グランドスラムのシード32の賛否両論

August 21, 2012

今年のUSオープンは日本男子3人(錦織圭、添田豪、伊藤竜馬)がストレートで本戦入りを果たしました。これは歴史的なことではないかと思います。2001年のウィンブルドンからシード16からシード32に変わって10年余が経ちました。なぜシード16から32に変わったのか?その背景と、まだ続くシード32の賛否両論について書いてみたいと思います。

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今年のUSオープンでは錦織はシード17となると思いますが、もしシード16制度のままでしたら、錦織は1回戦からトップ選手と当たる可能性があり危ないところでした。シード32の恩恵を受けて、シードをもらえば2回戦まではトップ32の選手とは対戦を免れることになります。

ところでウィンブルドンはなぜ20001年にシード16から倍の32に増やしてしまったのでしょうか?

クレー選手から怒りを買ったウィンブルドンのシーディングシステム

ウィンブルドンは芝に強い選手を優先した独自のシステムでシードを決めますので、クレー選手にとっては大変不利なシーディングとなります。

2001年ウィンブルドン前週のランキング16位

1 クルテン
2 アガシ
3 サフィン
4 フェレーロ
5 サンプラス
6 ヒューイット
7 カフェルニコフ
8 グロージャン
9 コレッチャ
10 ラフター
11 ヘンマン
12 クレモン
13 エンクヴィスト
14 ガンビル
15 フェデラー
16 ヨハンセン

2001年ウィンブルドンのシード16

1. サンプラス
2. アガシ
3 ラフター
4. サフィン
5. ヒューイット
6. ヘンマン
7.カフェルニコフ
8. フェレーロ
9. グロージャン
10.エンクヴィスト
11.ヨハンセン
12. ガンビル
13. クレモン
14. フェレイラ
15. フェデラー
16. ヴォルチコフ

ランキング5位のサンプラスがシード1、10位のラフターがシード3となっています。イギリスのホープのヘンマンは11位ですが、シード6をもらっています。

ウィンブルドンのボイコット騒ぎ

かなりシードに変化があり、これはあんまりじゃないの!と芝の苦手なクレー選手の怒る気持ちはよく理解できます。フレンチオープンで優勝したばかりで、ランキング1位のクルテンは、クレー選手を代表してウィンブルドンの不公平なシーディングに対して公に不満を述べ、ついにボイコットをするとウィンブルドンを脅かしました。それにつづいてスペインの選手たちも賛同の意を表し、クレー選手たちがどっと抜けてしまう可能性が出てきました。そうなると大変なことになります。

そこでシード選手を増やす苦肉の策シード32が採用されることになり、シード16に入れなかったトップのクレー選手たちは、シード32まで入れば2回戦までは他のシード選手と対戦しなくてもよくなり、一応騒ぎがおさまる形となりました。しかしクルテン、コレッチャなどの欠場で、風通しがよくなったウィンブルドンは、WCのゴラン・イヴァニセヴィッチが優勝するという思わぬハプニングで幕を閉じることになりました。

シード16の賛否

トップ選手同士が1回戦で当たってしまう可能性があり、厳しいトーナメントとなりますが、思わぬアップセットが起こる面白さがあります。そうなるとランキングの低い選手にとって勝つチャンスが増え、ブレークスルーできる機会が増えることになります。

1回戦から何が起こるか分からないのでチケットの売り上げは上がりますが、トップ選手が敗れてしまうと、無名の選手の決勝となる場合があり、大会側としては後半の売り上げが期待できない不安はあります。

しかし1985年のボリス・ベッカーのように、ノンシード選手が水星のごとく登場して優勝をさらってしまうドラマも生まれやすいのがシード16です。

シード32の賛否

2001年のウィンブルドン以降、すべてのグランドスラムにシード32が採用されることになり、トップ選手の間では好評のようです。それでなくとも1回戦は緊張で思わぬアップセットが起こりがちですので、これでひとまず2回戦まではシード選手と当たることがなく、3回戦まで残れる可能性が高くなりました。

トップ選手が残る率が高くなりましたので、興行的にはコンスタントに後半戦までチケットを売ることができ、大会側にとっても好評のようです。

しかしテニスファンにとっては、前半戦はかなり予期できるトーナメントとなってしまい、ある意味でスリルに欠けるGSになってしまいました。また若い選手がブレークスルーしにくくなりました。

そこで提案です。

そろそろフェデラー、ジョコヴィッチ、ナダル、マリーのトップ4の争いも飽きてきましたので、せめて第5のGSと言われるインディアンウェルズやビッグなマイアミなどが、シード32をやめてシード16にするというのはどうでしょう。突然ニューフェースが現れたりして、マスターズももっと面白くなると思うのですが。

