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ナダル「錦織は難しいことを簡単にやってのける選手」

April 1, 2012

少々遅れてしまいましたが、マイアミ4回戦:錦織vsナダルについて、ナダルが興味深いコメントを残していますのでご紹介したいと思います。また錦織がナダル戦に対する感想をブログで述べていますが、試合の経過ととともに4回戦を振り返ってみたいと思います。

Photo: AP/Wilfredo Lee

ナダル def 錦織:6-4 6-4

3月27日記者会見でナダルは錦織について以下のように語りました。

Q:過去に錦織と3度対戦していますが、今回の試合は違っていましたか? 彼の進歩は感じられましたでしょうか?

最近の彼はすばらしいテニスをしている。彼は難しいことを簡単にやってのけているのは、彼はコートの中に入ってボールの方向を変えることができるからだ。これはたぶんテニスでは最も難しいこと。それを彼は簡単そうにやってのけている、No?

彼のテニスが向上して、肝心なポイントでミスが少なくなった時、彼はすべてにおいて戦うことができる。だから僕は彼のテニスが大好きだ。本当に、僕は彼を尊敬しているんだ。この試合がとても危険なものになるかもしれないと思っていたので、勝てて嬉しいよ。

Q:過去に「錦織はトップ10の選手になることができる」と感想を述べられましたが、今でもその感想は同じですか?

Yes。ところで彼の今のランキングはいくつなの?

Q:16位です。

彼はまだ若い。No?  彼は過去は怪我のためにとても不運だった。彼がトップ10になれない理由はない。No?  怪我の困難な時期のあと、昨年彼はよく戦ったよ。怪我のあとのカムバックは本当に大変なことだ。今シーズンはオーストラリアンオープンで準々決勝まで進出している。ファンタスティックなスタートだ。もし彼がこのようによいプレーを続けていけるなら、彼はトップ10になれる可能性は十分にある。

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相手に時間を与えない

記者会見でナダルは「彼は難しいことを簡単にやってのけているのは、彼はコートの中に入ってボールの方向を変えることができるからだ。これはたぶんテニスでは最も難しいこと。」と語っていますが、この最もむずかしいテニスを簡単にやってのけるジョコヴィッチにさんざん苦しめられてきたナダルですから、錦織の印象はかなり強烈なものだったと思います。

最近のテニスは「相手に時間を与えない」ことが最も重要視されてきています。ベースラインから早めにフラット目の速球を打つ。相手は球に追いつく時間がないので、たとえカウンターできたとしても球威のないショットとなり、ウィナーを打つチャンスが増えてきます。

錦織はナダルが言うように、相手に時間を与えないテニスに関しては、誰にも劣らない素晴らしい技を持っています。最近、FH(フォアハンド)の武器に加えて、BH(バックハンド)でも同じことができるようになった錦織のショット力の進歩は目を見張るものがあります。解説者が「錦織のバックハンドは最高レベルで、マリーに似てピュアだ」と絶賛していました。全く同感です。

FHとBHで「どこからでも早めに打って攻撃できる」これはものすごい武器です。わざわざ回り込んでFHで打たなくてもよいだけに、コートカヴァレージに隙がなくなります。しかしこれはタイミングをとるのが恐ろしくむずかしい技術ですので、エラーの確率が高くなるのが難点ですが、フェデラーがエラーの数が多くてもトップ選手であり続けることができるのは、時間を与えないチャンピオンだからと言えます。

サーフェスと球が遅くなってきている傾向

マーディ・フィッシュがマイアミでモナコにコロッと負けてしまいましたが、彼はマイアミのサーフェスと球の遅さにかなり不満をぶつけておりました。最近の傾向は、サーフェスを遅くするだけでなく、球が重くなっていますので、フィッシュのような、ワン・ツー・スリーのような速いテンポのテニスはできにくくなっています。これは錦織にとってはかなりのハンディになります。

ベースラインぎりぎりから早めにフラット気味に打っても、バウンドが遅くなってしまえば、相手にカウンターする余裕を与えてしまいます。そこでナダルが曰く「方向を変える」ことが重要になってきますが、「早めに打って、しかも方向を変える」ことがいかにむずかしいことか。ジョコヴィッチがこれからもNo.1であり続けることができると私は思っていますが、この最もむずかしいことを最も簡単にやってのけることができるのがジョコヴィッチです。

大事なポイントを逃さない

錦織が公式ブログでナダル戦について感想を述べています。

ナダルにはまた2セットで敗れてしまいましたが、以前対戦した時より感触はつかめてますし、ほんと数ゲーム気持ちの迷いだったり、攻めきれないところとか足りないところがあっただけと思っています。
そこを取らしてくれないのがやはりトップの選手なんだろうけど、その大事なポイント、ゲームをしっかり取れれば自分にもチャンスはあるということです。

では大事なポイントであるBP(ブレークポイント)でどのように錦織が戦ったのか、第1セットを例にとって振り返ってみたいと思います。

第1セット:

第1ゲーム:錦織は4つのBPを逃す
オープンニングセットから、ガンガンと攻めまくった錦織は強い!という強烈な印象でした。第1ゲームですでに4つのBPへと迫りましたが、最初の3つのBPで錦織はリターンに失敗しています。これは気張りすぎた面もあったと思います。最後のBPではナダルのサーヴがよく、リターンが浮いてしまいナダルに叩かれてしまいました。

第3ゲーム:錦織は3つのBPまで迫り、最後にナダルをブレーク
最初のBPは錦織がFHのウィナーを狙ってロングに出して失敗。2番目のBPは錦織があまいルーピーリターン(ループ状のゆるやかな山なりのリターン)をしてナダルに叩かれました。しかし最後のBPで錦織のリターンがナダルの足元に深く入り、ナダルはカウンターに失敗。このリターンのよさで錦織はナダルをブレークしました。

と、このように快調に錦織のペースで進んでいたのですが・・・

第4ゲーム:あっと言う間に錦織がブレークバックされてしまう
ここなんですよ。問題点は。気のゆるみなんでしょうが、錦織にはブレークするとすぐブレークバックされてしまう悪い癖がまだ見られます。最初にダブルフォルトでケチをつけてしまってからというものエラーが続いて、あれよあれよと15−40のBPとなってしまいました。錦織の集中力が途切れたところをすぐ攻撃してくるナダルはさすがです。ナダルのシグネチャーショットであるFHのダウンザラインのウィナーで、錦織はブレークバックされてしまいました。

これ以降はナダルはBPとなることを許さず、第10ゲーム(4−5)で錦織は力みすぎてFHを出してしまいブレークされて4−6で第1セットを落としてしまいました。この大事なポイントをエラーで落としてしまう。たったの1ポイントの差が勝敗を決するよい例だったと思います。

フェデラーが取れるはずだった大事なポイントを逃してしまって、敗退してしまうことがよくありました。大舞台の豊富な経験をもつフェデラーでもいかに大事なポイントをとっていくのがむずかしいか。

>ほんと数ゲーム気持ちの迷いだったり、攻めきれないところとか足りないところがあっただけと思っています。<

と錦織が述べていますが、このちょっとしたことがいかに大変なことであるか・・・

これからですね。ナダル戦で自信を深めた錦織に多いに期待したいと思います。

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