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フェデラーのデ杯2敗の原因を探る

February 11, 2012

アウェイゲームでしかも苦手のクレーでアメリカがデ杯でスイスに3勝の完勝をとげました。アメリカはチームの団結力もかたく、プレーも優っていたにせよ、気になるのは期待されていたフェデラーのシングルスとダブルスの2敗です。私たちはスイスまで飛んで応援に行こうかと話し合っていたくらいですから、もしスイスに行っていたら大変なショックで立ち上がれなかったかもしれません。それにしても一体フェデラーはどうなってしまったのか? ここでデ杯の敗因について調査分析をしてみました。

Photo: Robert Prezioso/Getty Images

(1)海抜の高いフリブール

デ杯会場のFribourgはスイスのフランス語圏でフリブールと読むのだそうです。アメリカチームのキャプテンのジム・クーリエが「クレーは仕方がないとしても、会場が海抜0でなかったことが幸いした。」と語っているように、この町の海抜は600m〜700mにあるちょっと高い町。これくらいの高さはたいしたことがないのでは? というのは大間違い。気圧の関係でボールが変わってきます。高い場所ではボールは高く弾み速くなります。

クーリエは「標高の高いインドアのクレーは、普通のアウトドアのクレーとは違う」と指摘しているように、クレーのメリットを少なくしてしまう会場を選んだ理由は一体何だったんでしょうか。

(2)コンディションの悪いクレー

フェデラーはオンザライズにちかい早めに打ってくるプレースタイル。タイミングがすべてです。もしバウンスが悪ければ調節がほとんどききません。デ杯ではシングルスでもダブルスでも、ときどきラケットにも当たらないような考えられないようなミスヒットがありました。

テニスチャンネルの生放送を観ましたが、HDでみるとかなりでこぼこがあります。コンヴェンションホールをテニス会場にしたそうですが、もう少し質のよいコートづくりをしてほしかったです。

選手たちがbad bounceとかなり嘆いていましたが、バウンスが悪いのはどの選手にとってもクリーンに打つのはむずかしいのですが、フェデラーにとっては特に不利となりました。

(3)スイスチームとアメリカチームのキャプテンシップの違い

今年でアメリカチームのキャプテン2年目になるジム・クーリエは元世界No.1の選手。スイスのルティは最高ランキングは622位。この違いは大きいです。スイスはなぜ実績のないルティをキャプテンに選んだのか知りませんが、このことからもデ杯への姿勢がかなり違うと考えてもよいと思います。スイスにはもっと実績のある選手がいるのです。

マッケンロー、サンプラス、アガシが活躍したデ杯の優勝国のアメリカは、デ杯に対してはものすごく真剣で、デ杯のキャプテンになることは大変な名誉なことなのです。スペインもしかり。昨年まではコスタ(6位)がキャプテンでスペインを優勝させましたし、今年からはコレッチャ(2位)がキャプテンです。

スイスがデ杯に対して真剣でないとはいいませんが、600番台の元選手をキャプテンにすることなどは、デ杯エリート国では考えられないことです。ルティにはチームを引率していくオーソリティに欠けています。

クーリエはアメリカ選手にしてはめずらしくクレーのフレンチオープンで2度優勝しています。彼はクレーで優勝するために大変な努力をした選手です。ですからクレーの知識は深くフェデラーと対戦するイズナーにクレーの特訓をほどこしました。イズナーは勝利はクーリエのおかげだと言ってましたが、果たしてルティはフェデラーやヴァヴリンカにどれほどのアドヴァイスができたでしょうか。

(4)プライオリティのシフト

フェデラーが試合前の記者会見で、「もちろん勝ちたいけれど、負けても仕方がないと思っている。ともかくもデ杯を楽しみたい。」みたいなことを語っていたのを読んで、こんな軽い感じでは負けるかもしれないと予感がしたのです。

これでは死に物狂いで戦ってくる相手には勝てません。オーストラリアンオープンのジョコヴィッチvsナダルの6時間にもわたる決勝を観て、たぶん多くのフェデラーファンが「果たしてロジャーはこんな試合ができるだろうか?」と思われたに違いありません。

父親となったロジャーには、人生のプライオリティがテニスだけではなくなってきています。出場トーナメントの数を減らすことは体によいかもしれませんが、その間に選手たちが試合にもまれてどんどん向上していっています。最近は「テニスをできるだけ長く楽しみたい」というコメントが多くなっていますが、どんなことをしても勝ちたいと闘志を燃やす選手たちがどんどんとフェデラーとの差を縮めてきている現実を忘れてはなりません。

(5)第1セットに勝ったあとのセットを落としてしまうパターン

最近フェデラーの敗北の試合に共通してみられるパターンがあります。それは第1セットをとっても第2セットを失ってしまい、そしてそのまま第3セットも取られて敗退してしまうパターンです。

今年のデ杯の単複も全く同じパターンでした。

シングルス:vs イズナー 6-4 3-6 6-7(4) 2-6
ダブルス:vs フィッシュ/ブライアン 6-4 3-6 3-6 3-6

今年のオーストラリアンオープンもしかり: vsナダル 7-6(5), 2-6, 6-7(5), 4-6

2011年に敗退した試合をみてみますと、これだけ多くの試合が同じパターンとなっています。

全米: vsジョコヴィッチ 7-6(7), 6-4, 3-6, 2-6, 5-7
ウィンブルドン:vsツォンガ 6-3, 7-6(3), 4-6, 4-6, 4-6
ローマ:vsガスケ 6-4, 6-7(2), 6-7(4)
マドリッド:vsナダル  6-4, 6-7(2), 6-7(4)

いつもロジャーが強調しているのは、第1セットをとるのがいかに重要かということ。これは逆に言えば、第1セットを落としてしまったら、挽回するのが大変しんどくなってきているととれます。

リードしていても、対戦相手がギアアップしてきたときに、フェデラーのインテンシティーが続かない・・・

昨年はフェデラーはバーゼル、パリ、ロンドンと3連勝しました。しかしあのときは、他の選手たちが長いシーズンで疲労困憊してしまっていたことを忘れてはいけません。その中でスケジュール調整をしてフレッシュなフェデラーが勝つのは当然の結果だといえます。

フェデラーの問題は(4)と(5)だと思います。

「どんなに苦しくても楽しくなくても、絶対勝ちたい!」という激しい欲望がなければ、天才的な選手であっても勝てなくなってきている現実を直視しなければなりません。絶好調ならトップ50の選手でもフェデラーを破ることができるほど、今の選手層は厚いのです。

今年はオリンピックの年。ロジャーはまだシングルスのメダルは取っていませんので、何が何でも取ってやるぞ!という意気込みで、闘志むき出しで金メダルを奪い取ってほしいと願っています。

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