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スペインデ杯優勝:ナダル def デルポトロ(試合解説)

December 4, 2011 (全文公開)

スペインがアルゼンチンを3勝1敗で破り2011年度デ杯優勝を決めました。スペイン選手層の厚さはテニス歴史においても例をみず、スペイン黄金時代を築きあげましたが、来年のデ杯はナダルを始め多くのトップ選手がオリンピックのためにデ杯欠場をすることが予想されるため、デ杯のクウォリティーが懸念されています。

2012年はスペイン新チーム誕生?

記者会見でナダルは2012年のデ杯を欠場することを発表しました。フェレールは30歳という年齢からも、来年は若い後輩にゆずりたいと語っていますので、スペインは全く新しいチームが誕生する可能性が高くなってきました。

スペインからは4名の選手にオリンピックの出場権が与えられますが、トップ選手の全員が出場を希望しているだけに狭き門となります。出場はランキングの高い順に3名。そしてWCの1名となる予定で、ランキングに変化がなければスペインの貢献度とともに、現在のデ杯チームのナダル(2位)、フェレール(3位)、Fロペス(20位)、ベルダスコ(24位)にオリンピックの出場権が与えられるはず。

しかし、ナダルやフェレールが抜けてしまっても、ロペスとベルダスコはたぶんシングルスの選手としてデ杯に出場してくると思いますが。問題はジョコヴィッチです。身体の完全回復が懸念されるだけに、デ杯とオリンピックについて真剣にスケジューリングについて考慮しなければなりません。トップ選手たちの動向が注目される2012年です。

ナダル def デルポトロ:1-6, 6-4, 6-1, 7-6(0)

(あまりにも長くなりましたので、重要だと思う箇所を太字にしました。)

第1セット:ナダル vs デルポトロ:1−6

第1ゲーム:(N0−D0)デルポトロのサーヴ

ナダルはこの試合に絶対勝たなくてはならない使命を負っていますので、かなり緊張している様子。デルポトロは初日に勝てたフェレール戦を5セットで落としてしまい、どうしてもナダル戦は不可能であっても勝たねばなりません。しかしデルポはBP(ブレークポイント)でダブルフォルトをおかして自滅のブレークを招いてしまいました。疲労困憊のデルポが勝てるとは思いませんが、このままでは惨憺たる負け方をしてしまいそう。

第2ゲーム:(N1−D0)ナダルのサーヴ

まだまだ二人の緊張度が大きく、リズムを得られず何とかサヴァイヴしているようなプレーです。めずらしくナダルがサーヴ&ヴォレーをしました。しかしヴォレーをネットにかけるエラー。そしてBPでドロップショットを失敗してナダルもデルポ同様に自滅のブレークを招いてしまいました。ナダルはやり慣れていないことを試合の始めにやるのは賢明ではありません。

第3ゲーム:(N1−D1)デルポトロのサーヴ

デルポの作戦はあくまでもアグレッシヴにナダルに時間を与えずにベースラインから攻撃すること。この攻撃を可能にするのは、デルポのFH(フォアハンド)のミサイルフラットです。エラーを恐れずにデルポはウィナーを狙って打ってきます。フェレール戦で敗退したものの、デルポにとってはナダル戦のよい練習になったようで、FHとBHが深く決まっています。

それに比べてナダルのリターンは相変わらずショートでデルポに叩かれてしまいました。ナダルはデルポのフラットな速球にリズムを得られず苦戦。

第4ゲーム:(N1−D2)ナダルのサーヴ

会場は興奮状態におちいってゲームが中断してしまいました。あまりにもアルゼンチンの応援がうるさくてナダルはサーヴができません。アルゼンチンの応援団はデルポの性格をよく知っていますので(応援をエネルギーにかえてプレーの質をあげることができる)、必死の応援をくりひろげます。アルゼンチンのキャプテンもデルポトロも、応援席に向かって手をあげ静かにしてくれるようお願いしました。このあたりはデ杯でなければ味わえない面白さです。

