チャレンジの後はポイントそれともリプレー?

December 4, 2012(更新)

チャレンジシステムが導入されてから、コールの問題はホークアイの判定が最終判定となりますので、正確さはともかくもめることはなくなったのですが、その後のポイントをどうするか? ポイントを与えるのか? それともリプレーにするのかどうか? の問題でときどき首をかしげたくなる判定を見ることがあります。つまり判定は審判に一任されますので、かなり主観的なものとなりがちなのですが、ここでビデオの例を紹介しながら、ケースを考えてみたいと思います。

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USTAのルールブックの第25条にHindrance of a Playerの項があります。このルールを参考にしながら『ポイントそれともリプレー?』の考えてみたいと思います。

(ケース1)A選手のサーヴ(またはショット)を線審が「アウト!」とコールして、A選手がチャレンジした結果、ホークアイで「イン」となった場合。

A選手にポイント:リターンが不可能と判断された場合
対戦相手のB選手にとってはラケットにも触れることのできないエース(ウィナー)でしたので、このチャレンジで結果が「イン」となりましたので、A選手のポイントとなります。

リプレーになる場合:コールによってプレーが妨害されたと判断された場合
A選手が打ったショットがアウトとコールされましたので、B選手はプレーを止めてしまいました。または止めなくてもコールによってプレーが妨害されてしまってエラーを出してしまいました。しかしはっきりとウィナーであるかどうか決められないケースが多く、はっきりしない場合はリプレーとなります。

(ケース2)線審がA選手のボールをアウトコールした直後に「イン」だったと訂正した場合

ケース1と同じく、訂正のコールでプレーが妨害を受けたと判断された場合はリプレー。エースやウィナーであればA選手のポイントになります。

もし選手が「イン」コールに対してチャレンジした場合はちょっと複雑になります。

ラドヴァンスカvsサファロヴァ(2011年ドーハ)の試合がよい例となりますので、ビデオを紹介しながらこのケースを考えてみたいと思います。(今村さんから情報をいただきました。Thank you)

サファロヴァ(A選手)のショットを線審がアウトコールをした直後、インと訂正しました。ラドヴァンスカ(B選手)は最初のアウトコールでプレーを中止しましたので、この場合はリプレーとなるはずだったのですが・・・

ラドヴァンスカはボールがアウトに見えたと思います。もしホークアイの結果が「アウト」であれば、ラドヴァンスカは自分のポイントになりますので、チャレンジをしました。しかし結果は「イン」だったのです。彼女は「イン」だった場合はリプレーになると思っていたので、審判に抗議しました。

ラドヴァンスカの考え方は「アウトコールでプレーを中断してしまったのだから、インが正しいコールであっても、リプレーにするべきだ。」

しかし審判の考え方は「結果がインとなったのだから、サファロヴァ(B選手)のポイントになる」

ラドヴァンスカは審判の判定を不服として、スーパーヴァイザーに訴えましたが、審判の判断が正しいとして、ラドヴァンスカはポイントを逃してしまったのです。

 では、この模様をビデオでご覧ください。

ではなぜ審判Kader Nouniが判定が正しいのか(サファロヴァのポイントになる) 説明したいと思います。

チャレンジすることの意味

チャレンジとはホークアイの結果を最終コールとみなすことをさします。ホークアイの結果には審判もスーパーヴァイザーも抗議ができません。ラドヴァンスカはチャレンジを行うことによって、リプレーの権利を捨てたことになります。妨害があろうとなかろうと、関係なくホークアイの結果に従うこと、つまりチャレンジをすることを選択したのです。

結果はサファロヴァのショットが「イン」となりましたので、ラドヴァンスカはポイントを失ってしまったことになります。

審判の説明不足

ここで気になるのは、ラドヴァンスカがこのルールを知らなかったことではなく、ラドヴァンスカがチャレンジしたときに、審判がなぜ彼女に「チャンレジをするとリプレーを失ってしまう」ことを説明しなかったのか?という点です。こういう例は珍しいので、選手が誤解していて当然だと思うのです。

審判のマニュアルを読みましたが、それは細かく姿勢に至るまで心得が記述されています。選手が疑問に思っていることに対しては、説明して納得させる義務があります。相手にポイントが渡ってしまったときの説明も不十分で、ラドヴァンスカは最後まで理解できなかったようで残念でした。

