激動の上海:錦織、ナダル、ワウリンカ、ラオニッチが初戦敗退

Oct. 8, 2014 Shanghai:

シード8までの選手は1回戦がByeとなり2回戦が初戦となりますが、ナダル、ワウリンカ、錦織、ラオニッチ(原因不明のリタイア)が初戦ですでに敗退しまうという事態が生じ、しかも将来が期待されるディミトロフやチリッチも敗れてしまい、戦場は乱戦模様となってしまいました。10時間ぶっ通しでセンターコートの全試合をTV観戦しましたので、各試合の感想を述べてみたいと思います。

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2週間休暇で試合を観ることがほとんどありませんので、興奮してついに夜中の1時から11時までぶっ通しで観戦をしてしまいました。今まで記事のために、興味のない試合もTVやストリーミングで観戦していましたので、かなりゲップ状態になっていたことは確かで、休暇はよい充電の期間となりました。

休暇中に皆様にコメントや生観戦報告で助けていただき、心から感謝しています。

では試合スケジュールの順番から。

迷いつづけるヴァヴリンカのテニス:シモン def ワウリンカ:5-7 7-5 6-4

全豪オープン決勝でワウリンカがナダルを破り優勝して以来、GSの勝利がもたらす影響があまりにも大きく、ヴァヴリンカはその呪縛からまだ開放されていないようにみえます。

ワウリンカが自問:パズルのピースが見つからない・・・』で全仏オープン1回戦で敗退してしまったワウリンカの苦悶を記事にしましたが、まだパズルのピースが見つからないのでしょうか。

シモンとの2回戦でも、最初は好調だったワウリンカですが、第3セットでヴァヴリンカの迷いが出てしまったように思います。

第2ゲームでシモンをブレークして3−0とリードしたワウリンカですが、FHが安定せずにエラーが出始め、その機を利用してシモンがギアアップ。あっと言う間にブレークバックされてしまいました。

しかしシモンのプレーもエラーが多く、ワウリンカが冷静にプレーしていれば、勝てたかも知れない試合だったのですが・・・メンタルでシモンに負けてしまいました。

全米オープンで錦織とフルセットで戦ったワウリンカを生観戦しましたが、あの時も最終セットはメンタルだったと思います。

シモン戦もダブルブレークを許してしまった第9ゲーム(4−4)は、信じられないほどの粗いテニスで、すべてがエラー。しかも少々外れるようなエラーではなく、ワイルドなエラーで目を疑ってしまいました。半ばヤケクソのようなプレーなのです。

ワウリンカは8ポイントを連続で失ってマッチポイントとなってしまったのですが、7ポイントがエラーというすざましさ。シモンが何もしなくても自滅していくワウリンカは、まるで楽天オープンの悪夢(伊藤にストレート負け)を繰り返しているようでした。

66ものunforcedエラーをおかしたワウリンカ(シモンは32)は、「問題があることを認めなくてはならない。(伊藤とシモンの)2試合とも負けてしまったが、自分ではそれほど悪いプレーではなかったと思っている。ただバッドマッチだっただけ。」と語っていましたが、「バッドマッチだっただけ。」というところがひっかかります。バッドマッチではなく、相手がすべてのショットをカウンターしてくるような選手だと、最後まで冷静にプレーできなくて、プッツンになってしまう・・・この問題をデ杯優勝のためにも、早く解決してほしいと願っています。

長い目でみて負けてよかった錦織の上海:ソック def 錦織:7-6(5) 6-4

マレーシアから2週間ぶっ通しの試合では、錦織の体が痛まない方が不思議です。ソックは今までの中で最高のプレーだったと思います。彼の試合を最初に生観戦したのは、2011年の全米オープンでしたが、それ以降観るたびに向上がめざしいソックで、完全に同期のハリソンを追い抜いてしまいました。