アルゼンチンの応援に負けじとスペインはそれ以上に応援を。しばらく応援合戦が続きましたが、ナダルがこの中断でよりプレッシャーを受けたのか、BH(バックハンド)のダウンザラインをミスってしまい、ダブルブレークを許してしまいました。逆にデルポトロは応援で力を得たのか、どんどんとFHのウィナーが決まっていきます。

第5ゲーム:(N1−D3)デルポトロのサーヴ

デルポトロは武器であるサーヴが入りません。トスがうまくいかないようだと解説者が指摘していましたが、TVではよくわかりませんが、1stサーヴが入らないので、2ndサーヴをぎりぎりに入れなければならず、またダブルフォルトをおかしてしまいました。しかしナダルのリターンがショートなので、リターンを叩いてウィナーを。フェレールのリターンは深く鋭くついてデルポを困らせましたが、ナダルはもっとリターンを磨く必要があります。

ナダルがもたついているとはいえ、ディフェンス力はすばらしく、デルポはラインぎりぎりのウィナー狙いを打たなくてはならず、エラーをおかしてデュースを繰り返しています。3度デュースでデルポはめずらしくネットラッシュしてスマッシュが決まりました。そしてGP(ゲームポイント)ではデルポがBHのクロスウィナーをコーナーに決め、ようやくゲームをホールドしました。デルポのBHのレベルの高さはジョコヴィッチより勝り、解説者はプロの中ではベストだと言ってましたが、今日の彼をみていると納得。

2度のブレークチャンスを失ってしまったナダルはかなり焦っているように見えます。

第6ゲーム:(N1ーD4)ナダルのサーヴ

波にのったデルポは自信に溢れ、FHダウンザライン、FHインサイドアウトのリターンエース、FHダウンザラインの3つのFHウィナーで早くもナダルを0−40に追い込みます。ダイナミックで爆発的なFHは2009年で優勝したあのデルポを彷彿とさせます。

しかし勝ちを意識し始めたデルポにエラーが続き40−40のデュースになってしまいました。せっかくデュースに戻したナダルでしたが、エラーを重ねてまたもや自滅のブレーク。ナダルらしくない冷静を欠いたプレーです。デルポの圧倒的なファイアーパワーに圧されてしまっているような感じがします。

第7ゲーム:(N1ーD5)デルポトロのサーヴ

完全にデルポトロのペースになっていますので、簡単にセットをとれそうな感じだったのですが・・・セット勝利を目前に、勝ちを意識しすぎたデルポはエラーを重ねて0−40のBPに。本当にこの二人は一体どうなってるの?

しかしさすがは全米オープンの優勝者だけに、ガッツのあるウィナー連続でデュースへと挽回。ナダルがデルポのウィナーを許してしまっている原因に、ナダルのポジションがベースラインから下がりすぎてしまっていること、そしてカウンターショットがあまいことがあげられます。これはナダルが固くなったときの悪い癖で、早く直さなければなりません。

しかしクレーの王者は苦戦しながらもしぶとくラリーを続け、デルポにエラーを誘いました。とりあえずナダルは足で球をとりまくるディフェンステニスに。まだ自分のショットに自信がもてないナダルはできるだけ試合時間を延ばすことによって、デルポの疲労度を増す作戦に出ました。デルポが疲れきってしまえば、今決まっているウィナーショットも打てなくなるはず。

しかし3度のBPを乗り越え、なかなかセットポイントをとれなくて焦るデルポも、やっと3度目のGPでナダルのドロップショットをBHクロスのウィナーで決め、第1セットを勝ち取りました。

1stサーヴが入らないにもかかわらず1−6でセットをとったデルポは、ベースラインから攻めまくりました。ナダルの高くバウンスするショットも、長身のデルポにとってはちょうど打ちやすい打点となり、ウィナーを早めに打つことができます。特にバックハンドが気持ちよく決まっているのは、ジョコヴィッチとともにデルポは高い打点を得意とする選手で、ナダルの球は餌食になってしまうのです。

第2セット:ナダル vs デルポトロ:6−4

第1ゲーム:(N0−D0)ナダルのサーヴ

ここで気分を変えてナダルが攻撃してくるかと思っていたのですが、なかなかそうは簡単にいかないようです。第1セットをひきずってデルポに自由にウィナーを打たせています。しかもサーヴに全く威力がありません。プレースメントもパワーもなし。一体どうした!?

