最後まで自己のテニスを貫き通して錦織を破ったペアー

Sep.1, 2015 US Open:

錦織圭への期待が大きかった分、1回戦で負けてしまったショックも大きく、しかも暑さと湿気でぐったりと疲れてしまい、しばらく呆然と会場でウォッカのカクテルを飲んでました。ペアーが最後まで自己のゲームを貫き通したのは立派でした。ゾーンに入ってましたね。しかしゾーンに入らせる前に食い止めることができた試合だったと思うだけに、今後につなげる意味でよい経験になった試合だったと思います。

Nishikori-USO-2015-2

ペアーはダスティン・ブラウンに似て、一か八かでバンバン迫ってくる攻撃型選手で、ゾーンに入ると手に負えない選手の一人です。彼らに共通するのは、強烈なサーヴの持ち主であること。

ペアーについては『ペアーのTweenerがめっちゃ面白い!』で以下のように簡単に紹介しました。

「ブノア・ペアー Listen to Benoit Paire pronunciation by Forvo Benoit Paireは日本ではペールと呼ばれているようですが、ペアーと読みます。フランス語で「なし」という意味です。2014年には26位まで上がったものの、怪我が多くてランキングも100番台に下がってしまった彼ですが、今年は怪我もなくランキングも26位まで上昇。

ペアーは強烈のサーヴのほか、FHだけでなくBHに優れ、ドロップショットで相手を翻弄するのが得意な選手ですが、感情が生で、コントロールができずに自滅してしまうのが欠点。しかし最近はフラストレーションが爆発することもなく、またショットも安定してきて、ジョコヴィッチに拮抗する見事なゲームを展開しました。」

Paire-BH

金曜日に行われた記者会見で「1回戦の対戦相手に対する作戦は?」という質問に、錦織は「え〜、あんまり考えていなかったもので・・・」という答えが返ってきました。それはよいのですが、具体的な言葉は忘れましたが、その後の言葉が気になりました。彼との試合はそれほど気にしていない・・・といった印象を受けたのです。

私は今回の敗退は、錦織チームがペアーレベルの選手をあまくみていたことも原因していたかもしれないと思うのです。これはあくまでも私の想像ですが、「準々決勝をどのように勝ち越して準決勝、決勝まで進むか・・・」という昨年の決勝の亡霊に取りつかれていたような気がします。

ペアーのような選手が怖いのは、ナダルを破ったブラウンも語っていたように負けるのを覚悟で攻めてくる決死隊だからです。「私のプレースタイルはリスクが大きくエラーが多く出てしまうのはわかっていますが、たとえ負けてしまっても、自身のゲームをやり通したことで満足感が得られるのです。」とブラウンは語っていました。

ブラウンもサーヴとドロップショットと爆発的なウィナーショットで相手にリズムを与えない選手です。ペアーはブラウンよりも技術的にははるかに優れた選手。ただ問題はすぐカッとくるhot headですが、今日の試合を観て、自己の弱点を克服するというより、武器に変えてしまっているような気さえしました。

カッとくる性格はすぐ変えられるものではありませんが、その怒りのエネルギーを集中力に転換するのです。つまりマッケンロー式のインテンシティーです。「くそ!今にみておれ!俺の実力をみせてくれるわ!」

Twitterでも書きましたが、「フレー、フレー、錦織〜!」と数人の日本男性が大声で何度もエールを送ったとき、「うるせい!」と頭にきたペアーはバーンとエース。15−40のBPで「くそ!」とエース3本。敵ながらそれは見事なエースで21本を打ちまくりました。

錦織がペアーのBHは3本の指に入るくらい素晴らしいと語っていましたが、FHも炸裂して素晴らしかったです。錦織が圧されてしまって、得意のFHやBHのウィナーショットが打てなかったのは、猛烈なスピードで打ってくるペアーのショットが大きな原因だったと思います。

ペアーが最初から猛烈にアタックしてくるのはわかっているのですから、錦織のボルテージを最初から上げてほしかったと悔やまれます。記者会見で「ちょっとスローなスタートでした。」と語っていましたが、今年はロペスやイズナーに敗退していますが、やはりサーヴの強い選手でアグレッシヴにアタックされると、第1セットを落としてしまっています。サーヴが強くない錦織にとっては挽回がきかなくなってしまうまずいパターンです。

Nishikori-USO-2015

テニスはサーヴに始まりサーヴに終わるといいますが、まさにこの試合もそうでした。いくらペアーがドロップショットで錦織のリズムを崩してきても、錦織がサーヴさえしっかりとれれば、ブレークされることはないのです。

ペアーの賞賛の記事になりますが、錦織自身がこの敗北がそれほどショックでなかったのは、ペアーが素晴らしいプレーをしたためだとわかっているからですが、こういう時は「運が悪かった」ということで前向きな姿勢で進むしかないのでしょうね。それにしても・・・「瞬間的な緩んだ気持ち」のせいで、ビッグポイントやマッチポイントを落としてしまうのは、今後も起こり得ることで要注意です。

昨年ジョコヴィッチが錦織に全米オープンで敗れてしまったときは、自身に対してものすごい怒りでしばらくは大変だったそうです。彼も「ちょっとした気の緩み」でビッグポイントを落としてしまったわけですが、「絶対あのようなルースな試合は行わない!」と誓ったジョコヴィッチのその後の活躍ぶりは目をみはるものがあります。