ソックの武器はサーヴです。豪快にみえますが、1stサーヴの平均速度は188kmで、錦織の181kmとそれほど変わりはありません。違いは種類の多さと、打つ場所のヴァラエティ、確率の高さ(72%)だったと思います。錦織はなかなかソックのサーヴが読めず、13のエースを取られてしまいました。

ソックは足が速く、ディフェンスもよくエラーがほとんどありません。しかも豪快なFHのウィナーをバンバンと打ってきますが、健康体の錦織なら負ける相手ではなかったと思います。

メディカルタイムアウトをとって、錦織は腰のマッサージを受けましたが、痛みはすぐ消えるものではなく、第10ゲームで勝ち急いでしまいました。30−30でネットラッシュをしてヴォレーのエラー。このエラーが致命的でソックのマッチポイントに。また勝ち急ぎのFHのエラーで、マッチポイントを落としてしまい、敗れてしまいました。

ロンドンレースのためにも上海は出場しなければならなかったのでしょうが、無理をしてピルスの勝利 (Pyrrhusとはギリシャのエピルス王で、日本ではなぜだかピュロスと呼ばれています)となったとしても、マリーのように腰の手術という結果を招いてしまっては元も子もありません。

「Winning a battle but losing the war.」という表現をよく使いますが、「地域的な戦闘に勝っても戦争に負けてしまう」という意味で、つまり「目先の成功を得ても、長い目でみて失敗に終ってしまう」ことは避けなければなりません。今回はゆっくりと休養して、バーゼルバレンシアで活躍してほしいと願っています。

驚異的な強さをみせるジョコヴィッチ:ジョコヴィッチ def ティーム:6-3 6-4 

ドミニク・ティームを何度も本ブログで紹介してきましたが、彼は21歳になったばかりのオーストラリアの星。全米オープンでは初出場にもかかわらず、4回戦まで進出して話題を呼びました。

ティームはジョコヴィッチが相手でドロー運が悪かったのですが、ソックと同じくメキメキと向上している選手の一人で、片手のBHでウィナーがとれる数少ない選手でもあり、爆発的なFHとサーヴで、ジョコヴィッチをかなり苦しめました。

ティームのテニスはダイナミック&エキサイティングで観客にもかなり受けていました。爆発的なウィナーが決まると会場が大拍手。アグレッシヴな攻撃型ベースライナーですが、ネットラッシュしてヴォレーで決めることもでき、今まで気になっていたベースラインから下がりすぎることもなく、トップ20に上がって来る日が間もなくやってきそうです。

彼はかわいいので女の子にも人気があるようで、「ティエム〜」と応援の声が上がっていました。しかし本当はティエムではなくてティームなのですが、日本でもティエムと呼ばれているようなので、ひょっとしてあの声の主は日本の女の子たちだったのかもしれません。
 
しかしジョコヴィッチの完成度の高いプレーには驚きました。ティームがどんなウィナーを打ってこようがジョコヴィッチは難なく返球してきます。恐るべきディフェンスで、ニュートライズが実にうまく、ディフェンスからオフェンスの展開が見事でした。
 
先週のチャイナオープンの決勝で、ベルディヒを6-0 6-2で完勝したジョコヴィッチは「あれほど完璧なプレーはしたことがなかった」と自身でも驚くほどの出来で、ベルディヒも「ジョコヴィッチのプレーは今までの試合の中でベストで、フェデラーやナダルよりもはるかに上だった」と語っていました。
 
おかしいのは第2セットでベルディヒが0−4となってしまったとき、屈辱のダブルベーグルとなってしまいそうで、「もうやってられないよ」と冗談でラケットをボールボーイに渡してしまったとか。この試合は観たかったのですが、アルプスをハイキング中で観れませんでした。
 
盲腸炎に苦しむナダル:Fロペス def ナダル:6-3 7-6(6) Nadal-lost-2nd-round-Shanghai-2014
下腹の痛みが激しくなってきたので、検査を受けた結果、盲腸炎だという診断を受けてしまったナダルですが、ウィンブルドン以降、右手首の怪我で全米オープンも欠場という最悪な年となってしまいました。
 