デルポはますます自信を得たのか、ミドルからFHインサイドアウトでコーナーを狙うジョコヴィッチ的なウィナーを決めました。恐ろしいショットです。ナダルは0−40でFHをネットにかけるエラーでブレークされてしまいました。

自信のないナダルのショットが続いています。テニスが小さくなってしまっています。奥深く潜んでいる自信のなさが浮き出てきた感じがします。モナコに完勝しても自信につながらないことがよくわかります。やはりトップに勝たなければ真の自信にはならないのでしょう。

第2ゲーム:(N0ーD1)デルポトロのサーヴ

この第2ゲームが試合のターニングポイントになったとナダルが語っています。エースやドロップショットで簡単に40−0にしてしまったデルポに心の隙ができたようです。それとサーヴがなかなか決まらないこともナダルに「これなら攻撃できる」という自信を持たせたのかもしれません。

急にナダルが攻撃的なショットを打ち始めました。まずはFHのリターンウィナー。強気のリターンで攻め、デルポはネットにかけてしまい40−40へ。あと2ポイントでデルポをブレークすることができます。1stサーヴが入らないデルポはプレッシャーが大きく、勝ち急いでFHを2度出してしまって自滅のブレークを招いてしまいました。

フェレールとの長期戦がこたえているデルポはもうすでに疲れてきていますので、ラリーを避け出来るだけ早くポイントをとるために、アグレッシヴなプレーをし続けていかなければなりません。エラーが当然増えてきます。しかもサーヴが入らない。この二つの弱点をナダルは嗅ぎ取ったのです。

昨日は一日中外に出てましたので、記事が中断してしまいました。ここから更新です。

第3ゲーム:(N1ーD1)ナダルのサーヴ

ナダルはデルポの40−0からブレークバックした第2ゲームで自信を得たようです。相変わらずショットは短めで、デルポからウィナーを狙われていますがディフェンス力でカヴァー。しかもむずかしいポジションからオフェンスへのトランジションが実にすばらしく、デルポのウィナーに対して、パッシングショットのウィナーで逆襲。ナダルが最も得意とする、またテニス界ではベストと言われる「ディフェンスからオフェンスへのトランジション」を発揮。

しかしナダルはまだベースラインから下がりすぎで、デルポにウィナーを取られてBPに。しかしエースでデュースに挽回したナダルはしぶとくデルポに食い下がって対抗。ようやくデルポのエラーでブレークを免れました。

しぶといメンタルをみせたナダルのプレーでした。しかしメンタルだけでは勝てません。ディフェンスだけでは守りきれないデルポの攻撃テニスにチームがうるさくアドヴァイスしているようです。ナダルがイライラしてベンチに向かって叫んでいます。

第4ゲーム:(N2−D1)デルポトロのサーヴ

疲労のためか、なかなかポイントを決められずにもたついていたデルポでしたが、ナダルのショートボールに力を得て、ウィナー狙いで攻めてきます。ナダルもデルポの2ndサーヴをアタックしてFHのダウンザラインでウィナーを決めました。ナダルがやっとリターンを攻撃的に攻め始めました。しかしデルポはFHとBHは崩れずウィナーで40−15と無理なくゲームをホールドしました。

第5ゲーム:(N2ーD2)ナダルのサーヴ

デルポの疲れが見えてきたと同時に、やっとナダルにリズムが生まれてきたようです。ナダルの球が息を吹き返したようにパワーがでてきました。今まで伸びなかったショットがペースとスピードを増してきています。今まで中途半端な打ち方をしていたナダルは、エラーを恐れずコミットしたショットを打っています。ナダルが40−0でサーヴィスゲームをホールドしました。

第6ゲーム:(N3ーD2)デルポトロのサーヴ

チェンジオーヴァー(日本ではコートチェンジ)の間に会場にウェーヴが起こり、なかなかデルポがサーヴをできません。

緊迫したラリーが続き、ナダルとデルポが互角のプレーをしています。やっとデ杯らしくなってきました。デルポは5m以上ベースラインから下がったところから、BHクロスのウィナーをコーナーへ叩きつけました。これはジョコヴィッチでもできないスーパーBH。デルポのBHの進化に驚いてしまいます。40−0でまたもやデルポのBHクロス。確実にコーナーを狙ってくるフラットなBHはデルポの新兵器です。