ついでに同じ審判Kader Nouniということで、今度はナルバンディアンにチャレンジを与えなかった事件を紹介します。

今年のオーストラリアンオープンIsner vs Nalbandian;第5セットの8−8。1ポイントも落とせない重要な最終セットです。イズナーのサーヴを線審はアウトとコールしましたが、審判はオーヴァールールしてインとしました。会場がうるさくてナルバンディアンは審判の声がよく聞こえなかったので、審判に近づいて尋ねました。そうしてラインの近くまで行ってボールの跡を確かめて、チャレンジを行おうとした直前に審判は、ナルバンディアンは時間がかかりすぎると、イズナーにポイントを与えてしまったのです。

ナルバンディアンは激怒して、スーパーヴァイザーに訴えましたが、取り合ってはくれず、結局チャレンジ権は与えられずに終ってしまいました。

確かに、ナルバンディアンは事情がよく読めないせいもあって、チャレンジをリクエストするのに時間がかかっていました。しかしグランドスラムでしかも最終セットの8−8。このような大切なポイントでは、チャレンジを与えるべきだったと審判の判断に大きな批判が集まりました。

私もこの場合はチャレンジを与えるべきだったと思っていますが、いつも問題になるのがチャレンジのリクエストのタイミングです。ルールでは「すみやかにチャレンジを行う」とあるだけで、はっきりと何秒以内に行わなければならないと書かれていませんので、審判の主観的判断に任されてしまうことになります。

チャレンジのタイミング

デルポトロとのUSオープン決勝で、フェデラーのボールの跡をデルポトロがラインにまで歩み寄って確認したあと、チャレンジのリクエストをしました。そのときにフェデラーがかなり怒って「時間がかかりすぎていると」審判に抗議しました。チャレンジはすみやかに行わなければ、相手がリズムを失うことになりかねません。

ラインまで行って確認するのは、禁止するべきだと思います。チャレンジを直ちに行わなければ(2秒以内くらい)チャレンジできないことをルールとして明記してほしいと思います。ルールがあいまいな現在は、作戦的に利用されてしまっている感がありますので。

ステファンキ(ロディックの元コーチ)は、将来はラインジャッジはテクノロジーで必要でなくなるだろう、と予言しています。これは寂しいことです。誰もいなくなったコートで、黙々と選手が打ち合っていては面白くありません。人間 vs 機械の対決も試合を面白くさせるエレメントであり、混乱や抗議があってこそ、ドラマが盛り上がるのです。機械の完璧さを求めるのはコンピューターゲームで十分。しかしほとんど意味のないフットコールだけは、何とかテクノロジーで解決してほしいと願っているのですが。

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10 Comments

  1. mayorukanさん、映像を見る限りラファは自らOUTだと思いプレイを止めているように見えます。
    (手を上げているのはチェレンジの合図だと思うのですが・・・)

    本来ならそこでラファのチャレンジとしてホークアイを見れば問題は簡単でしたよね。
    ところが主審もその後OUTの判定をしたので話がややこしいんですね。

    ラファはOUTのコールでプレイを止めたのだからリプレイだとの主張なんでしょうかね。
    私にはラファ自らプレイを中断したように見えます。

    だとするとOUTのコールがプレイに影響しなかった事になり、プレイを中断したラファがポイントを失うことになったのかなと思ったのですが、どんなもんでしょ。

  2. チャレンジするのに確認してとか主審に聞いてからとかはやめて頂きたいですね。

    まぁ、時としてそのやり取り自体が楽しい時も有りますけどね。

    でも、このポイントで・・・て時にはさすがにやめてもらいたいと思ってしまいます。

    ところで観戦している私達には選手がチャレンジしたのかしないのか、動作だけでは分からない時があるんですけど、主審はちゃんと分かってますよね。

    あれって選手の「チャレンジ」の声が主審には聞こえているんですか?

    なんとなく手を上げるようなしぐさをに、チャレンジするのか・・と思ってるとしなかったりで??の時があるもので。

  3. mayorukanさんのコメントが表示される前に書いてしまったので↑、お間抜なコメントを載せてしまいましたが、

    そうそう、それ!それも観ましたよ。「??」でした。あの時のラファです!凄いエネルギーでした。
    早くコートを走るラファが見たいですね~♪

  4. imamuraさん

    ご指摘ありがとうございます。編集する際に私の記事の後半が消えてしまっていたことに気がつきませんでした。何しろ風邪がまだ治らないのに、テニスやボクシングをやっていまして、体は不思議と持ちこたえているのですが、頭の方がぼーっとして、ミスが多くなってきているようです。お許しください。

    審判の説明の部分ですが、書き足しました。チャレンジする前にラドヴァンスカにチャレンジをするとどうなるかということを説明してほしかったのと、ポイントがなぜサファロヴァにいってしまうのかの説明が足りませんでした(というか説明が下手でラドヴァンスカは最後まで理解できてなかったように思います)