Reference:
http://www.livestrong.com/article/370827-seeding-in-professional-tennis/
http://sports.espn.go.com/sports/tennis/wimbledon07/news/story?id=2910096
http://sportsillustrated.cnn.com/tennis/2001/wimbledon/news/2001/06/18/wimbledon_seeds/
http://chronicle.augusta.com/stories/2001/06/12/oth_312679.shtml

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14 Comments

  1. >何が正しくて、何が間違っているのかが分からない状態です<

    これは誤りです。何が間違っているのは皆分かっているのですが、解決策が見つからない=何が正しいかが分からない、という状況ですね。

  2. akira 殿

    現在のエレキメ-カ-の衰退ぶりは、例えば、トリニトロンの優位性に固執して液晶TVへの転換が遅れたことがSonyの凋落を招いた、とか、いつまでもプラズマ技術に固執したのがパナの凋落の原因だとか、等々言われてますが、何だかんだ言っても$80円を切る超円高、ユ-ロ100円を切る超超円高が日本のエレキ産業の衰退の原因であることは間違いないでしょう。

    現代のの為替戦争においては、中央銀行が紙幣を印刷しまくってばら撒く金融緩和をしないと、自国通貨安にはなかなかなりません。

    他に通貨安を招くのは、勿論金利が安くなることですが、どこもここも実質0%金利れべるなので、もうどうしようもありません。

    現在、何とか79円±0.5円のレベルで踏ん張っておれるのは、被災者にはお気の毒ではありますが、原発停止による火力発電用の燃料輸入による「円売り」と今年2月の「日銀金融緩和方針強調」のおかげともいえます。

    政府や経済界からの圧力で今年2月14日に、突然の金融緩和を打ち出して、一時、84.50円近くまで進んだ「超円高の是正」もその後の日銀の腰砕けに近い「優柔不断」さで効果がぶち壊しになり、再度、80円切れの「超円高水準」に戻ってしまいました。

    日銀もそれゆけドンドンで金融緩和を打ち出せば、面白いように「円安進行」が来るのが十分分かりながらそれをやりません。

    現在の経済状況は、今日の価格は先月より安いという明らかなデフレ経済です。お金を使わず現金でじっと持っていれば、お金の使いで=価値が上がります。その分だけ、目に見えない金利が現金には付いているわけですね。

    要するに、毎日のように日本円は価値が増えているわけです。

    輸出企業には塗炭の苦しみの「超円高」は一定所得のある一般庶民にはとても有難いことなのですね。

    それが分かってるから日本銀行は金融緩和に二の足を踏んでいるわけです。

    円高には金融緩和や日本円売り/外貨買いの為替介入でブレ-キをかけれますが、一旦、円安が暴走し始めたらブレ-キはありません。国民生活、特に年金生活者の皆さんの生活は崩壊してしまいます。

    現在の年金制度は物価スライドになっていますが、急激な円安に伴う輸入インフレには対応ができないからです。

    しかし、年金生活者や今現在就労している人たちの生活優先で「超円高」を放置すれば、国内経済は更に縮小し、シャ-プで問題になっている一方的な現役世代の雇用喪失、新規採用減という未来世代の雇用喪失という長い時間軸で考えれば「国家崩壊」というような問題が発生します。

    今現在、日本を含め、世界中の政治システムが「世界経済の混迷」に対応できないということが明らかになりつつあります。

    経済先進国では人間の血こそ流れてはいませんが、「世界第三次大戦」状態にあると言えます。

    何が正しくて、何が間違っているのかが分からない状態です。

  3. akira 殿

    ご夫婦ともにPANAに勤めておられたんですね。今回のスマホネット家電は論外ですが、PANA製品は機能性と信頼性がダントツですね。

    ちょっと高額の家電製品は他のメーカーより割高でもPANAが選ばれます。

    ご主人がた技術陣の長年にわたるご努力の賜物ですね。

    液晶TVに全てを賭けて会社存亡の崖っぷちに追い込まれてるシャープを思えば、今回のネット家電なんかを誇らしげに発表するPANAもちょっと憂うべき状況ですね。

  4. あれ?今村さんにお返事したのにコメントが消えてしまいました(^_^;)
    またスパムかしら。
    仲間さんはお忙しそうだし、復活しなかったらまた書きますね。

  5. 今村さんのお蔭で興味深い記事を読ませて頂きましたわ。

    別に回顧主義なわけでは有りませんが、選手のプレースタイルもサーフェスもシードの決め方も独自性の強かったあの頃が懐かしくも有りますね。
    賞金に関しても賛同です。世間の注目度がどれほど違うのかはっきりしてますもんね。
    前は女子の試合も観たんですけど最近はすっかり興味無くなってしまいました。
    今日のドロー発表のTwitterでも男子が終わって女子になっても誰も興味なさそうでしたもの。
    それで同額なんてね~ 不公平じゃないですか?