第7ゲーム:(N3ーD3)ナダルのサーヴ

ナダルは疲れ始めたデルポを徹底的に走らせる作戦に出ました。まずはドロップショット。デルポは追いつけません。デルポを左右に振って走らせ、エラーを誘っています。今までは確実にカウンターできていたデルポでしたが、武器であるBHがネットし始めるのは疲れた証拠。十分に足に重心をおくことができずにデルポにエラーが続き40−0へ。最後はナダルのワイドサーヴでデルポをコート外に出してゲームをホールドしました。

第8ゲーム:(N4ーD3)デルポトロのサーヴ

どんどん疲れていくデルポの苦戦のサーヴィスゲームとなりました。決まっていたBHがネットにかかってしまうデルポの弱みをナダルが嗅ぎ、デルポのBHを狙ってきます。しかしデルポのFHはまだ健在で、FHのインサイドアウトでコーナーを突き、ナダルにクロスを打たせて、デルポがFHダウンザラインのウィナーできめるパターンが成功しています。このパターンはデルポの必殺技で来年は恐ろしい兵器となるはず。右ききの選手にとってはBHのコーナーにフラットな速球入ってくるので、ダウンザラインに打つことがむずかしく、あまいクロスが返ってきます。それを待ってデルポはFHダウンザラインでウィナー。このパターンで何度もナダルはポイントを失っています。

BPでナダルのエラーに救われやっとゲームをホールドできたデルポでしたが、エネルギーの限界にきているような感じがします。

第9ゲーム:(N4ーD4)ナダルのサーヴ

ナダルはサーヴも安定してきました。これからはときどき顔を出す自信のなさを徹底して抹殺してしまわなければなりません。疲れたデルポには絶対勝てると自分に言い聞かせたナダル(彼のコメントから)は、ウィナーも決まりだし、いよいよナダルの本領を発揮し始めます。40−0でゲームをホールド。

第10ゲーム:(N5ーD4)デルポトロのサーヴ

ほとんどガス欠となってしまったデルポが勝つには、あくまでもアグレッシヴにナダルを攻めること。そしてサーヴを入れること。しかし足がついていかずに、最後の頼みの綱のFHもネット。それでもあくまでもアグレッシヴに攻めるデルポは勝ち急いでまたFHのエラー。しぶといディフェンスでデルポの攻撃を食い止めたナダルがブレークをして第2セットを勝ち取りました。

もう完全にエネルギーのなくなったデルポは勝ち目がほとんどなくなりました。

第3セット:ナダル vs デルポトロ:6−1

ナダルがかなりまだイライラした様子でキャプテンに叫んでいます。まだ自分の思うようなプレーができていないことが原因(?)と勝ってな想像をしてしまいますが、ボルテージがどんどん上がってきているナダルは、ここでデルポをノックアウトできるチャンスが訪れてきました。

エネルギーのなくなったデルポはSecond Wind(疲労を回復してエネルギーを再び得る状態)を待たねばなりません。作戦から言えば、このセットを捨てて回復を待つことが考えられます。錦織圭が2008年USオープンで第4位のフェレールに勝った5セットの激戦がそうでした。第4セットをエネルギー回復のために捨てた圭君の作戦が見事に当たったのです。

第1ゲーム:(N0ーD0)ナダルのサーヴ

デルポがエネルギーをセーヴするには、危険な賭けをしなければなりません。ラリーは禁物。エラーを覚悟に、できるだけ早くゲームを展開するためのウィナーテニスです。しかし足と腰に力の入らないデルポはFHもBHもウィナーが入らず。ナダルは無理のないプレーで最後は40−0でエースを放ちました。

