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Tennisworld の伊達公子のインタビュー:アジア選手のモデルはヒンギス

December 18, 2011

日本人選手の中で海外のメディアのインタビューを受けるのは錦織圭とクルム伊達公子のみ。しかしそのほとんどは短いインタビューで、わざわざ和訳をして紹介するまでもないのですが、Tennisworldでめずらしく伊達公子の長いインタビューを掲載していますので紹介したいと思います。


シーズン中はトーナメントに追われてなかなか選手についての記事を掲載できないのですが、今日はアメリカのテニスオンラインマガジンTennisworldの記事(10月18日掲載)を紹介したいと思います。

彼女は日本のメディアにすでに詳しく紹介されていますので、目新しい発言はないと思いますが、日本選手が長い紙面をさいて紹介されるのはとてもめずらしいのです。

右手で打つ理由

左ききなんですが、日本の習慣で食べ方、書き方などすべて右手でやるように両親からしつけられましたので、何でも右手でやるようになりました。テニスは6歳から始めたのですが、両親や他の人たちがやっていることを真似してましたので、右手でラケットを握って打つようになったのです。

突然引退してしまった理由

今でこそ中国やアジアの選手が増えましたが、当時は日本人選手も少なくツアーに疲れてしまったんです。西洋料理が全く食べられず、食べれるのは日本食だけ。最近はいろんなスポーツの分野で海外で活躍するアスリートが増えましたが、当時は私に大きな期待がかかってプレッシャーが大きくストレスがたまってしまったんです。

(今でこそ日本食レストランは世界中どこでもありますが、食べれないというのは辛かったでしょうね。)

引退した後の生活

引退した後は生活をエンジョイしましたね。ドイツ人と結婚し、結婚生活は楽しいものでした。テニスでは3〜10歳までの子供たちのコーチングをし、福祉活動では貧しい国々を訪問しましたし、グランドスラムのTV解説もやったりいろんなことをやりました。

私自身はあまりプレーすることはなかったのですが、ロンドンマラソンに参加したりして、他のスポーツをエンジョイしました。グランドスラムなどのトーナメントを長年観戦して、「テニスはグッドスポーツ」だと思い始めたのです。特に女子にとってはテニスはすばらしいスポーツだということに気がついたのです。若いときはプレッシャーが大きすぎて、引退してもテニスはやるまいと思っていたのですが。

復活のきっかけ

引退してからしばらく経ってシュテフィ・グラフやマルティナ・ヒンギスとエグジビションをやる機会がありました。その試合に備えて半年間、ウェイトトレーニングやプラクティスを始めました。夫はその時に私にカムバックするようかなりプッシュしたせいもあって、一度やってみようかなという気になったのです。

半年後にはランキングが150位となり、オーストラリアンオープンの予選資格を持てるまでに上がってきたときに、夫が「こんなすばらしい機会はないのだから挑戦するべきだ」と励ましてくれたのです。

(夫が励ましてくれたなんて本当にうらやましい話です。私なんぞは、子供ができてからは、励ましてくれるどころか、全く子育てに協力してくれず、死ぬ想いで数年両立の戦いをやってきましたが、戦い疲れてキャリアを断念してしまいました。このへんは今でもしぶとく恨みが顔を出すことがあります。)

今のテニスはパワーテニス

私のテニスは相手の球のペースを落とし、低く打ち、ネットにくる。これは古いスタイルですがときには効果があります。(笑)昔のテニスと今のテニスの大きな違いは、今のテニスはパワフルでスピーディであること。ですから私はジムに行って体を鍛えています。選手たちはいつもウェイトトレーニングをしていますね。彼らは試合の当日でもエクサーサイズをしていて、今のテニスはフィットネスにかなり重点がおかれています。

ヴァラエティーが少なくなってしまったプレースタイル

若い人たちのプレースタイルは皆同じですね。マルティナ・ナヴァロティロヴァのようなサーヴ&ヴォレーやネットでのタッチプレーはなくなってしまいました。パワーとビッグサーヴでバンバンバンと打って終わり。戦略がありません。

昔はディフェンスのテニスが主流でしたが、マルティナ(ナヴァロティロヴァ)は左利きのサーヴとヴォレーゲーム、シュテフィ(グラフ)はすばらしいバックハンドのスライスとビッグなフォアハンド、サバティーニは強力なスピンボール、サンチェス・ビカリオは足が速くタフなメンタルの持ち主といろいろ特徴がありました。