十分な練習ができなかったことは明らかで、ラリーがつづくとエラーをしてしまい、普段のナダルではありませんでした。抗生物質でちらしての出場で、激しい運動をすれば悪化することにもなりかねず、錦織のように負けてよかったと言いたいくらい、かなりハラハラの観戦でした。 Fロペスは本当に強くなりました。今まではBHが弱点だったのですが、相変わらずスライス一辺倒ですが、コンシスタンシーが増して、簡単にはポイントを落とすことがなくなりました。
 
サーヴ&ヴォレーを基本にしたオールドスクールのテニスを堪能させてくれる選手で、しかもイケメン。 私が彼のテニスで最も気に入っているのは、すべてが前進モードであること。サーヴはもちろんのこと、FHもチャンスがあればネットラッシュできるスイングで、体の前進モーションで打つショットはペースがあり、見習ってみたいフォームです。特にヴォレーの動きが素晴らしい。
 
5度のマッチポイントを免れたラッキーなフェデラー:フェデラー def マジェル:7-5 3-6 7-6(7)
 
Mayerの呼び方ですが、アルゼンチンではマジェル と呼んでいますので、マヤーではなく、マジェルと呼ぶことにしています。

感動的だったのはマジェルの不屈の精神です。マジェルが勝てた試合でしたが、センターコートで、ほとんどの観客がフェデラーの応援という、難しいコンディションの中で本当によく頑張りました。

マジェルは今年は90番台から徐々に上がって現在25位の選手で27歳。ハンブルグのクレーで今年初タイトルを取った遅咲き選手で、全米オープンで錦織と対戦しましたので、覚えていらっしゃる方も多いと思います。あの時のマジェルも、ウィナーをバカスカ打ち飛ばす過激派でしたが、コンシスタンシーがなく、エラーで自滅をする選手でした。

しかし今日のマジェルは違っていました。ウィナー級のショットを打ち続けられる選手に短期間で向上。しかしビッグポイントでかわいそうなくらい固くなってしまい、まず第1セットでセットポイントを2度もエラーで失ってしまい、第1セットを落としてしまいました。

マジェルはフェデラーがどんなにウィナーを打っても、カウンターできるディフェンス力があり、第2セットは落ち着いてプレーをして、6−3でフェデラーを破り第3セットへ。

二人とも片手BHですので、珍しい片手BHラリーが続きます。マジェルとフェデラーのサーヴがよく、二人とも前半は80%をいく高率なサーヴィスゲーム。フェデラーは初めての相手にはいつも苦戦するのですが、今日もマジェルのプレーに慣れるのに相当な時間を要しました。

しかしフェデラーのすごいさは、慣れてくると突然ギアがアップして爆走してしまうこと。しかしハイウェイの途中でガス欠となって、ゴールまで同じギアで走り切れないところがフェデラーの弱みなのですが、第3セットもフェデラーはほとんどポイントを失うことなく強いサーヴィスゲームをキープできたのですが、第10ゲームでエラーがつづき、あっという間に15−40で3マジェルのマッチポイントになってしまいました。

しかし固くなってしまったマジェルはイージーなヴォレーをネットにかけてしまいました・・・このような感じでマッチポイントになってはフェデラーにポイントを取られること5回。残酷でした。そんなマジェルに対して、もっと残酷だったのは上海の観客です。マジェルのショットがアウトすることを願って、チャレンジでは「アウト!アウト!アウト!」の連呼。

試合の後の記者会見で、フェデラー自身も「信じられないほどラッキーだった」「彼が勝つ試合だった」と認め、マジェルに同情しました。

「今までの試合の中で最もラッキーだった。」と語るフェデラーは、しかもナダルの初戦敗退でランキングが2位へアップするというラッキーさ。

マジェルはこの敗北を肥やしにして、もっと伸びていってほしいと願っています。応援する選手が増えました。それにしても、いくらフェデラーファンで満員だとはいえ、退場するマジェルに振り向きもせず、誰も拍手を送らない観客にまた失望してしまいました。