第2ゲーム:(N1ーD0)デルポトロのサーヴ

デルポの動きが極端に鈍くなってきました。ウィナーを決められないだけではなく、ショットに力が入らずナダルに叩かれてしまっています。しかしデュースまで持ちこたえましたが、勢いを得たナダルがFHウィナーをとってブレークされてしまいました。ナダルは高く拳を振り上げながら、「さあ、これからラファの恐ろしさをみせてやろうじゃないか!」それに答えるスペインの怒濤の応援。デルポにはかわいそうですが、ナダルはこうでなくてはナダルではありません。

第3ゲーム:(N2ーD0)ナダルのサーヴ

完全にモメンタムがナダルにシフトしました。デルポのパーフォーマンスが落ちるとともに、ナダルがどんどん上がってきます。ナダルはラリーを続けなくてもデルポに勝つ自信が生まれてきたようで、テンポの速いゲームで40−0でナダルがゲームをホールド。

第4ゲーム:(N3ーD0)デルポのサーヴ

しかしここで負けていないのが、デルポのすばらしいところ。あくまでも勝つのはウィナー攻撃しかないと信じた彼は、FHダウンザラインのウィナー。 FHインサイドアウトのウィナー。早めのウィナー狙いであっと言う間に40−0。どこからこの不屈のエネルギーが湧いてくるのか。

第5ゲーム:(N3ーD1)ナダルのサーヴ

ナダルのスーパーショットにデルポが拍手。ジョコヴィッチのように激戦の中でも相手に拍手ができる選手は素敵です。簡単に諦めないデルポは40−15で長いラリーに。しかし最後は頼みのFHがコートの外に出てしまいました。

第6ゲーム:(N4ーD1)デルポのサーヴ

デルポのサーヴに威力のないことを知ったナダルがアグレッシヴに攻撃し始めました。今までは安全圏にしか打たなかった球がサイドラインを狙ってきます。40−40まで追い上げたナダルは、ダウンザラインの攻撃を始めました。これはアグレッシヴになった証拠。逆にデルポはクロスでディフェンス的なショットを打っています。

ブレークポイントでナダルのシグネチャーショットが出ました。デルポのウィナーショットを、ラニングFHのダウンザラインでサイドスピンがかかって見事なウィナーを打ってデルポをダブルブレーク。このショットが出始めるとナダルを倒すのは不可能に近くなります。

第7ゲーム:(N5ーD1)ナダルのサーヴ

もうここまでくればナダルの独壇場。40−0で第3セットを勝ち取りました。

第4セット:ナダル vs デルポトロ:7−6(0)

疲れきってしまったデルポに勝つチャンスはないように思われます。試合としてはたぶん盛り上がりに欠ける第4セットとなり、ナダルの完勝で終わってしまいそうです。

第1ゲーム:(N0ーD0)デルポトロのサーヴ

ナダルに完全にコントロールを許してしまった第3セットだっただけに、タンクにはもう一滴もガスが残っていないデルポは、今まで簡単にウィナーをとれていたFH、BHのすべてにエラーをおかしてしまいました。しかも得意のスウィングヴォレーも決まらず、早くもナダルにブレークを許してしまいます。ああ、やっぱり・・・

第2ゲーム:(N1ーD0)ナダルのサーヴ

もうこれ以上デルポに期待するのは無理。全く足が追いつかない。勝ち急ぎと足のなさですべてエラーでナダルはたやすくラヴゲームでホールド。こうなると観ている方もつまらなくなってきます。

第3ゲーム:(N2ーD0)デルポトロのサーヴ

ここで観戦に手を抜いてしまったおバカな私は、キッチンでカプチーノをつくっている間に、何とゲームは40−0に。アルゼンチンの観客の応援がTVが壊れそうなくらいうるさい、というか素晴らしい。デルポは彼らからエネルギーをもらったようで、見事なウィナーを決めてGPをとりました。デルポは観客に両手をあげてもっと拍手しろと促しています。

第4ゲーム:(N2ーD1)ナダルのサーヴ

デルポがSecond Windを得て蘇ってきました。今まで決まらなかったFHクロスのウィナーが見事に決まりました。BHがディープに決まってナダルはネット。最後は強烈なFHを打ってナダルはカウンターできず、デルポがナダルをブレークしたのです。これには驚きました。最後の血を振り絞ったデルポの魂が乗り移ったショットの数々。この魂が20歳にしてGSタイトルをとらせたあのデルポが戻ってきたのです。会場は興奮の渦。

