老齢化のロシアテニス界に希望の17歳の星:カチャノフがティプサレヴィッチを打倒

October 19, 2013 Moscow:

今モスクワでクレムリンカップが行われていますが、観客席はガラガラ。女子との混合ですが、黄金のサフィン時代に比べてその凋落ぶりに愕然としてしまいます。それもそのはずロシアの選手がいない。しかし暗黒時代のロシアで17歳のカチャノフがラモス、ティプサレヴィッチを倒してQFに進出。カーロヴィッチとの試合をストリーミング観戦をしましたが、ティーンエイジャーとは思えない成熟したプレーが印象的でした。

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Khachanov-Moscow-2013

Photo:RIA Novosti. Alexey Kudenko

ロシアの現在の選手のトップ100の選手は以下のようになります。5選手の中で20歳代の選手はドンスコイ一人で、老衰化がここまできてきまったかと驚かされます。

21位:ユーズニー(31歳)
39位:ツルスノフ(30歳)
48位:ダヴィデンコ(32歳)
76位:ボゴモロフ(30歳)
84位:ドンスコイ(23歳)

若い世代を育ててこれなかった最大の原因は、ロシアのテニス協会が若い選手を育てる資金がなく、有望な選手(ククシュキン、ゴルベフ、コロレフ)を石油で裕福なカザクスタンに売ってしまったこと。人身売買のようですが、ここで相当な金銭が動きましたが、それでもロシア政府の援助が少なく、長年デ杯とフェドカップのキャプテンをしているタルピシェフが嘆いていました。

由緒あるクレムリンカップに上位の3人が欠場して、ロシアのトップとして出場したのが、76位のボゴモロフなのですから、錦織、添田、伊藤の全員が抜けてしまった楽天ジャパンのようなもので、これでは会場がガラガラになってしまうのは仕方がないかもしれません。

ロシアを救えるか、17歳のカレン・カチャノフ

今年5月に高校を卒業したばかりのカチャノフは、今年のヨーロッパ・ジュニアチャンピオンシップで優勝したばかり。すでに身長が198cmもあり、これからも伸びていきそうでちょっと恐い感じもしますが、これだけ高いとサーヴは圧倒的で、シニアのプロでも十分に通用することを証明しました。

「シード3のティプサレヴィッチを破って準々決勝へ」のニュースで、まだ彼の試合を観たことがない私は好奇心満々でカーロヴィッチとの準々決勝を観戦しました。

カチャノフは7月のヨーロッパ・ジュニアで優勝したご褒美として、9月のSt. Petersburgのトーナメント(ATP250)でWCをもらい、1回戦で63位のハネスクを打倒しています。プロのサーキットでプレーしていなかったためポイントなしで、従ってこの時のカチャノフはランキングは無し。ランキングの無い選手がトップ100を破ってしまったのですから、常識では考えられない快挙です。

そしてモスクワでもWCをもらって、72位のラモスを1回戦で破り、2回戦では27位のティプサレヴィッチをも破ってしまいました。

一体カチャノフとはどんなティーンエイジャーなのかと興味津々で観戦しました。

カーロヴィッチ def カチャノフ:6-4 6-0

カチャノフのサーヴはすばらしく、73%でカーロヴィッチと同じサーヴの確率で強いサーヴィスゲームを展開していました。しかし第9ゲーム(4−4)でダブルフォルト、その後にFHを出してしまいブレークされてしまい、そこから挽回することができずに第1セットを落としてしまいました。

第2セットはもうカーロヴィッチの爆弾サーヴと低く飛行するスライスに悩まされ、焦りが生じてエラーの連続。結局メンタルで潰れてしまいましたが、17歳にしては落ち着いたプレーが印象的でした。爆発的なFHはまだありませんが、ジュニアらしくないしぶいプレーで痛く感心しました。

ジュニアとシニアの大きな違いは、ジュニア養成に携わっているコーチアッシャーいわく、いかに正確にライン30cm以内にコンスタントに打つことができるか。練習では打てても試合になると、ジュニアレベルではエラーを恐れて1m以上離れた安全地帯でラリーを続けているそうです。

カチャノフはカーロヴィッチにも劣らず、ラインぎりぎりを攻めて彼を走らせていましたし、浮いてきたショットはネットラッシュで処理していましたので、かなりオールラウンドでいける選手ではないかと思いました。

