楽天ジャパンでポップコーンマッチの楽しさを満喫

Oct. 9, 2015 Japan Open(更新)

最近「ポップコーンマッチ」という表現がよく使われています。この意味をギルバートがTwitterで説明していますが、「大きなボウルに盛ったポップコーンを頬張りながらショーを見る感じ・・・つまり映画鑑賞のスタイル」なんだそうです。錦織 vs チリッチ、キリオス vs ペアーの準々決勝は前評判通りのポップコーンマッチとなりました。

Popcorn match

夜の10時から見始めて間もなく朝の9時。ジョコヴィッチがイズナーに楽勝してチャイナオープンとジャパンオープンのDay 8が終了しました。ニューヨークに戻ってから毎日11時間見っぱなしというテニス三昧の生活を送っていますので、相変わらず睡眠時間は2時間のみ。我ながらよく続くもんだと思いますが、いつポキっとくるかもしれず要注意です。

二日前に成田で別れた息子がサンフランシスコからまたニューヨークにやってきました。就職活動にいそがしい彼は、今度はNYの会社で最終ラウンドに残り、いよいよ最後の面接試験です。彼の分野はハイテックですが、金融業は人気がなくなって、若者たちがどっとホットなハイテックに集まってくるので、今回の競争率は二百人に一人だとか?「ここまできてダメだったらガックリだなあ」とため息をつく息子に、「ニューヨークにくる切符を会社に買ってもらっただけでもラッキーと思わなくっちゃ。」といい加減な励まし方をして、息子を見送りました。Good luck!

さてトーナメントですが、やはり準々決勝ともなると迫力が違ってきますね。眠い目をこすりながら、ちょっと感想などを述べてみたいと思います。

錦織 def チリッチ:3-6 6-4 6-3 

やはり錦織は第1セットが苦手なようで・・・やま場は第3ゲームの錦織のリターンゲームで、3度のブレークチャンスを逃してしまいました。すべて錦織のエラーです(汗)どうしても本調子になるまでに時間がかかってしまうようです。特にチリッチのようなビッグサーヴァーの場合は、エースを取られてしまうとブレークができず、案の定、2本のエースを取られてブレークチャンスを逃してしまいました。

二人のサーヴのバウンスの高さが違っていました。チリッチは175cm、錦織は85cmと90cmもの差があります。頭の高さまでバウンスしてくるサーヴをリターンするのは至難の技で、23ものエースをとられてしまいました。

サーヴはチリッチの方が上ですが、フットワークとショットメイキングは錦織の方が上回っています。しかしショットの選択のちょっとした誤りが大きな結果を呼んでしまったのは、第6ゲーム(3C−2N)でした。チリッチのサーヴです。あまいアプローチショットで錦織がネットラッシュしてしまい、チリッチにパッシングショットを食らって0−15。次は錦織の逃げのロブをチリッチがスマッシュして0−30とリードされてしまい、チリッチのギアがどんどん上がってきました。30−40のBPで、チリッチは錦織を左右に振り、錦織はFHを出すエラーでブレークされてしまいました。このブレークは痛かった。

チリッチのように豪快なサーヴが打てない錦織は、「どんなことがあってもサーヴィスゲームをキープしなければ」という焦りで硬くなってしまうようです。錦織の1stサーヴ率はわずかの40%。このためにアグレッシヴなプレーができず、チリッチのウィナー13に対して、錦織は5しかウィナーがとれない。ブレークされたままチリッチに逃げ切られてしまい、第1セットを落としてしまいました。

どうもビッグサーヴァーに対してはこのパターンが多くなってきているように思います。そうならないためにも、1stサーヴ率を上げていかなければなりません。

第2セットに入っても、錦織の1stサーヴ率は相変わらず低く、第3ゲーム(1−1)ではまだ38%の低率。チリッチは7割台で余裕があります。30%ものショットをコートの中から打つアグレッシヴなプレーができるのもサーヴがよいからで、錦織は18%とディフェンシヴなプレーに終わっています。錦織のような攻撃タイプの選手はやはりサーヴが強くなくては本領が発揮できない・・・

風が強くなってきましたので、錦織はラインぎりぎりを狙うきわどいショットは止め、安全圏に打ち始めました。そのためにウィナーも少なくなりましたが、エラーも少なく安全運転。2ndサーヴがよく、ブレークされる心配が減ってきたせいか、1stサーヴも上がり始め第11ゲーム(5−5)では63%まで上がってきました。しかしチリッチのサーヴは落ちることなく7割台でキープしていきます。なかなかしぶとい。

第12ゲーム(5C−6N)チリッチのサーヴです。長いラリーをつづけても、エラーを犯さない錦織に対して、チリッチのフットワークがあやしくなってきました。チリッチのサーヴにも慣れてきたせいか錦織のリターンがよくなり、深く入ってチリッチが返球できません。30−40のセットポイントへ。このチャンスを逃すことなく、錦織は2ndサーヴをアタックして、チリッチがFHを出してしまいセットポイントを獲得。このビッグポイントの取り方はさすがです。

