February 20, 2012
デ杯の単複で完敗してしまったフェデラーがかなり心配されましたが、ロッテルダム大会でデルポトロに6-1 6-4で快勝。見事ことし初優勝を飾りました。今までフェデラーには敗戦のパターンがあったように思いますが、その殻を打ち破ったダヴィデンコ戦が優勝のきっかけだったと思います。勝因はフェデラー曰くwinner’s mindsetでした。
mindsetとは思考態度と訳されていますが、英語はもっと深い意味を含んでいます。「自分のあるべき姿を信じること」というような意味ですが、winner’s mindsetとは「自分は勝者であると信じること」 この勝者の信念があったからこそフェデラーは勝てたと語っていました。
この勝者のマインドセットについて語る前に、フェデラー自身が歩んできた敗北のパターンをあげてみたいと思います。
(このパターン分析はあくまでもtennisnakamaの独自な分析であることをお断りしておきます。)
第1セットを落とすと負けてしまうパターン
記事『フェデラーのデ杯2敗の原因を探る』の中で、第1セットに勝っても試合を落としてしまうフェデラーのパターンについて書きましたが、今回は「第1セットを落とすと負けてしまうパターン」について述べてみたいと思います。
第1セットへのこだわり
以前からフェデラーがいかに第1セットが大切であるかを強調してきました。あまりに第1セットを重要視したために、「第1セットを落としてしまうと勝てない」というジンクスを彼自身つくりあげてきたように思います。
第1セットを落として勝った最後の試合は2010年10月
フェデラー def ヴァヴリンカ:2-6, 6-3, 6-2
このスコアは2010年のストックホルムのQFです。このトーナメントにフェデラーは優勝していますが、これ以降は第1セットを落として勝った試合は、先週のロッテルダムのダヴィデンコ戦が初めてとなります。1セットを落とすと敗退してしまうパターンが16ヶ月間も続いたのです。
3セット試合では、第1セットを落としてしまうと、ものすごいプレッシャーがかかってきます。第2セットを落とすとそれで終わり。ここで「自分は勝者である」という確固たるマインドセットがなければ、このプレッシャーに負けてしまうことになります。
昨年のウィンブルドンとデ杯では第1セットを落としても勝った試合はありますが、これらは5セット試合です。第1セットの敗退がメンタルに与えるインパクトは3セットにくらべてはるかに少ないのでパターンの対象外としました。
ここでパターンの対象になるのはマスターズ、ATP500/250の3セット試合です。
パターンを破ったダヴィデンコ戦
準決勝ではフェデラーはオンザライズでカウンターを打ってくるダヴィデンコに危うく敗退するところでした。ダヴィデンコの超速急フットワークと正確なショットは、2009年に上海とファイナルズに優勝した、あの圧倒的に強いダヴィデンコを彷彿させるパーフォーマンスでした。
フェデラー def ダヴィデンコ:4-6, 6-3, 6-4
フェデラーはダヴデンコのオンザライズの確実なカウンターショットに苦戦を強いられ、第1セットを落としてしまいました。しかし第2セットではダヴィデンコに3−1とリードされたものの、リフォーカスして連続5ゲームを勝ち取り6−3で第2セットをとりました。
第3セットではフェデラーは第8ゲームで0−40の大ピンチに陥ります。しかしここでまたフォーカスし直して、サーヴィスゲームをとり4−4へ。フェデラーは久しぶりに強靭なメンタルをみせてくれました。この挽回でフェデラーは自信を得て、ダヴィデンコをブレークして6−4で決勝を決めました。
第1セットのサーヴ率72%から第3セットに入ると48%に下がってしまったフェデラーは、いつものようにサーヴ力に頼ることはできず苦戦。第3セットの0−40からのカムバックについて以下のように答えています。