    そうあの1戦とはエドバーグ対チャンの試合です。
    思い出すのも嫌になります。いったいなんだったのでしょう。
    ますますクレイに興味が無くなったわけですよ。
    そんなでロジャーがRGでやっと優勝できた時の涙にめちゃくちゃほだされました。

    レンドルファンだった今村さんとエドバーグファンだった私がロジャーファンで一致しているのが面白いですね。

  6. stefan様

    あの一戦とは」決勝戦ですね。2セットとったのは先だったはずですが。チャンは後にも先にもあれが唯一のGSでしたね。解説の坂井利郎さんが、「エドバーグはこの試合に勝つと一皮むけてずっと強くなるのだが」と言っておられましたが、残念ながらでしたね。僕はレンドルがチャンに負けてしまい、その時点で戦意喪失でした。はい。

  7. 管理人殿
     私の私的な質問を、わかりやすくまた面白い記事にしていただき深謝です。御礼兼ねたコメント書く前にどんどん記事の更新が進み、昔の記事に対するコメントっぽくなってしまいました(以前最新コメントがわかりやすくならないのかに対しては、システム上、無理でしたね)。
     GSのシード:全英が芝生の適正を考えてシードを決めていたのは(ランキングではなく)以前よりとても面白く思っていました。でもそれがボイコット騒ぎにつながり、シード32になったとは存じ上げませんでした(少し前の記事に過去の芝生の戦績を考慮して決めるとありましたが、そんな物ではないくらいの、シードの決め方だと感じていましたが、最近はシードの決め方がおとなしくなったのでしょうか)。2001年かそれ以前のGS(あるいはコート適正)をご存じの方は同意してくださるでしょうけれど、正直言って、ベラサテギ、ブルゲラ、コレッチャ、コスタやクエルテンが芝で優勝できると考えている人は皆無だったでしょう。きわめて適切なシード決めではなかったでしょうか。逆に言わせてもらえば、クライチェク、ヘンマン、サンプラス(真の全盛期のほんの1-2年を除いて)が全仏で活躍できると考えていた人は皆無でしょう。だから全仏も独自のシード決めをすればいいのにと思っていました。GSですからそのくらいの権威で物事を決める権限があっても良いし、どう主催者側が考えているか、おもしろいと思うのですが。
     そういう意味では、ここ10年のGSはいわゆるサーフェスのスペシャリストがいなくなりましたよね。ラケットとガットの進化でベースラインからでもエースがとれる、サーブアンドボレーが消えた、等々あるのでしょうけれど。全英の芝生が変わったのは以前教わりましたが、全仏のサーフェスは昔のままなのでしょうか。2009年の全仏でデルポトロはじめとする選手がハードコートのようにプレーできると喜んでいた記事がどこかにありましたが、単に感想のせいか、サーフェスが変わったのか、どなたかご存じでしたら教えてください。

     全英のシード決定が独自と言えばですが。全英は「集客力の違い」を理由に最近まで男女の賞金に差をつけていて、個人的には納得でしたが。最近同額になってしまい、ここでもplitically correctに屈したのかと思います。プレーを見ていて面白いろいのはどちらか。歴然としているのに(反論がごまんとあるでしょうけれど)。反論に対する僕の反論は、男子の新体操、シンクロナイズドスイミングが成立しないとの同じでしょう。誰が見たいのか、毛むくじゃらの男の新体操を、です。

  8. tennisnakamaさん
      ヨーロッパ旅行のまえに、次々興味深い記事をありがとうございます。
      準備の方は、もう終わったのですか?  

    comoestamiyashitaさん
      panaは、ついにそんなものを作ったのですね。実は、私も主人(もうリタイアしています。)も元panaの社員でした(特に主人はエンジニアとして商品開発にたずさわっていました。)ので電機メーカーの動向は気になり、最近、panaらしい商品がないので寂しくおもっていました。  以前は地味でも高品質なものが
    多かったようにおもいますが、主人曰く、この難しい時代をリードできる人材がいないと言っています。
      私は350万の洗濯機を売りつけるのは賛成です。高いけど、でも買っちゃうくらいのものを作って納得させて欲しいです。  幸之助さんもお墓の中で嘆いているでしょう。