第5ゲーム:(N2ーD2)デルポトロのサーヴ

ブレークバックしたデルポの動きが冴えてきました。しかしナダルもディフェンスからオフェンステニスを展開しています。ここから互角の勝負となり面白くなってきました。デルポはネットラッシュしてヴォレーでポイントを。自信のあるときはヴォレーが決まります。

猛烈な応援を展開するアルゼンチン。ナダルが固くなったのか、チャンスボールをネットにかけてしまいました。しかし緊張しているのはナダルだけではありません。デルポもエラーを連続してBPに。しかしデルポは相変わらずすべてをウィナー狙いの過激な攻撃をかけてきます。

1stサーヴが入らないので、確率をあげるために2ndサーヴに近いサーヴを打っているデルポのサーヴィスゲームはもろく、2度目のBPでBHを出してしまってブレークを許してしまいました。

第6ゲーム:(N3ーD2)ナダルのサーヴ

しかし全く信じられないことが起こったのです。このブレークで攻めていけばデルポは崩れるはずだったのですが・・・

戻ってきたエネルギーに限界があると知ったデルポは、第5セットに延長する余裕はないのです。このセットをすべてに賭けたデルポは、エラーをともなうウィナーショットばかりでなく丁寧にラリーを打ち始めたのです。長いラリーが続きます。クロスを続け、突然ダウンザラインにウィナー。得意なパターンを展開するには、ラリーを続ける必要があるのです。エラーは許されません。

ナダルは本能的にデルポの武器が蘇ったことを知り、固くなってきました。0−40と追いつめられたナダルは、最後はデルポのディープショットを返せずネットにかけブレークバックされてしまったのです。

第7ゲーム:(N3ーD3)デルポトロのサーヴ

クレーテニスの醍醐味である緊迫するラリーが続きます。デルポはブレークバックすることによって自信を回復しました。ラインぎりぎりの見事なウィナーが決まります。モメンタムはまたシフトしてデルポに。ナダルを40−0で圧倒。

ここで両チームのあり方の違いが。ナダルのチームはナダルを励ましているのか、とにかくうるさい。ナダルは「分かっているよ」と言いたげな表情。デルポのブレークの勝利にキャプテンはよくやったとも一言もいわず、彼をそっとしておいてやっています。まだ試合は終わっていないのです。デルポにできるだけ自身の時間を与える。アルゼンチンのキャプテンのあり方がとても印象的でした。

第8ゲーム:(N3ーD4)ナダルのサーヴ

これからいよいよ運転席に座ったデルポのカーレースが始まります。(これは英語的な表現で、主導権を握ることを、He is in a driving seat.と表現します) デルポは限られたエネルギーで、いかにうまくモメンタムを利用してナダルを倒すか?

ウィナーショットが蘇ってきたデルポは、まったく恐れることなくFHでウィナー。BHでウィナー。ナダルがいじめられているような印象さえ受けるほど、恐ろしいショットの連打です。フェデラーがデルポのFHがベストであると語っていましたが、BHもFHに近くなってきています。

しかしナダルは10GSタイトルをとるクレーの王者です。0−30からナダルが攻撃を開始して30−30まで回復。しかしデルポも負けじとばかりに、今度はネットラッシュでアグレッシヴなプレー。最後にデルポはダウンザラインに打ち、ナダルの浮いたカウンターをアングルヴォレーで決める華麗なテニスでナダルをブレークしてしまいました。

第9ゲーム:(N3ーD5)デルポトロのサーヴ

このゲームがデルポのServing for the setになるはずだったのですが・・・やはりナダルの底力はすごい。「早く勝ってしまいたい」と焦る気持ちは誰でもよく起こるもの。デルポは自身のエネルギーが切れかかっていることを知って、勝ち急ぎのエラーがつづきダブルフォルトでBPを迎えてしまいます。ナダルはこのときとばかり、ネットラッシュしたデルポにパッシングショットのウィナーをとってブレークに成功しました。