いよいよ最終セット第3セットです。ここでモメンタムを錦織がシフトできるかどうか。最終セットの勝率がベストな錦織は、今年は28試合のうち14試合を最終セットで勝っています。この自信は大きい。チリッチは粘り強さに欠けるところがあり、最後はメンタルの勝負となりそうです。

錦織はBHのダウンザラインのウィナーを打ち始めると自信が出てきた証拠なのですが、まだこのショットが出ていません。クロスが多すぎてチリッチにショットを読まれてしまっています。

第4ゲーム(1C−2N)のチェンジオーヴァーで錦織はメディカルタイムアウトMTOをとりました。右肩をマッサージしてもらっています。痛そうな表情。まずい!サーヴ率が悪かったのも肩に痛みがあったからかもしれません。

いつも不思議に思うのは、MTOで影響を受けるのは、MTOをとった選手よりも、取らなかった選手に多いような気がします。「おっ!チャンス!相手は故障しているのだから・・・」といろいろ考えてしまい、それが仇になって力みすぎたり手を抜いてしまったり・・・チリッチもエラーが続いて自滅のブレークを招いてしまいました。

このブレークで錦織は肩の痛みも忘れた(?)ようで、ついに出ました!BHのダウンザラインのウィナーです。そして見事エースを打ち放って4−1のリード。このまま突っ切れるかどうか。

しかしさすがはGSチャンピオンです。チリッチはエースを3本連打。錦織のエースは3セットで4本だというのに、本当に羨ましいチープポイントの取り方です。

5−4。錦織のServing for the matchです。ビッグポイントで硬くなってしまうチリッチの弱点を知っている錦織は勝ち急がず、丁寧にラリーをつづけ、チリッチのエラーを誘っています。うまい。チリッチはBH、FHのエラーのあと、リターンエラーでポイントをすべて逃し、最後は錦織の堂々エースで勝ち取りました。あっぱれ!

準決勝は全米オープンで惜敗したペアーが相手です。チリッチといい、今年の楽天ジャパンは錦織の全米オープンのリヴェンジ大会のようで、勝って溜飲を下げてほしいもの。

ペアー def キリオス:3-6 6-4 6-1 

バッドボーイで知られるこの二人。ダイナミックなショットと豪快なサーヴのプレースタイルが似ているだけでなく、態度の悪さとプッツンの切れ方もそっくりで、どちらが先に自滅するかがみものといった、期待通りのポップコーンマッチとなりました。

ワウリンカをなじって、すっかり評判を落としてしまったキリオスは、ピンクのヘアをやめ、態度も大人しくなり、第1セットはフォーカスばっちりで快走。フォーカスが途切れなければ確実にトップ3になれる才能がありながら、やっぱり今回も切れてしまって自滅してしまいました。

ペアーもかならず一度はラケットを壊し、悪態をつき、感情を爆発させないと落ち着けない性分なのですが、キリオスと違う点は、爆発したあとは休火山となり、感情をコントロールしていくことができる点です。ペアーは26歳でやっとanger managementが部分的にできるようになったのですが、まだ20歳のキリオスはあと何年かかることやら。

ペアーはドロップショットにかけては天才的なタッチがあり、キリオスをキリキリ舞いに(面白くない駄洒落)。キリオスはかならず一回はツイナーをやらねば気が収まらない性分で、エンタテイメントを担当してくれました。しかし感情を抑えていたキリオスはもう限界に達したのか、第3セットはバカ打ちの連打。最後は怒鳴り散らして終わってしまいました。やっぱり性格は直らない・・・

この二人のベンチ姿が傑作でした。

第1セットでキリオスにダブルブレークされてしまったペアー。やっとブレークバックして2−5。いつも足を組むのが癖ですが、負けだすとベンチに寝そべってしまうこともあり。本当はナダルのように足踏みをするのがベストなのですが・・・とにかくユニーク

Paire 1st set 2-5

第2セット:3−2。なかなかブレークできない・・・

Paire 2nd set 3-2

第2セットの第8ゲーム(4−3)が終わって、トレーナーを呼んだペアーはシューズのサイドが破れてしまったのでテーピングを依頼しました。トレーナーも靴のテーピングは初めてで驚いたのかもしれません。予備のシューズくらいは用意していると思っていましたが。それにしてもこの大写しのテーピングはナイキのシューズのイメージダウンでしたね。

Paire 2nd set 4-3 taping shoe

第2セットをダブルフォルトでブレークを許してしまい、セットを落としてしまったキリオス。第3セットでもまたダブルフォルトでブレークされてしまい0−3に。ついに「クソーッ!」とウォーターボトルを何度も投げつけて怒りを爆発。

Kyrgios 3rd set 0-3 throw water bottle

その後ベンチに足を投げ出して「もうやってられないよ」

Kyrgios 3rd set 0-3

ペアーのサーヴは一時29%にも落ちてしまいましたが、プッツンしてしまったキリオスは自滅の道をまっしぐら。これでもか!とバカ打ちを連打して自爆で幕を閉じました。あ〜あ。ちょっと後味の悪いポップコーンとなってしまいました。