錦織のあっさりした記者会見を読んで、ジョコヴィッチを思い出し、もっと「悔しい!」という想いがあってもよいのでは、とつい思ってしまったのでした。

ではペアーの作戦とは? 記者会見でこのように答えています。なかなか示唆に富んだ会見でした。

Paire-USO-2015

2013年の全米オープンで圭に4セットで負けてしまった苦い経験があります。ですから今回は「何かをしなければならない」と思っていました。答えはサーヴだったと思います。

圭と対戦というドローをみたとき、ついてないと思ったのですが、せっかくのチャンスなのだから、試合を楽しもうと思ったのです。大きなスタジアムでプレーできる喜び。コーチが「勝ち負けを気にするな。この機会を楽しんでこい」と言ってくれたのです。

ですから最初から速いショットでアグレッシヴに打ちまくったのですが、結構ちゃんと決まって、それで自信がでてきました。圭は昨年は決勝まで進み多くのポイントをディフェンドしなくてはなりません。ですからプレッシャーが大きくナーヴァスになっていたと思います。

後半になると疲れてきたのですが、今日の勝利は圭がマッチポイントを落としてくれてラッキーでした。

今まで2度圭とプレーして2度とも敗れていますが、いずれもタフな試合でした。ですから今日は勝てると信じていたのです。「圭はフェデラーではありません」フェデラーは素晴らしいサーヴの持ち主ですが、圭は違います。しかし圭は決勝に残った選手です。今日は私のキャリアでベストな日となりました。

(追記)

今日はお高いウォッカ+ラズベリーのカクテル(1700円)とインドのチキンマサラ(1300円)とマンゴラッシー(800円)でランチ。その後ビール(1000円)、そしてマンゴのフルーティ(900円)などなど、飲食に約6000円ほど使ってしまいました。そしてチケットが2万円。かなりの散財をしてしまいました。

Vodka-USO

Chiken Masala-USO

錦織の試合がなくなってしまいましたので、半分やけくその気持ちで、明日のフェデラーを観るために4万円のチケットを買ってしまいました。衝動買いはいけません。一年のテニス予算がこれで吹っ飛んじゃいました。

5 Comments

  1. ペアーについての素晴らしい記事ありがとうございます。
    すごくバランスのとれた見方の内容でした。

    前のシンシナティでジョコビッチがペアー選手に大苦戦をしていました。
    それを見て危険な選手だなと思いました。
    ドロップショットやバックの強打、強烈なサーブ、ムラッ気など普通の選手じゃない個性的な選手だと思いました。
    しかし、最終的にはジョコビッチはふんばりきりましたね。

    錦織選手との違いが出てしまいましたね…

  2. 管理者 殿

    炎天下のアルコールは脱水症状の元ですよ。

    必ず、同量の水を後で呑まなければいけませんよ。

    緑茶もコーヒーも同じですね。

    テニスの時の水分補給で言えば、先に一定量水を呑み、呑んだ水分を汗で体外に出すというのが理想です。

    先に水分を摂取するのが一番のポイントです。

    汗をかいて血中濃度を高めて水分補給するより、先に血中濃度を薄めて汗をかく方がいいんですね。

  3. いやあ、西岡頑張りました。

    S3を僅差で落とした後のセット連取は凄かったですね。

    やはり錦織が「鋼のメンタル」と絶賛するだけのことはあります。

    錦織は今年もキタノホテルだったんでしょうか?

    一昨年も初戦敗退、昨年は最終日まで、今年も初戦敗退、となかなか2週目まで安定していけませんね。

    やはりトップシ-ド選手は、初戦、2戦目あたりまでは辛いでしょうね。

    相手は破れかぶれで向かってきますし、次の試合へのスタミナ配分とか余計なことを考えてしまうし。

    wowowは錦織初戦敗退で、株価が高値から22%も急落!とかネットで出てましたが、錦織とwowowの株価急落は無関係ですね。

    発表する経済統計は信用度ゼロ、打ち出す金融・経済政策は支離滅裂で、巨大な輸出入大国、中国経済をハンドリングする中国金融・経済担当セクションのあまりの無能ぶりを世界中の知るところとなり、その事実に世界マ-ケットは驚愕し、かつ動揺してるんですね。

    まあ、それが中国ショックの本質です。

    あれ、最近はなんかすんなりログイン出来てますね。

  4. 「圭はフェデラーではありません」って・・・ペアー、言ってくれるじゃないの(笑)
    ま、長いシーズン、こんな日もあるさっ!(^^ゞ

    西岡くんがGS初勝利を挙げましたね。良かった!
    最後は若さにものを言わせて粘り勝ち!?
    ともあれ、西岡くん、初勝利おめでとう。

  5. お久しぶりです。モモちゃんおとなしく家にいますか?
    飲み物ちょっと高すぎですね。でも飲まずにはいられないですよね!

    初戦ペアーって、簡単にはいかなそうだな~って思ってたんですが、どうしてこう嫌な予感って的中してしまうんですかねえ。記事にもある通り、圭君はもうトップ選手であり、下位選手は死に物狂いで向かってくるので、その辺りをもっと自覚してほしいですね。準備というか。。。これで1200ポイント失効する訳ですが、まあ積み上げてきた貯金があるので、最終戦に向けても、被害はそれほどなさそうかなと思います。
    それよりチームはもっとグランドスラムとマスターズにきっちり照準を合わせてほしいです。ってここ数年毎年思ってます。

    あとはラファ応援!チョリッチに連敗しなくて良かった。でもチョリッチも最近好きな選手です。これから録画観まーす。

    モモちゃんに宜しくです。

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