第10ゲーム:(N4ーD5)ナダルのサーヴ

デルポトロに何とか勝ってほしいアルゼンチンの応援がますます激しくなってきました。ついに主審はアルゼンチンの観客に向かってウォーニングを。選手やチームではなくて観客にウォーニングを与えるなんて、聞いたことのない話です。デ杯が盛り上がっている証拠。面白くなってきました。

デルポのタンクのガスが本当に切れてしまったようです。ここまで戦ってきたデルポは奇跡的でしたが、これ以上の奇跡は呼ぶことができないのかもしれません。力尽き果てあっさりと40−0でナダルがゲームをホールドしました。

第11ゲーム:(N5−D5)デルポトロのサーヴ

ナダルがデルポを限界まで追いつめるディフェンスで、ことごとくデルポのウィナーをとりまくります。そしてチャンスボールをたたく。みごとなディフェンス/オフェンステニスです。30−40でデルポがネットにかけてしまい、またブレークされてしまいました。

第12ゲーム:(N6ーD5)ナダルのサーヴ

ナダルのServing for the championshipです。もう3ゲームも連続して落としてしまっているデルポは、フィジカルだけでなくメンタル的にもエネルギーが残っているとは思えません。しかし、デルポは信じられない意思力で戦いました。

いくらデルポがウィナーに近いショットを打っても、エネルギーあふれるナダルを疲れさせることはできません。しかしそれでもナダルに勝つにはリスクを負ったウィナーしかないことを知っているデルポは、FHダウンザラインのウィナーを決め15−15へ。苦痛で顔がゆがんでいます。

ナダルが少し固くなったのか、エラーが2本続き15−40のBPを迎えてしまいました。このBPでデルポはジャンプして転倒。赤土にまみれたデルポは必死でライオンと戦うグラディエーター。デルポの勇姿に感動の嵐が起こります。

土を払いのけ最後わずかに残った力で、デルポはFHダウンザラインのウィナーを打ち放ちました。まったく意思力だけで打ったとしか思えないウィナー。人間の意思の無限のパワーに驚かされます。

第13ゲーム:(N6ーD6)タイブレーク

もしデルポがこの第4セットを勝っても、第5セットまでは続けられないことを知っていました。ナダルは5セットに入れば絶対勝てるという自信で強気で攻めてきます。デルポはもうウィナーを打つパワーも消耗してしまって、ウィナーがすべてはずれ、あっさりと0ポイントで第4セットをナダルに譲ってしまいました。

ナダルにとっては、最後のラバーでスペインに優勝をもたらす最高のシナリオとなりました。

フェレールとナダルに2敗してしまったデルポでしたが、ハードの得意な彼がクレーでここまで戦える実力を示したプレーは見事でした。

ナダルは試合後迷わず「デルポはNo.1になれる候補選手」と断言しました。私はそのことをすでに4年前から予言しているだけに、興奮してしまいました。デルポにスタミナがついてくれば・・・トップ4を脅かすことは間違いなし。おお、想像するだにわくわくです。

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それにしてもナダルはネットで握手を待つデルポに駆け寄り彼をハグしましたね。彼の「Sorry でも君のプレーはすばらしかったよ。」という声が聞こえてきそうです。そしてアルゼンチンチームの一人一人に握手をするのではなく、ハグをするナダル。アルゼンチンチームに友達が多いナダルにとっては、ハグするのが最も自然なことなのかも知れませんが、敗退者に対する思いやりにあふれて感動的でした。

またデルポの転んでは立ち上がる不屈な精神も、悔しくて泣きじゃくる姿も感動的でした。

このようなすばらしい試合を可能にするテニスに巡り会えた幸運を噛み締めながら、2011年最後の試合解説を閉じることにします。

読んでいただいた読者の方へ。本当にお疲れさまでした!私も疲れました!

(この試合解説は二人の記者会見のコメントも含めながら書いておりますが、詳しい記者会見の内容は明日にでも掲載したいと思います。テニスのトーナメントは終わりましたが、tennisnakama.comはこれからが面白い話に移っていきますので、ご期待ください。)

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