トーナメントを理解する:コートサーフェスのスピード全情報

November 24, 2013:

よく分からないのがコートサーフェスのスピードです。「サーフェスが速い」「サーフェスが遅い」とよく言いますが、意外と知られていないのが、速さの基準となるCPR(コートペイスレイティング)です。CPRの大小によってサーフェスは5つのカテゴリーに区別されています。サーフェスのスピードを知っておくと、トーナメントをより深く理解することができ観戦がさらに面白くなります。テニスファンは必読情報です。

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「全米オープンのサーフエスは速くて全豪オープンは遅い」とよく言われますが・・・どういうことなのでしょうか。サーフェスは全米がデコターフII、全豪がプレキクッション(プレスティージ)で種類が違います。従ってサーフエススピードも違い、全米がカテゴリー5(最も速い)、全豪がカテゴリー4(かなり速い)となっています。

ボールがバウンスした後飛んでくるスピードは、サーフェスの種類だけでなく、ボール、気温と湿度、標高などにもよって大きく影響されます。

サーフェスの種類は大きく分けて以下に分類されます

単純な言い方をすれば、クレーのように表面が粗いと摩擦が大きくなりスピンが多くかかり高くバウンスしてスピードが遅くなります。クレーではナダルがベースラインから3m以上下がってサーヴィスリターンをしているのは、高くバウンスしてスピードが落ちますので、エース級のサーヴでも間に合うのです。

逆に表面がなめらかであればあるほど、すべるように跳ねていきますので、バウンドが低くスピードは速くなります。ビッグサーヴァー、ビッグヒッターにとっては有利なサーフェスで、フェデラーのように相手に時間を与えずオンザライズ的に打つショットが効果的です。

サーフェスの種類は以下のようになります。

  • Acrylic アクリル
  • Artificial Clay 人口クレー
  • Artificial Grass 人口芝
  • Asphalt アスファルト
  • Carpet カーペット
  • Clay クレー
  • Concrete コンクリート
  • Grass 芝
  • Other その他(タイルや木など)

サーフェスのスピードはCPR (Court Pace Rating)でカテゴリーに分類

CPR (Court Pace Rating)とはボールの速度、摩擦、気温などを計算に入れ方程式は以下のようになります。

Surface speed

Vix = horizontal inbound velocity (m/s) 水平インバウンド速度
Viy = vertical inbound velocity (m/s) 垂直インバウンド速度
Vfx = horizontal outbound velocity (m/s) 水平アウトバウンド速度
Vfy = vertical outbound velocity (m/s) 垂直アウトバウンド速度
e = coefficient of restitution (COR) 反発係数
μ = coefficient of friction (COF) 摩擦係数
T = mean ball temperature for test location/sample (°C) テストの場所のボールの平均温度
c = temperature coefficient (0.003) 温度係数
eT= adjusted COR for temperature T 修正温度摩擦係数
a = pace perception constant (150)
b = mean coefficient of restitution for all surface types (0.81) あらゆるタイプのサーフェスの平均反発係数

Smiley全くチンプンカンプンですが、以下のSestéeのマシンによってテニスボールを30m/秒、16度の角度で発射させて測定します。

Surface-speed-tester

スピードは5つのカテゴリーに分けられます

CPRの数が大きければ大きいほどスピードは速くなり、以下のカテゴリーに分けられます。

Speed categories

カテゴリー別にトーナメントを分別してみました。なおこの情報は2012年12月のものです。

グランドスラム

カテゴリー1(slow) 全仏オープン
カテゴリー3 (medium) ウィンブルドン
カテゴリー4(medium-fast) 全豪オープン
カテゴリー5 (fast) 全米オープン

ウィンブルドンがカテゴリー3なのは意外でした。全豪オープンよりも遅いとなれば、サーヴ&ヴォレーの選手がウィンブルドンで勝てなくなってきているのはうなずけます。

マスターズ1000

カテゴリー1(slow) モンテカルロ、マドリッド、ローマ(クレー)

カテゴリー1(slow) マイアミ (Laykold® Cushion Plus System MS)

マイアミがカテゴリー1とは驚きでした。ハードですがラバーがひいてあってクッションとなり、スピードが吸収されてしまうのでスローとなり、ディフェンスに強い選手に有利なサーフェスとなります。

ジョコヴィッチが3度、フェデラーとマリーが2度優勝していますが、しかしディフェンスの強いナダルはまだマイアミではタイトルをとれていません。問題はスピン。スピードが吸収されるとともにスピンも殺されてしまうので、攻撃力が弱まってしまうのだと思います。

カテゴリー2 (medium-slow) インディアンウェルズ (Plexipave IW)

インディアンウェルズのカテゴリー2も意外でした。Plexipaveのサイトを見ると、カテゴリーは1となっており、ITFの定めるカテゴリーよりももっと遅くなっています。ナダルが3勝しています。ナダルを例にとるのは、彼が最もサーフェスによって影響を受ける選手ですので説明しやすいからですが、それにしても今年得意でないハードコートで全米を含めて4つのタイトルを獲得。プレースタイルにますます幅が出てきて来年の活躍が楽しみです。

