ジョコヴィッチがマリーを破ってマイアミ優勝:なぜジョコヴィッチは強い?(記者会見より)

April 2, 2012

ジョコヴィッチがマリーを破ってマイアミマスターズ優勝を飾りました。タイブレークで準々決勝、準決勝、そして決勝と肝心なポイントをとって勝利を勝ち得たジョコヴィッチ。 連戦でたぶん疲れていたとは思いますが、ここぞという大切なときにギアアップしてポイントをとるジョコヴィッチは本当に強くなりました。ジョコヴィッチとマリーの記者会見から、どこが勝敗の分かれ目となったか、二人の意見を比較してみたいと思います。

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ジョコヴィッチ def マリー:6-1 7-6(4)

今のトップ10のレベルはそれほど大差はなく、わずかに1〜2ポイントの差で勝敗が決まってしまうことがあります。今回のマイアミは、ジョコヴィッチが3戦ともタイブレークで勝って優勝というハイレベルを示すトーナメントとなりました。

準々決勝:def フェレール:6-2, 7-6(1)
準決勝:def モナコ:6-0, 7-6(5)
決勝:def マリー:6-1, 7-6(4)

これらの3戦は酷似しています。ジョコヴィッチは第1セットは大差で勝っていますが、第2セットではいずれもタイブレークで追い込まれています。これについてジョコヴィッチは以下のように語っています。( )はtennisnakamaのコメントです。

ジョコヴィッチの4月1日の記者会見から

Q:3戦との似通ったスコアとなっていますが、これは第2セットで気持ちがのんびりしてしまったからですか?

そんなことはない。いつもベストを尽くしている。第2セットではブレークするチャンスがいろいろあったにもかかわらず、チャンスを逃してしまったのでタイブレークになってしまった。マリーのようなトップ選手たちとの試合では、彼らはチャンスがあれば必ず狙ってくる。これは予期していたことだ。

マリー戦では、大切なポイントで、よいサーヴとアグレッシヴなショットを打つことができたのが勝因だと思う。

(大切なポイントでギアアップすることができる。これはチャンピオンに不可欠な条件です。サンプラスやフェデラーはBP(ブレークポイント)で、サーヴィスエースをとることができます。イズナーはストロークやフットワークは劣りますが、BPやGP(ゲームポイント)でポイントを勝ち取ることができるために、インディアンウェルズでは決勝まで進出しました。

錦織がナダル戦について、彼との差は大事なポイントがとれるかどうかだ、とブログに書いていましたが、この差はとてつもなく大きな差だと思います。

なぜジョコヴィッチがこれほど強くなってきたか。大切なポイントでギアアップすることができる。これにつきると思います。

ジョコヴィッチの1stサーヴの確率は、第2セットの第4ゲーム(1−2)では91%にものぼる高確率でした。マリーのコーチレンドルは、試合前に「2ndサーヴのポイント確率が勝敗を決定する」と予言しましたが、2ndだけでなく1stサーヴも含めて、ジョコヴィッチのサーヴィスゲームがマリーよりも優れていたことが、マリーのリターンゲームを苦しめました。)

マリーの4月1日の記者会見より

最大の敗因はリターンが思うようにできなかったことだと思う。第2セットではどちらに転んでもおかしくないほど接戦となったけれど、ノヴァクの方がビッグポイントでは僕よりもベターなプレーをした。

彼にはオーストラリアンオープンでは負けたけれど、ドバイでは勝っている。昨年にくらべたら、僕たちの距離はかなり縮まってきていると思う。今日リターンが思うようにできなかったことに僕自身驚いている。たぶん試合の数が不足していたことが原因かもしれない。

(2度棄権されて不戦勝で決勝進出したマリーは、彼の得意なリターンゲームがうまくいかなったことは試合不足が原因と考えているようです。勘が今ひとつ戻ってこない。それも一理ありますが、それに加えてジョコヴィッチのサーヴがコンスタントにハイレベルとハイ%を保っていたことが、マリーにリターンをむずかしくさせていたと思います。)

Q:なぜジョコヴィッチは強いのでしょうか?なぜジョコヴィッチを倒すのが難しいのでしょう?

彼はまず動きがすばらしい。ボールを両サイドからソリッドに打つことができる。彼のゲームにはほとんど穴がない。だから彼が相手だと普段では5〜6ショットで決められるゲームが15〜16ショットが必要になってくる。辛抱強く自分にチャンスがくるまで待たなければならない。チャンスがくれば正しいショットで確実に決めなければ彼には勝てない。

今までも彼は強かったが、昨年以来、自信にあふれた彼はエラーが少なくなり、ますます強くなってきている。

(自信があれば、自分のショットを信じることができます。ですからビッグポイントでためらうことなく、思いきってラケットを振ることができ、ウィナーが打てる。自信に欠けると迷いが生じて中途半端なスウィングになります。

私は試合中に「コミットせよ」と自分に言い聞かせることがあります。たとえボールがコートの外に出てしまっても、コミットする習慣を練習の時につけておくのです。普段なら100%に近い確率で打てるショットを打つには、自身のマッスルメモリーを信じてコミットしなければなりません。その感覚をどんな窮地に陥っても呼び戻すことができるようになればしめたもの。

その感覚をジョコヴィッチは2010年USオープンのフェデラー戦で開眼したと思います。あの有名な「目をつぶって打った」ショットです。マリーに欠けている大きな点は、このマッスルメモリーを信じるという点ではないでしょうか。)

