October 14, 2011 Shanghai Masters
余裕をもって6−46−3でドルゴポロフを破り、いよいよ錦織圭が準決勝進出を決めました!すばらしいですね!
冷静に自身のテニスを貫いた錦織圭
ドルボゴロフ(名前が長いのでこれからニックネームでドッグと呼びます)のような選手に勝つには、粘って彼のエラーを待てばよいと書きましたがその通りになりました。
ドッ グはファンシーなプレーを好んでしますので、観戦する方は面白いのですが、コンシスタンシー(安定性)に欠けるのです。ウィナーをとって華麗に決めるのも テニスですが、相手にエラーを起こさせるテニスも立派なテニス。相手にエラーを起こさせる方が高等な技術と作戦を必要とします。つまり成熟したテニスを圭 君がやってくれたのです。ドッグのエラーは31。圭君は18。このスタッツが試合の全容を物語っています。
若い選手はとかくウィナーでス パッときめたがるのですが、じっくりと攻めることが出来ないのが難点。以前の錦織のプレーもたぶんに辛抱しきれないプレーが見られましたものでしたが、こ の試合では実に冷静にじっくりとドッグを攻めました。これは自身のショットに自信があるからこそ出来たのでしょうが、ショットもメンタルも成熟度が感じら れます。
マリーに勝つには:
いよいよ夢のような準決勝がやってきました。対戦相手はマ リーかエブデン。たぶんマリーが上がってくると思いますが、マリーはじっくりと攻めてくるタイプですので、今度は先手をとってアタックすることが必要。し かしマリーのサーヴがよいので、いくら圭君のリターンがよくてもブレークは至難の業となるでしょうね。
マリーのBHクロスはジョコヴィッチ に負けないウィナーがとれるハイレベルですので、圭君は今日のようにBHクロスでラリーをやるのは危険です。ですからダウン・ザ・ラインを使ったスクラン ブルでマリーを左右に振っていくしかないでしょうね。しかしダウン・ザ・ラインはウィナーレベルのショットを打たないと、逆にオープンコートにウィナー返 しを受けてしまうので、これも大変むずかしい。
圭君のネットラッシュは要注意です。余程のきびしいショットを打ってマリーのカウンターショットを浮かさない限り、ネットラッシュをするとパッシングショットの嵐に合います。
とにかく落ち着いてエラーをしない。焦らない。アグレッシヴに早めに攻める。つまり自分の得意な錦織テニスを冷静に実践できれば、ひょっとして・・・ひょっとです。フタを開けてみないと分からないのがスポーツの面白さ。がんばれ〜!圭君!
上海マスターズQF:錦織 def ドルゴポロフ:6−46−3
第1セット:ドルゴポロフのサーヴが入らない
第4ゲーム(ドルゴポロフ vs 錦織:2−1)まではBPにもならず二人はサーヴィスゲームをホールドしてきましたが、ドルゴポロフ(ドッグ)の武器のサーヴが入りません。1stサーヴは24%という最低の率。圭君は50%ですので、ここでかなり圭君は気持ちの上でプレッシャーが減ったのではないかと思います。
第5ゲーム(2−2)ドッグのサーヴィスゲームでチャンスが訪れてきました。圭君がドッグの2ndサーヴを狙って猛烈なスクランブル攻撃をかけてきました。
最初は回りこんでFHのウィナーで0−15
ネットラッシュをしてプレッシャーでネットにかけてしまって0−30
圭君の丁寧なショットの組み立てでドッグを左右に振って、最後はドッグのBHコーナーをつくすばらしいショットで、上がってきたカウンターショットをネットで処理して0−40。
最後は圭君がサイドラインぎりぎりにアングルショットを落とし、ドッグの上がってきたボールをネットで処理。圧倒的な強さでドッグをブレークしてしまいました。このブレークによって圭君は気持ちの上でも、かなり余裕ができたように思います。
第6ゲーム(2−3)圭君のサーヴです。ブレークした自信で圭君は一挙にアグレッシヴに攻め始めました。ネットラッシュをし始めたのはよいのですが、ラッシュするときのタイミングが問題。ドッグにパッシングショットでウィナーを決められたり、圭君がヴォレーをネットにかけたり、あれよあれよと0−40になってしまう大危機を迎えてしまいます。
しかし今までの上海での危ない試合を勝ち越してきたせいか、じっくりと攻めればゲームは取れる!という自信があったのだと思います。
このラヴ−40からの危機をどのように切り返したのか、すばらしいので一つ一つ説明します。
(0−40)圭君はショートボールをわざと打ちドッグをネットへ。ネットポジションが十分でないドッグに圭君のパッシングショットが決まってウィナー
(15−40)ドッグがリターンエラー
(30−40)DのBHスライスがあまいのを利用して、圭君はコーナーへ打ち続け、回り込んでFHウィナーでデュースへ
(40−40)長いラリーを辛抱強く続け、ドッグがネットにかけるエラー
(アド)圭君がサーヴィスウィナーを打って、サーヴィスゲームをホールドしました。VRAVO!