元No.1のロシア選手カフェルニコフは「後2年で彼はトップ20になる」と断言しました。これは身びいきな楽観的予想だと思いますが、19歳でトップ50にはいけそうな選手。楽しみですね。

クロアチアのコリッチ(16歳)、チリのガリン(17歳)、オーストラリアのキリオス(18歳)に並んで、これから次代を背負って活躍する選手たちを応援していきたいと思います。

(更新)ティプサレヴィッチとの試合のビデオをみつけました。

ティプサレヴィッチとの試合をビデオで観るとカチャノフの素晴らしさがよく分かりました。カーロヴィッチとの試合ではみられなかったすばらしいBHのクロスとFHのウィナー。しかも足が速くディフェンスもしっかりとしていました。この試合を観れば、カフェルニコフの2年以内はトップ20の予想はまんざら現実ばなれしているように思えませんね。

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3 Comments

  1. 朝日は今日の記事でした。

    漫画家のやくみつるは「プロだからそんなの気にしたらダメ」と言いながら「あの年になって感情を抑えきれない若さを持っているのはいいですね」とのことでした。

    大方の感想はそんな所かもしれませんね。

    卓球では「ため息だめよ」という紙を応援席に貼り出してるとのことで、やはり語尾が上がろうが下がろうが、選手にはトホホなんでしょう。

  2. ううむ、そうなると添田も老齢化テニス選手が目前ということですね。最後に、もう一花咲かせて欲しいですね。

    ロシアも冬の寒さと雪で、インドア施設が殆どないでしょうから、なかなかテニス選手には厳しい環境ですね。やはり、安価な練習施設が無いと底辺が広がらないので、ピラミッドが小さくなるので、頂点のレベルも下がらざるをえません。

    サフィンなどが活躍した時代背景を考えると、テニスとウオッカが大好きというエリツイン政権の誕生が大きかったんでしょう。

    エリツイン時代には、他のスポーツに比べてテニスは施設整備などで極端な優遇を得ていました。

    その後、今のプーチンになってからは、プーチンが大好きな柔道がかなり優遇されてるようで、あの国もまあ独裁政治ですから、時の権力者の嗜好がかなり色濃くでるみたいですね。

    昨日の朝日新聞に「伊達のため息特集」が出てましたね。

    日本では「あああ」の語尾が下がるので聞こえた選手にネガテイブな影響を与え、海外では「OHHH」の語尾が上がるのでそうでもない、みたいなことが書いてありました。

    まあ、東レPPの伊達の時は冴えないプレイで「あああ」の語尾が下がってましたが、有明で例えばデビスカップとかの添田が3S取った時なんかは、惜しいプレイでポイント落とした時はそうではなかったので、日本人はとか欧米人はとか一括りには出来ませんね。

    GSでもしょうもないプレイとかダブルフォルととかを肝腎な時に出すと、「Ohhh」の語尾は下がります。

    東レPPは今年で開催権レンタル期限が切れて、来年以降は高額契約金を提示した中国武漢市に持っていかれることになり、東レPPはランク一つ下の「プレミア700」開催権をリース出来たようです。

    でも賞金総額は2億3千万から7700万に下がるので、ビッグネームは殆ど中国に持って行かれるんじゃないでしょうか?

    その分、日本人選手の賞金ポイント獲得チャンスが増えるので、今の東レより客もはいるのかもしれません。

  3. Twitterでnikoさんから、以下のメッセージをいただきましたので、ここで説明させていただきますね。

    >「老齢化」って(笑)。せめて高齢化と言って。<

    人口を年齢別に区分した場合,0~14歳を年少人口,15~64歳を生産年齢人口,65歳以上を老年人口と呼び,老年人口の全人口に占める割合が増加することを人口老齢化という。

    テニス年齢は30歳をすぎると引退する選手がほとんど。そうなると西洋では引退年齢は62歳くらいですので、テニスでは30歳以上の選手は老年人口になります。

    その30歳がほとんどのロシアでは、やはり老齢化が合っているような気がしましたので、ちょっと過激な感じもしますが、「老齢化」とタイトルをつけました。

    そう考えると引退年齢でGSタイトルを狙っているフェデラーはやはり特異な存在ですね。

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