(追記:Photos by atom)

atomさんから錦織vsチリッチ戦の現地の写真をいただきました。掲載が遅れてしまいましたが、チリッチ戦での錦織の踏ん張りはなかなかみものでした。

Nishikori-JO-2015

Cilic-JO-2015

ペアー戦では残念ながら敗退してしまいましたが、相性が悪かったというか・・・錦織が相手だと異常にフォーカスして、ギアアップしてしまうペアーのプレーがあまりにもキリオス戦とのプレーと違っていて、こういう選手に当たってしまったことが不運でしたね。

Nishikori-JO-2015-2

6 Comments

  1. 息子がサンフランシスコへ発ち、夫がヨーロッパへと同時にいなくなり、モモちゃんと二人で自由を謳歌・・・なんてことは起こらず、アジアの試合観戦は昼夜が真っ逆さまとなり、まるでゾンビ〜のごとくフラフラ・・・皆さんのアメリカンシーズンの地獄の睡眠不足を味わっています。

  2. 錦織、準備万端での楽天でしたが、残念でした。

    意外にこういう余裕を持って臨んだ大会より、去年の全米みたいに「行けるとこまで、行ければラッキ-!」みたいな方がメンタルに余裕が出て、思い切りやれるんでしょうね。

    ATP500で3連覇はなかなか難しいですね。

    今年は前半で頑張ってましたから、若干、後半失速ぎみですね。

    ペア-は一頃のガスケみたいで、ちょっと苦手意識もあるんでしょうね。

    上海ATP1000は添田が頑張って予選勝ち抜き、本戦入りできました。

    添田は最近元気が無かったので、上海頑張ってもらいたいです。

    テニスとは無関係ですが、今回のラグビ-WCは凄かったですね。

    相撲の白鳳みたいなのが、走って、ぶつかり合う迫力は凄い!

    まさしく肉弾戦で、見てて思わず腰が浮くくらいの迫力でした。

    日本チ-ムも体格負けせず、頑張ってくれました。

  3. tennisnakamaさん

    写真を載せて頂き恐縮です。
    チリッチは、自分のダブルフォルトに拍手までされていたのに、ずっと観客に手を振りながら爽やかに退場していきました。
    記事によると、母国クロアチアに次いでの歓迎ぶりに感謝もしていたようで。
    本当に評判通りの好青年ですね。好感度UPです。
    来月、コーチのゴランと一緒に、圭くん&マイケルとのチャリティーマッチのために再来日予定なので楽しみです。

    ペアーとの準決勝、あれだけあったBPチャンスをミスで逃したことで、全米の時同様、ペアーに自信と勇気をを与えてしまいましたね(^-^;)
    なるべく早いうちに、相性の悪さというか苦手意識を払拭したいものです。
    ペアー、今日の決勝でもテープで補修したシューズで試合していました。さすがに表彰式にはキレイなトレーニング?シューズに履き替えて出てきましたけど。予備のテニスシューズが無いのでしょうか?それともゲン担ぎ?

  4. ペアーすごいですね。
    ディミトロフ戦でもそうでしたが、大事なところの集中力が違います。
    特にブレークポイントでのプレーに迷いがないです。
    自信を持ってエースを取ったり、サーブアンドボレーをしたり…
    自分のプレーに自信を持っているように思えました。
    そして作戦を変えてきたのにも驚きました。
    ドロップ連発の全米と違い、しっかりストロークのオーソドックスなスタイルを貫いてちゃんと打ち合っていました。

    対する圭くんは堅実で間違いは全く無かったと思うのですが、
    ペアーの自信に圧倒されてしまったような気がします。
    特にストローク戦で打っても、打っても粘り強くフォアのスライスで返されて、最終的に自滅してしまったと思います。
    もう少しスピンを使ったり、緩いボールを使ったらと思ったのですが、きっとそんな余裕がなかったんでしょうね。

    99%圭くん応援の中でしっかり勝ちきるペアーはすごいです。
    キリオスと中の悪いワウリンカが1番の親友というのも面白いですね。
    ペアーの今後が目が離せないですね。

  5.  あのペアーが表情を変えず、怒鳴らず、物に当たらず、ブチ切れず、最後まで冷静さを保って試合をやりとおしたことに驚きです(昨日の対キリオス戦と今日の対錦織戦)。

     キリオスとの試合、第3セットでのキリオスのふてくされた態度と投げやりなプレーは、以前のペアーのそれそのものでした。そのペアーが、今はこんなにも落ち着き払っている…。

     変われば変わるものですねえ。驚くばかりです。

     明日のヴァヴリンカとの決勝が楽しみです。

  6. ペアー勝ちましたね。シューズにテープ貼ってプレーって。それで勝てるんですね。すごいメンタル。
    有明でペアーのダブルス見ましたが、相手のサーブを受ける時に、立ったまま(まったく腰を屈めない)でいるのに驚きました。錦織選手は、苦手意識を持ってしまいましたね、きっと。
    明日の決勝も楽しみですね。

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