カテゴリー3(medium) ロンドンファイナルズ (Greenset Grand Prix Cushion)

カテゴリー4(medium-fast) 上海 (DecoColor)
カテゴリー4(medium-fast) パリ(Gerflor Masters)

カテゴリー5(fast) ロジャーズカップ (Pro DecoTurf II)
カテゴリー5(fast) シンシナティ (Pro DecoTurf II)

(更新)

ATP500

カテゴリー1(slow) アカプルコ、ハンブルグ、バレンシア(クレー)

カテゴリー2 無し

カテゴリー3 (medium) ロッテルダム (Greenset Grand Prix)
カテゴリー3 (medium) ドバイ (DecoTurf)
カテゴリー3 (medium) 北京 (DecoTurf)
カテゴリー3 (medium) 東京 (DecoTurf)
カテゴリー3 (medium) バーゼル (Greenset Grand Prix)

カテゴリー4 (medium-fast) メンフィス (Plexipave)
カテゴリー4 (medium-fast) ワシントン (DecoColor)

有明はカテゴリー3で意外と遅いのですね。しかしインディアンウェルズはPlexipaveのサーフェスですが、ITFはカテゴリー2、マニュファクチャーはカテゴリー1と違った情報もあり、一概にCPRも絶対的な基準とはなっていないようです。

ボールによって違ってくる速さの感覚

現在ITFで認められているボールはなんと186種類もあり、重さと跳ね方がボールによって違い、サーフェスが速くてもボールがヘヴィーであると、サーフェスは遅く感じます。また気温の高い日中はボールが速く、気温が下がる夜は遅くなります。などなど・・・さまざまの要素が重なって、選手たちはそれぞれ、速い、遅いと感じるようですが、コンディションによって打つタイミングが違ってくるので大変ですね〜。

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6 Comments

  1. hakoさん

    お返事が遅くなってすみません。最近ラケットを新しく買い替えるために毎日試打をして、昨夜は何と夜中の1時まで打ってました。新しいラケット (Wilson Stream 99S) が間もなく到着しますのでちょっと興奮気味です。

    インディアンウェルズですが、トーナメントのコートは一律同じです。もし変えるとなれば、すべてのコートを変えなくてはならないのですが、たぶんこれからも同じサーフェスだと思います。

    tomo68さん

    昨夜カテゴリー5のサーフェスでプレーしてきましたが、ウィナーとエースが決まりやすいですね。膝にはとても悪いのですが、フラットが強烈に速く入ってきますので、フラットのよい練習になります。

    >日本では圧倒的に多い「砂撒き人工芝」(通称オムニ)が、スピードもバウンスも中途半端な感じで、国内で世界に通用する選手の育成に大きな障壁となっているのは間違いないと思います。<

    同感です。これは伊達選手なども指摘していた記憶がありますが、バウンスが低いとトップスピンの練習にならないので致命的ですね。今のテニスは打点が胸の高さですので、ここまで高く跳ね上がらなければ練習になりませんね。

    comoestamiyasitaさん

    ボールの種類はITFで認められたものだけでも186種類もあるので、ボールの違いは一番大きく影響するでしょうね。トーナメントでは男子と女子では使用されるボールも違いますし。

    moominさん

    選手が最も不満なのはサーフェスの違いよりも、ボールがトーナメントごとに違うことだとある選手が語っていましたが、サーフェスが同じでもボールによっては全く違ったバウンスになりますので、短期間で調整しなくてはならず本当に大変だと思います。

  2. 色々あるんですね、本当に。トーナメントからトーナメントへ旅をするだけでも大変でしょうに、苦手なサーフェスの時など選手は急にイヤになっちゃったりしないのでしょうか。「こんなコートでやりたくない!」とか。

  3. ふうむ、ボ-ルはどうなんでしょうね。

    ゴルフのダライバ-は夏と冬では同じボ-ルで20ヤ-ド程度違うそうで、冬の方が飛ばないんですが・・・。

  4. tennisnakamaさんにちょっと質問なのですが、最近フェデラーはポイントとってCome onってあんまり言わないですよね。スイスドイツ語?なのかは知りませんが、「ポメ」?みたいに聞こえます。何と言ってるかご存知ですか?

    記事内容に関係なくてすいません。なんか不意に知りたくなったもので・・・

  5. なるほど。。。
    専門誌などでもほとんど取り上げられない(取り上げられたとしてもここまで深堀りしてない)貴重なデータと分析、とても勉強になります。

    私が通っているスクールのコートは、「デコターフII」なので、カテゴリ5なんですね。
    でもそれに慣れてしまっているせいか、あまり速いと感じたことがありません。
    「バウンス」に関しては、自分の経験ではクレーが一番跳ねるような気がします。

    日本では圧倒的に多い「砂撒き人工芝」(通称オムニ)が、スピードもバウンスも中途半端な感じで、国内で世界に通用する選手の育成に大きな障壁となっているのは間違いないと思います。

  6. 物理の講義を聞いているような感じですね。数値化されていると素人にも解りやすいですね。IWは新しいスタジアム工事の経過報告が続々とアップされていますがここも同じようなサーフェイスになるのでしょうか?

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