0−40のときでも、僕はまだチャンスがあることを疑わなかった。僕には勝者のマインドセットがあった。最近の僕はこのマインドセットがなくて負けてしまうことがあるけれど、今回は僕はまだ勝てると信じて疑わなかった。
ロッテルダム決勝でデルポトロに快勝
フェデラー def デルポトロ:6-1 6-4
快勝してしまうと心に隙ができますが、辛勝すると困難を克服して勝っただけに大きな自信となります。デルポトロは準決勝でベルディフに6-3 6-1に完勝。ベルディフはデルポトロのパワーFHについていけず、まるで大人と子供の試合をみているようなデルポの圧勝でした。
ここでデルポの心と体に隙ができたのかもしれません。反対にフェデラーはダヴィデンコに苦戦を強いられ、危ないBPをセーヴしてきましたので、デルポトロと戦う態勢が心身ともに出来上がっていたと思います。フェデラー自身も「ダヴィデンコ戦がよいウォーミングアップになった」と語っていました。
昨日(ダヴィデンコ戦)と同様、今日もよいマインドセットをもつことができた。ブレークポイントは簡単に取らせず、デルポトロにとっては勝つのがむずかしい試合にすることができると信じていた。
第2セットではデルポの調子があがってきて、かなり接戦となりましたが、しかしフェデラーは勝者のマインドセットで、自身に誓ったように5つのBPを全部セーヴしてしまったのはさすがでした。
僕(デルポトロ)はブレークチャンスを逃してしまった。チャンスを逃すとフェデラーに勝つのは非常にむずかしい。彼は自信にあふれていて、大切なポイントでは集中力が違っていた。
ビッグ4(ジョコヴィッチ、ナダル、フェデラー、マリー)と他の選手との差がここにあると思います。肝心なポイントで勝者のマインドセットを発揮できるかどうか。昨年のジョコヴィッチの快進撃は、揺るぎないwinner’s mindsetを持ち続けた結果だったと思います。
デ杯の敗退から学ぶ
デ杯の2敗でフェデラーはスイスの国民だけでなく、世界のファンを大きく失望させてしまいました。デ杯前のコメントも「絶対勝つぞ!」というものではなく、「負けても仕方ない」「楽しみたい」「チームの助けになれば嬉しい」など人ごとのようなコメントでしたので、とてもwinner’s mindsetと呼ぶような固い信念ではなかったと思います。
サンプラスの時もそうでしたが、王者があっさりと負けてしまうと、必ず「もう勝てないのではないか」という見方をされてしまいます。記者会見でその度に「いや、まだまだ僕は勝てるから大丈夫」と言い続けなければならないのは、勝っていないときには空言となってしまって辛いものです。
記事『No.1へのカムバック:燃えるフェデラー』でも述べましたが、 大会前にフェデラーは「試合に一つ一つ勝っていくことがまず先決問題」と決意のほどを述べました。デ杯で完敗しているだけに、ロッテルダムでは是が非でも「勝てるフェデラー」を証明しなくてはなりません。その決意が彼のいう勝者のマインドセットだったと思います。
錦織は勝者のマインドセットを持つことができるかどうかが鍵
錦織圭がロディックのランキングの10位落下で、また1ランク上がって17位となりました。20位から17位への昇格は上のランキング選手が落ちてきたことによって実現したまでで、これは錦織の勝者のマインドセットの助けにはなりません。
ブエノスアイレスのクレーに挑戦する錦織は、今日が第1回戦となり、対戦相手は元No.1のフェレーロです。しかもフェレーロはフレンチオープンの優勝者です。もし錦織のマインドにこれらのことが少しでも占めていると、フェレーロに勝つのは難しくなります。勝者のマインドセットは「ひょっとして負けるかも」という疑問があってはならないのです。
初戦でフェレーロと当たってしまったのは不運でしたが、錦織のマインドは曇り無しの晴天=勝者のマインドセットで戦ってほしいと思います。
✦ ✦ ✦ ✦ ✦ ✦
ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします♡
No related posts.





最近のコメント