ジョコヴィッチ(ジョコビッチ)決勝へ:ツォンガが突然リタイア

August 14, 2011 Montreal Rogers Cup

ジョコヴィッチ vs ツォンガの準決勝は、第2セット0−3でツォンガがリタイアしてしまい、あっけなくジョコヴィッチの勝利となってしまいました。

ジョコヴィッチ def ツォンガ:6-4 3-0

ツォンガは今までどこにも異常が見られないパワフルなパーフォーマンスをしていただけに、彼の思いがけないリタイアに会場からブーイングが。解説者もあっけにとられて何が起こったのかよくわからず、ツォンガが右腕をさして主審に説明しているところから、たぶん右腕が原因だということは想像がつくくらいでした。

何とも納得のいかないこの結末に、ブラッド・ギルバートは失望を隠せず「ツォンガは大金を払って観に来てくれているお客に対しても、最後まで戦ってほしかった。」と準決勝をしめくくりました。[private]

フェデラーを破った不敵のツォンガが、どのようにNo.1のジョコヴィッチと対抗するのか、全世界のテニスファンが楽しみにしていた試合だけに、この中途半端な終わり方はやはり納得できないものでした。

まず、ツォンガはサーヴもストロークも申し分なく、特に第8ゲームなどは、ミサイルフォアハンドのインサイドアウトでジョコヴィッチのバックハンドを攻め、浮いたカウンターショットをネットラッシュでドライヴヴォレーでウィナーを決めるなど、スーパープレーをやっていたのです。

しかし第10ゲーム(4−5)で、バックハンドのエラーを2度、そして30−40でヴォレーをネットにかけてブレークされて第1セットを落としてしまいましたが、これ以上はプレーできないという状態ではありませんでした。

第2セットに入ると、ツォンガはチェンジオーヴァーで、右腕を指差しながら笑顔で主審に話かけています。たぶんトレーナーのリクエストだったと思いますが、このとき彼は笑ってましたので、とてもリタイアするとは誰も思わなかったのです。トレーナーを呼ぶこと事態が意外な感じがしたくらいですから。

次のチェンジオーヴァーでは、やってきたトレーナーに右腕をみせることなく、ツォンガは主審にリタイアを告げて退場してしまいました。

私はこういうリタイアの仕方に大きな失望を抱きます。エナンの時もそうでしたが、全豪決勝で胃が痛いと訴え突然リタイアしてしまいました。ガンガンと打っていたエナンでしたから、観客はもうびっくり。ツォンガもエナンに似たケースだったと思います。

戦えた試合だったにもかかわらず、このままでは勝てない、勝てないのならリタイアしてしまう・・・このような印象を与えてしまう唐突なリタイアの仕方は賢明ではないと思います。こんなかたちで勝ってしまった選手は気の毒ですし、もっと気の毒なのは切符を買った観客です。リタイアをしてはならないとは言いませんが、問題はリタイアの仕方なのです。

感動的だったポスピシルの戦う姿勢

モントリオールで対照的な試合だったのは、チェラと戦ったカナダの新星、ポスピシル Pospisil の試合です。カナダのスター、ラオニッチが腰の手術でロジャーズカップを欠場してしまい、失望を隠せなかったカナダにセンセーションを起こしたのは21歳のWCの青年でした。

(Photo: ©tennisnakama.com)

第3セットで、ポスピシルは突如足に痙攣を起こしてしまったのです。とても歩ける状態ではなく、トレーナーからマッサージを2度受けましたが、本当に痛そうで、足を引きずっています。

(Photo: ©tennisnakama.com)

しかし彼の頭にはリタイアするという想いはありませんでした。片足だけでなく両足に痛みを抱えながら、会場の声援を支えに彼は最後まで戦い抜いたのです。しかもベテランのチェラを堂々と破ってしまったのでした。マイケル・チャンがサーヴをできる状態ではなく、レンデルにアンダーサーヴをしながら勝ってしまったあの執念の全仏オープンを思い起こす壮絶な試合でした。

(Photo: ©tennisnakama.com)

私はカナダ人ではありませんが、もう夢中でこの青年を応援してしまいました。彼がウィナーをとるたびに観客は総立ちになって拍手。これがスポーツの醍醐味ですよね。有名、無名は関係ないのです。この試合だけでもモントリオールまで来てよかったと思ったくらいです。

ツォンガにそこまでやれとは言いません。しかしこの試合はマスターズの準決勝なのです。この一試合のために前席は10万円以上の値札がついている高価な試合。私が一番ひっかかるのは、ツォンガがジョコヴィッチに握手のときにつぶやいた言葉です。もしこれが本当だとすれば、こういうことを言ってはモントリオールの客は怒ってしまいます。

”I want to make sure I can play next week” つまり「来週のシンシナティーに欠場するようなことはしたくないからね。」という意味。

怪我をしてまでプレーをせよとは言いません。しかし、せめてトレーナーを呼んでマッサージをするなどの努力をすれば観客も納得したと思います。

試合後のビデオでも「腕無しでジョコヴィッチに勝てるとは思わないからね。」とツォンガは冗談ぽく語ってましたが、実際切符を買ってわざわざ遠方から来たテニスファンにとっては面白くもない冗談。

サンプラスがサフィンにUSオープン2000決勝で、あっけなく1時間38分でストレート負けをしてしまったときに、口惜しい気持ちにもかかわらずサンプラスが開口一番に言った言葉はSorryでした。

「高い切符を買って観に来てくれた皆さん、こんな短い試合になってすみません。」

これこそプロの言葉です。GSはオリンピックではありません。観客をエンターテインするという大きな目的があります。決勝にふさわしい試合をする努力をするのがプロなのです。できなかったときはファンに謝る。こういう選手がいなくなってしまいましたね。

リタイアせざるを得ない選手は、まずマイクで観客に事情を説明してほしいと思います。観客にとっては何が起こったのか分からないのですから、突然退場されてしまっては釈然としないのは当たり前。切符を買った人たちに理由を説明するのが当然の義務だと思います。その後できればサインボールを会場のファンに10個くらいは投げるサーヴィスもしてほしい。

シンシナティに出場するツォンガ

記者会見で「QF以来、毎日痛みがどんどん激しくなって、今日の試合では打てない状態になってしまった。」とリタイアの理由をツォンガは語っていましたが、今日からすでに始まっているシンシナティに出場するみたいです。試合直後にツォンガはウルトラサウンドを受けましたが、腕には異常はみられなかったとか。1回戦はチリッチとなりますが、わずかの2〜3日の休養で激痛を完治させることができるのでしょうか?

何度も怪我をして長い休養を強いられてきた過去を持つツォンガです。ここは無理をせず、シンシナティーは欠場した方がよいのでは。

そうでなければ、また ”I want to make sure I can play US Open.” なんてことを言ってリタイアしてしまえば、今度はブーイングだけでは済まず、いろんな物がツォンガに向かって飛んでくるかもしれません。気をつけてくださいね、ツォンガ。

1 Comment

  1. 誠意の問題でしょうね。
    自分達の賞金がどこから出ているのか?考えたら、そんなに
    アッサリした態度はとれないでしょう。

    ケガはつきものだし、無理はしないで欲しいとは皆思っているけど
    10万円のチケットを買った人はお気の毒。

    何でもそうですけど、プレーだけでなく人間性を知って、
    そのプレーヤーを応援する気持ちが強くなるので、今後の
    彼に対する見方は変わってしまいますね。

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