ヒンギスはアジア選手のモデル

ヒンギスは才能に恵まれていますが、体格が大きくなく筋肉もそれほどありません。彼女のテニスはすべてがタッチのテニスで、アジアの選手にとってモデルとなる選手だと思います。パワーに欠けますが、とても賢いプレーをする選手で、どこにどんなショットを打てばよいのか、どうやってゲームをコントロールするのか熟知しています。

(ヒンギスのテニスは毎年生観戦していますが、ビッグサーヴのできない彼女はカムバックしてもトップ20がせいぜいかと思います。錦織圭も来年はトップ30を維持していくためには、故障のない頑丈な体つくりとサーヴの向上が絶対的条件となります。今のパワーテニスは体への負担が大きく、せっかくカムバックしたエナンも体への負担が大きすぎて、永久に引退してしまいました。

体格に恵まれない日本女子選手がトップ選手になるには・・・ヒンギスのタッチと作戦だけでは無理。サンチェスの足、シャラポヴァのメンタル、セリーナ級のビッグサーヴとフォアハンド・・・などなどが必要。かなり現実ばなれしてしまいますが、それほど女子選手のレベルは上がってきているのです。)

グラフがカムバックしたら1位になれる

グラフは今でも1位になれると思います。テニスはパワーだけではないのです。また若さだけでもありません。もちろん若い世代はパワーが必要ですが、グランドスラムのタイトルをとるには、パワーだけではとれず、メンタルと経験が必要です。試合にはいろんなターニングポイントがあり、彼女はビッグなトーナメントでの勝ち方を知っています。

( 今年ウィンブルドンで優勝した21歳のクヴィトヴァ Kvitovaのテニスを観ていると、グラフではとても太刀打ちできないように思います。パワー、攻撃力、ディフェンス、足、サーヴ、メンタルなどすべての面に優れ、恐ろしい選手が登場してきました。彼女は183cm。

グラフは177cmの1位のウォズニアッキと同じ体格ですが、ウォズニアッキが小柄にみえてしまうのが今の女子テニス界。来年はクヴィトヴァはウォズニアッキを倒して1位になることは間違いなさそうです。女子テニスがやっと面白くなってきました。

シングルス8位、ダブルス1位になった163cmの杉山愛がどれだけ偉大であったか!彼女が活躍していた当時、日本での評価が低すぎて残念でした。)

マルティナ(ナヴァロティロヴァ)が「私の記録を破らないでね」

今年ウィンブルドンでマルティナに会いましたが、「どれくらい長くプレーするつもりなの?」と私に尋ねたのです。そのとき私は「そんなに長くはないと思うけど」と答えましたが、「私の記録を破らないでね」って冗談を言ってました。「もちろん!記録を破るなんてことはできませんよ。」と答えましたが。

(マルティナは47歳のときに2004年ウィンブルドン2回戦まで進出しています。これは史上最長年者の記録となっています。)

私はマルティナをものすごく尊敬しています。とても才能に溢れた選手です。彼女は若いときから、コートをコントロールするテニスをしています。当時はそのようなテニスをする選手はほとんどおりませんでした。そしてツアーにフィジカルトレーナーを同行させ、テニスにフィットネスをもたらしたのも彼女です。マルティナは女子テニスを大きく変えてしまったのです。

(女子テニスを大きく変えてしまったのは、フィットネスを取り入れたマルティナとパワーテニスのウィリアムズ姉妹だと言われています。)

子供がほしい

私はこれから長くプレーして記録を破ったりすることには全く興味はありません。若いときはエンジョイできませんでしたので、今テニスをプレーできることがとても楽しいのです。

カムバックしてしばらくになりますが、メンタル的もフィジカル的にもタフでなくてはならず、最近はランキングも落ちてきました。テニスが楽しい間は全力を尽くして頑張るつもりですが、テニスだけでなく他にもやりたいことがあるのです。手遅れにならないうちに子供をつくりたいのです。あと1〜2年でどうするのか、決断しようと思っています。

(伊達公子はすでに41歳。いくら医学が発達しても子供がほしいなら残り時間は限られています。キャリアを持つ女性が仕事か子供かの選択を迫られるときですが、私は子供を選んで本当によかった!と思っています。いろんなチャレンジをして危険なことばかりしてきた私ですが、子供を生むという選択は人生でベストの選択でした。お二人の赤ちゃんはさぞかしかわいいでしょうね。)

錦織圭とクルム伊達公子の特集番組がWOWOWで放送されます

12月23日(金)AM11:15-PM12:45
WOWOWプライム:『錦織・クルム伊達 それぞれの世界挑戦2011

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