(追記)
午前2時。今ベルディヒvsカーロヴィッチのライヴを観ています。Twitterではベストにあげられる二人ですが、これほどガラガラなのも珍しい。

ベルディヒはH&Mのテニスウェアで頑張っているのですが、どうもいつもピントが外れてしまったウェアで、今回も私の好きなオレンジなのですが、とても買う気になれないファッション。ハンサムですし、テニスも抜群にうまいのですから、もうちょっと人気があってもよいと思うのですが・・・

と書いているうちに、あっという間にベルディヒが6-3 6-4で勝ってしまいました。

マリーとフェレールの豪華メンバーが登場。しかしまだ会場はガラガラ。

5 Comments

  1. atomさん

    誤りの訂正ありがとうございます。そうでした。バレンシアでしたね。

    moominさん

    ロペスの若い時を知っているので、あの時は年上の美女モデルをひきつれて、「僕はメトロ」なんて自称していたほど、甘ちゃんな感じがあったのですが、おっしゃるように最近は「男」の魅力がでてきましたね。これも自信のせいでしょうね。

    comoestamiyasitaさん

    TV観戦ですので全体の感じはつかめないのですが、それでも上海ガールズは元気ガールズたちですね。おおらかというか。しかしプレーの最中で声を出すのは、まだテニス歴の浅い国だからでしょうね。

  2. 上海にいる友人によれば、やはり中国ではテニスは???というスポ-ツで、タダ券もらってきてるという人も多いので、マナ-もなにもないみたいですよ。

    指定席なんか全然無視ですしね。というか、指定席という概念がないんですね。

    スポ-ツショウビズが無い国ですから、金払って他人の運動を見るという概念が希薄らしいんですね。

    それに、場所が東京で言えば千葉県の船橋市郊外みたいな工場地帯のど真ん中ですから、余程のテニス好きか、タダ券もらった動員客しかいない筈です。

    僕がATPファイナルで行った時も夜中の12時過ぎにタクシ-でぶっ飛ばして40分は上海市内までかかりました。

  3. ロペスはもとから美青年でしたけど、最近ぐっと男らしくなったと思うのは私だけでしょうか?ナダル戦をちょこっと見ましたが、つい彼の顔を見てしまう~(ボールでなく)・・・・

    Tennisnakamaさんが休暇で命の洗濯(大げさですか)をなさった効果が早くも記事にでていると思います。面白かった!

  4. 大事な人を忘れてました!
    ラファは虫垂炎を抱えての試合で観ていても心配なだけで、負けて残念というよりホッとしちゃいましたよ(^_^;)。
    ラファはウインブルドン敗退がケチのつき始めなのか、シーズン後半、本当にツイてない!(>_<)

  5. いや~、昨日は大波乱の水曜日でしたねぇ(・_・;)
    昨夜は皆既月食だったんですが、そのせいでしょうか?(笑)

    圭くんは負けてよかったかも・・・と、私も思います。
    こういっては何ですが、ロンドンレースのライバルの半分が早々にこけてしまったので、残りのトーナメントでシードを守れれば出場できる可能性がぐっと上がりましたし、せっかく出場権が取れたのに怪我で棄権なんてことにならないためにも、ここで休める時間ができたのですから、今回の敗戦はポジティブに捕らえて良いのではないでしょうか?
    ちなみにrennisnakamaさん、今年、圭くんはバーゼルではなくバレンシアに参戦です。

    フェデラーも危うく、波乱の波に巻き込まれそうだったんですね(^_^;)

    >マジェルのショットがアウトすることを願って、チャレンジでは「アウト!アウト!アウト!」の連呼。

    敬意を欠く行為ですね(-_-;)
    以前から、ラリー中に携帯で話をしている観客がいたりとマナーが良くないとは思っていましたが、応援するにしても礼儀は必要。

    それにしても、ベルディヒのドロー山は続々と対抗馬が消えて、楽ちんドローになっていませんか?(笑)

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