優勝後、走り回るジョコヴィッチ。駆け足のジョコヴィッチをセルビアの牧師が引き止めて、お祝いのセルビアの歌を彼のために歌いました。敬虔なクリスチャンであるジョコヴィッチの側面がうかがえる珍しいシーンです。(タイムログは2’03”)

 

 

テニス仲間のアンディ・キム

ジョコヴィッチvsマリーの決勝は第2セットの第9ゲーム(4−4)までTV観戦しましたが、ダブルスの仲間のアンディ(プロのミュージシャンでチェロリスト)が彼のスタジオでコンサートをやるというので出かけていきました。シンフォニーは聞きに行っても、チェンバーミュージックは聞く機会がなく、なかなか素敵でした。

彼はエール大学の音楽科を出て、ザルツブルグで修行。最高級の技術をもちながら、キャリアの最後はブロードウェイのミュージカルの楽団の一員。途方もない時間+エネルギー+資金をかけても、報われる音楽家たちはほんの一握り・・・芸術の道はきびしいですね。

普段は彼とバカな冗談ばかりを言って日韓戦争(彼は韓国系アメリカ人)をしている気のおけない仲間ですが、すばらしい演奏に(特にソロがヨーヨーマのようでした)ちょっと見直してしまいました。アンディはとにかくやたらとポーチが好きで、無理をしていつも相手にポイントをとられてしまいます。鉄砲玉のように飛び出すアンディを叱りつけている私ですが、少し寛容になってあげなくっちゃ。

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6 Comments

  1. ジョコの優勝後の映像ありがとうございます。とっても忙しそう。でもジョコの明るい人柄が、皆をハッピーにするのがよくわかります。試合を支える人達のエネルギーになりますね。私は、今回の決勝ではジョコのFHのスイングを楽しみました。TVに出始めた頃から、ジョコの肩甲骨周りの柔軟さにはびっくりしていましたが、フォロースルーがすごいなあと感心!

  2. 決勝戦は録画で観ました。
    ジョコヴィッチは昨年ほどの強さはないと言われながらも(昨年が強すぎた?)、負けないテニス=強いテニスを展開していますね。以前のジョコなら負けてた気がする試合も、きっちり勝っています。王者なんですね。
    マッスルメモリーはあの時のショットからですか。ロジャーファンは胸が痛いです~。

    マリーは残念でした。決勝で負けるのはファンも辛いですね。泣けますよね。
    マリーも頑張れ!

  3. ジョコ優勝記事ありがとうございました。ファンとしてはかなりヤキモキ?!
    第1セットと第2セットではかなり違う内容(j準決勝まで)。
    もちろん対戦相手も調子があがったのもありますが。昨年のジョコとどうしても比較してしまう、
    だけど優勝してくれただけで本当に嬉しい限り。

    tennisnakamaさんが書いてくれたここぞのショット(マッスルメモリー)は確かに以前は見れなかった。
    やっぱり自信が芽生えたことは大きいですね。
    今回も貴重な映像、忙しい中の更新ありがとうございました。

  4. PCの設定の問題なのか、私の書き込みはスパムに入ってしまうみたいなので、極力書き込みを控えておりますが、せっかくのジョコの優勝でちょっとでもコメントを増やしたくて書き込んでおります。
    スパムに入ってお手数掛けてしまったらすみません。

    2試合分マリーに体力温存ができたので有利かと思ってましたが、実際はそうではなかった。厳しい練習を重ねたトップクラスのマリーであっても、実践での試合感はなかなか取り戻せないのですね。それが1セット目に顕著に表れた・・・。
    2セット目に入ると徐々にロングラリーが増えはじめ、ポイントがどっちに転んでもおかしくないような内容になってきました。2セット目をマリーに取られたら、この試合はジョコにとって危ないものになるだろうと、やきもきしながら見ていたジョコファンは私だけではないでしょう。

    マリーやマリーファンの方には悪いけど、優勝できて本当によかったです。

    本当に本当に申し訳ないのですが、やっとやっとつかんだno.1の座。守るポイントが多すぎますが、そう易々と明け渡すわけにはいきません。視聴率的にはまだまだ王者ではないのか、放送カードに組まれないこと多のジョコ(憂き目にあっているのはマリーも一緒)。No.1から引きづり下ろされたら、また試合を見る前にトーナメントが終了してしまうような日々に戻ってしまうんじゃないかと、心配で仕方ない私です。
    今の調子を維持しつつ、さらなるレベルアップに励んで欲しいと願ってやみません。

    本音を言えば、GSでトップ5が1週目に負けることなんてほとんど無いのだから、1週目はケガでランクダウンした選手やベテラン・注目の新人選手にスポットをあてた放送カードにしてくれたらいいのに・・・と思ったりもます。

    (from tennisnakama: なぜだかスパムに入っていました。申し訳ありませんでした!)

  5. 本当にクラシック畑の人達は、仕事の場が少なくて大変ですよね。

    日本などはまだ恵まれてる方でしょう。今でも、採算度外視で補助金でクラシック音楽家を地方公演に呼ぶシステムがたくさん残ってますからね。僕は、こんな税金の使い方はおおいに結構じゃないか、と思います。

    特にデジタル革命でCDが売れなくなって、Pops系の音楽家も大変でしょう。コピ-が簡単で、音楽の有難みが希薄化してますからね。

    クラシックマ-ケットが細って食べれなくなる中で、一見下手くそそうなロックバンドにクラシックの凄腕がけっこうゴロゴロしてるんですよ。由々しきことですね。

  6. おお、このジョコのプロ根性素晴らしいですね。

    ボ-ルパ-ソンの控室にまで行って感謝の声をかけるなんてナイスガイです。

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