1
バグダティス def デルポトロ:6-1 6-3 3-6-6-4
★ラオニッチ def ヨドラ:7-6(3) 6-3 7-6(4)
★ベランキス def ナルバンディアン:6-1 6-0 2-0 リタイア(病気)
★ヘルニッチ def ベルーチ:6-2 6-7(11) 6-4 6-7(3) 8-6
トミッチ def ロペス:7-6(4) 7-6(3) 6-3
Related posts:




最近のコメント