  5. このナルバンディアンvsイズナーは観ていました。このシーンはよく憶えています。

    ここで使えないの?!と驚いたので印象も鮮やか。。ナルバンディアンが気の毒に思いました。あれは認めてあげるべきだと思いました、もっと遅い選手もいますから。

    でも同じ事がナダルに起こったら・・・・。ラファも審判の判断を不服として猛烈に怒るシーンを何度か見ました。でも当然受け入れられない。しかしラファはその怒りをエネルギーとして、必ず勝ってしまいます。

    だから、逆にラファにこんな出来事が起こると、「あ~ラファに火をつけてしまったわね。相手の選手はかわいそう。。」と思うくらいです。

    チャレンジシステムはあっても審判は人間。その決定を引きずらずに、いかに+に変えていくかはやはり選手しだいということになるでしょうか。つくづくテニスはメンタルのスポーツですね。

  6. スミマセン。
    今書いたコメントがどこかへ行ってしまいました。
    動画のアドレスを載せたせいでしょうか?

  7. tennisnakamaさん、こんにちわ。

    タイムリーな企画です。ナダル不在のこの4ヶ月半、過去のビデオを見て凌いでまいりました。
    この間見たビデオで、何となくすっきりしない思いをしていたので、解説していただけたら嬉しいです。

    2010年ロンドンファイナルのナダルvs ベルディヒ,戦です。 1stセットナダル5-6から、ナダルのサーブ15-15でベルディヒが返したボールがアウト判定になり (線審のアウトコールは聞こえませんでしたが、主審はアウトと、指を立てています、ナダルもアウトと思って動きを止めたように見えます)、それに対してベルディヒがホークアイを要求し、結果ぎりぎり1ミリの差で「イン」だったのです。

    そのあと、ナダルはリプレイだと思っていたところ、15-30とベルディヒのポイントになっていたので、一生懸命抗議するのですが聞き入れられず、ディレクターに訴えるのですが、これまた聞き入れられず、・・・
    結局ベルディヒのポイントになってしまったのですが、この怒りパワーを次のポイントに向けて、ナダルは30-30に戻し、(この時のバモスが凄い!)結局ゲームキープするのです。 この辺りの気持ちの切り替えはさすがです。それにしても、あんなに真剣に訴えるナダルは初めて見ました。

    何故ナダルがあれほど抗議したのか、主審の判断はどうだったのか、何故ベルディヒのポイントになってしまったのか、あの真剣に抗議するナダルを納得させて欲しいと思います。
    よろしくお願いいたします。

    http://www.youtube.com/watch?v=-4EObHpj9sw

    (tennisnakama: リンクを貼るとスパムになってしまうようです。すみませんでした。今からテニスに出かけなくてはなりませんが、この試合もよく覚えていますので、皆で検証することにしましょう。)

  8. 管理人殿

    すごい早い記事への対応で感嘆しています。ありがとうございました。
    質問:ラドヴァンスカがチャレンジしたときに、審判がなぜ彼女に説明しなかったのか?という点だと思います。

    は、どの時点でのものと考えるべきなのでしょうか。チャレンジしたときに、「これでインだったらあなたはポイントを失いますがそれでもしますか?」という意味でしょうか。これならばどの選手も納得かと思います。ただしこれは少し過保護という人もいるでしょう。チャレンジ失敗の後での説明でしょうか。それならばこのビデオでは一応しているように思いますけれど(自分の英語力では聞き取りきれませんが)。このあたりはどうすべきなのでしょうかね.自分が審判だったらと思いました。

    ナルバディアンの件のところでは最初に読んだときには、チャレンジ件を与えるべきだったのでは、との意見が書かれていましたが(僕もそう思いました)消されたのでしょうか。色々ブログで反論や炎上があって気になさってもことなのでしょうか。

    でも外野からの意見で無責任なのですが。多少は、あるいは大いに、ブログの管理人の主観が入った意見を開陳していただいた方が面白いです。miyashitaさんはいつもどんなに矢が飛んできても、前に進んでいます。僕はこの姿勢が好きです。

  9. 確かに私もチャレンジの後、どのケースがリプレイなのか、疑問に思っていました。
    よく「?」て思う事がありますので、詳しい説明をしていただけると助かります。

  10. すみません、寝不足なのに私の愚問を記事にしていただいて。
    ここでビデオの例を紹介しながら、ケースを考えてみたいと思います。

    で記事が終わっていますが、これは予告編ということで、乞う次回、という意味でしょうか。

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