  9. 洗濯物をたたむのは嫌いですので、洗って乾燥してたたんでくれる洗濯機を考えて欲しいですね。

  10. nikoさん

    私の説明が足りませんでしたがイメージしている自動掃除機とは、棚のほこりもはらい、部屋から部屋へと移動することができる、スマート掃除機のことなんです。そんな掃除機があれば35万でも買ってしまうかも。つまり価値観の違いですね。洗濯はそんなに苦にならないので35万はジョーダンとなりますが、嫌いな掃除には高くても苦痛を覚えるくらいならエイヤッ、でカードを切ってしまいそうになりますが、やっぱり高すぎて止めますね。

  11. tennisnakamaさん

    留守中に自動で掃除をしてくれる機械なら、ルンバがありますよ。
    私はもっていないのですが、友人の話によるとかなり快適だそうです。
    でも、少なくとも、床が見えている状態になっていないと活躍できませんけどね。

  12. なるほどね~ ゴラン良かったね~

    今思い返すと、1980年~1990年代、全仏にはあまり興味が無く適当にしか見てませんでしたね。
    私にとっては1989年のあの1戦以外、4大大会の中で一番興味の無い大会でした(笑)

    それはさておき、こういう記事こそが仲間ブログの醍醐味ですね。

    主催者さんが納得するならシード16というのも面白いかもしれませんね。
    いつまでもロジャーとラファにテニス界の人気を背負わせておくわけにはいかないでしょう。
    次世代のスター発掘のためにも第2第3のベッカーが必要ですね。
    ゴファン君の登場だけでも盛り上がったのに、突然GSで優勝しちゃう若者が出てきたらそりゃ盛り上がりますね♪

  13. comoestamiyasitaさん

    >クラウド通信で洗濯機に指示を出して、最適の洗濯石鹸の量と洗うパタ-ンを自動調節する35万円のネット白物家電製品<

    これはまったくオタクの世界ですね。それに比べればアメリカの洗濯機なんて原始的そのものですが、別に支障をきたしていないので、35万円も使うのなら、私はテニスの個人レッスンを受けまくります。

    昔日本にいた頃、わずかの間でしたが広告会社に勤めたことがあり、化粧品の広告を男性たちがストーリーボードをつくっていろいろ案を出し合うミーティングに参加したことがありますが、あの時のことを思い出してしまいました。遊びなんですよ。実際自分たちに関係ないことなので、あれをつけるといいかも、こうすると面白い、といろんなアイデアを出しで遊んでいたのかも。気がついてみたら35万円になっていた。

    私は掃除が嫌いなので、留守中に掃除をしてくれる掃除機をつくってほしいです。パナソニックさん!

  14. なあるほど、サスガは管理者殿!

    GS7回ファイナルまでいって優勝出来なかったゴランがオ-ストラリア悲願のウインブルドン優勝をかけたパトリック・ラフタ-との壮絶な試合で、最後、自分のサ-ブが入らず天を何回も仰ぎながらもマッチポイントをもぎ取った後に、胸で十字を切ってテニスの神様に感謝するシ-ンは感動的でした。

    でも彼の優勝の裏側にはそういうクレイ選手達の葛藤もあったのですね。知らなかった。

    ふむふむ、あの時の感動がよみがえりました。

    日本男子選手3人が本戦ストレ-トインなんて時代が来るなんて、思いもしませんでした。そのうちの一人はシ-ドですからね。杉田も何とか厳しい予選を勝ち上がって欲しいですね。

    全然、話は変わりますが、今朝の日経新聞にパナソニックが「クラウド通信で洗濯機に指示を出して、最適の洗濯石鹸の量と洗うパタ-ンを自動調節する35万円のネット白物家電製品」を発表した、とありました。

    2014年に世界で260万台売り上げて2000億円の販売を目標とする、だそうです。

    これを企画した技術者やこの企画にゴ- サイン出した経営陣はバカじゃないんですかね。まだ、液晶TVかなんかを付けた方がましですね。

    呆れました。ここまでパナの企業としての判断能力が落ちてるなんて・・・。パナだけはこの超円高の逆境にあって、奮闘してくれると期待してたのに。

    開発スタッフには女性も当然いたんでしょうが、普段、洗濯なんてしたこともない男連中が考えたんでしょうね。

    僕は洗濯と洗濯物干しが大好きで、天気が良い日は一日に数回洗濯しますが、洗濯機にそんな機能なんか絶対求めませんよ。

    それも実売価格35万円なんて、本当に何を考えてるんでしょうかね。で、2014年に260万台売るなんて、どこをどうやればそんな市場が見つかるんでしょうか。

    洗濯機に35万払うくらいなら、旅行でも行った方がましです。

    一台350万円にして、どうせアブク銭感覚の賄賂の金を数十億単位でくすねてる中国や新興国の官僚連中や中近東のオイル成金に売りつける、というのならまだ分かりますが・・・。

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