3つのBPを逃してしまった失望と怒りのドッグは、ショットに安定性を欠いてきました。圭君の思うつぼです。バンバンとサーヴィスエースを打ってくるドッグに惑わされることなく、圭君は焦らずに、固くならず普段通りの錦織テニスをやり通しドッグの自滅を待てばよいのです。
第10ゲーム(4−5)圭君のServing for the setです。
圭君はFHを大きく出して0−15。かなり緊張しているのが分かります。
今度はネットラッシュしてヴォレーをネットに欠けるエラーで0−30。
ちょっと危なくなってきました。しかしここで圭君は冷静にしぶとくインサイドインのFHを打ち続け、ドッグはカウンターショットができず15−30。
圭君のサーヴがT字に落ちてサーヴィスウィナーで30−30。やっと楽になりました。
圭君がコーナーにショットを打って不意打ちのネットラッシュ。ドッグはパッシングショットをネットにかけてしまいました。40−30
今度はドッグがネットラッシュでプレッシャーをかけてきます。しかし圭君はネットにいるドッグにパッシングショットを見事に決め第1セットを勝ち取りました。
圭君のテニスの魅力はショットの組み立てにあります。まるでチェスゲームをみているようなスリルがありますが、今まではゲームに夢中になって重要なポイントを落としてしまうことがあり、ディシプリンに欠けていました。重要なポイントは落とさない!これが勝つテニスです。圭君は勝つテニスをやってくれました。
第2セット
セットを落としてしまったドッグはますます苛立ってきています。あとは圭君がエラーをせずにラリーをつづけ、どんどんドッグのエラーを増やせばよいのです。
第3ゲーム(1−1)ドッグのサーヴです。圭君のBHリターンが深く決まりドッグは苦戦。40−40のデュースを3回続けて圭君をしぶとくドッグを攻め続けます。ドッグがサーヴ&ヴォレーをやりヴォレーをネットにかけてしまってBP。ここで圭君の目の覚めるようなBHのクロスリターンがサイドラインに落ち、慌てたドッグはカウンターショットするのが精一杯。ショートボールになってしまった球を圭君はお得意のドロップショットでウィナーを決めブレークに成功しました。
この時点でドッグのサーヴは45% 圭君は58%。 二人ともサーヴがよいとはいえませんが、ドッグのサーヴは相変わらず1stサーヴが入らずに苦戦しています。しかも圭君のリターンが深く攻撃したくても出来ないドッグの苛立ちが目立ってきました。
第4ゲーム(1−3)ドッグのサーヴですが、ここでドッグは焦りまくってエラーが増え3度のBP。圭君は気持ちよくFHのウィナーをダウン・ザ・ラインに決め余裕のプレー。3度目のBPでドッグはダブルフォルトをしまい、最悪の自滅のダブルブレークとなってしまいました。(もうここまでくれば圭君はあとはエラーをしなければよいのです。)
しかし!やっぱり恐るべきことが起こってしまいました。圭君が油断をしてフォーカスが途切れてしまったのです。
第5ゲーム(1−4)7割まで上げた1stサーヴが急に入らなくなってしまったのです。BHもネットにかけたりエラーが増えてきました。あっという間に0−40となってしまいました。BPでドッグはFHのダウン・ザ・ラインのウィナーを決めてブレークバック。あまりにもあっけなくゲームを落としてしまった圭君が心配になってきました。ここでドッグが勢いをつけてアタックしてくるかもしれず危ない。
案の定、第6ゲーム(2−4)ではドッグはガンガンと攻めてきました。自信を回復してきたようです。最後はエースでゲームをホールド。
しかし圭君は冷静にサーヴィスゲームを確実にホールドしていきます。
第9ゲーム(3−5)ドッグのサーヴィスゲームです。
ドッグのBHがロングで0−15
ドッグのロブが出てしまって0−30
圭君がコーナーへきびしいショットを。ドッグはカウンター出来なくてネットにかけ0−40。おお!マッチポイントです!
ドッグがBHをネットにかけてしまって圭君の勝利が決まりました!
解説者が圭君のプレーをみて、He is as cool as cucumber. と賞賛していました。直訳すると「彼はきゅうりみたいに冷えている」になりますが、このクールは落ち着いたという意味で、きゅうりは冷やっとしているところから、このように表現します。
これからは、圭君のスローガンは「きゅうりになろう!」ですね! おめでとう!
(追記)マリーがエブデンを倒しましたので、準決勝はマリーに決定しました。
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