現地レポート:ヴァヴリンカは崩れず錦織を撃破

Sep. 10, 2016

「第1セットの錦織は動きが良く、終始主導権を握るアグレッシヴなプレーで、どう対応して良いのか分からなかった。」とヴァヴリンカが語っていましたが、錦織のプレーは彼の言うように全く隙を見せない完璧なものでした。しかし2セット目の後半あたりから疲れが出始め、エラーが増えてきました。会場の雰囲気とともに試合の様子を現地からツイートしましたが、のちにTVでも観戦し直しましたので、私の印象を加えながら、準決勝を振り返ってみたいと思います。

Twitter以外のコメントは赤文字で付け加えました。

USオープン準決勝:ヴァヴリンカ def 錦織:4-6 | 7-5 | 6-4 | 6-2

ここからジョコヴィッチとモンフィスの準決勝が始まりますが、モンフィスのプレーがあまりにもやる気のないようなプレーで、解説者(特にマッケンローは激怒)の不評を買ってしまいましたが、この試合については別に機会に紹介したいと思います。

第1セット:錦織 – ヴァヴリンカ:6-4

6時35分、 錦織 vs ヴァヴリンカの試合が始まりました。ジョコヴィッチ vs モンフィスが終わりましたので、会場はトイレに行く人、飲み物を買いに行く人が多く半分くらいに減ってしまいました。テンポの速いゲームであっと言う間に、錦織の2-1。錦織はアグレッシブに攻めています。エラーが無い!

(第1セットの錦織のエラーはトータルでわずかに3という少なさでした)

スタン(ヴァヴリンカが長いので、これからスタンと呼びます)がダブルフォルト。簡単なヴォレーミスも犯してしまいました。錦織は自信に溢れ、見事なコントロール。体重をかけて前進するパワフルなショットが決まっていきます。もうすでに完全に錦織のペース。ブレークして3ー2。マリー戦で効果を発揮したネットラッシュで、スタンを寄せ付けません。(錦織の4-2)

「第1セットの錦織は動きが良く、終始主導権を握るアグレッシヴなプレーで、どう対応して良いのか分からなかった。」と試合後スタンが語っていましたが、錦織の速いペースを崩すことができず、スコア的には6−2の感じの試合内容でした。

錦織のサーヴが良い!1stサーヴが75% ウィナーのような華麗なショットが全部入ってしまう。あまりにも完璧なプレー。これは夢?5−4で錦織のServing for the set

「錦織はネットによくやってきてチャージするので、プレッシャーを感じてしまった」とスタンが語っていましたが、マリーで成功したネットラッシュ作戦が功を奏しました。

第2セット:錦織 – ヴァヴリンカ:5-7

ギャオ!錦織のお得意なサービスリターンをエースで決めました!すでにスタンがブレークされてしまって、ちょっと残酷。解説者が「パーフェクトな試合をしてますね」感嘆!エラーが無いラリー。スタンはラリーを続けられない。(錦織の2-0)

2-1 錦織のサーヴ:しかしスタンは2度のGSチャンピオン。このまま引き下がる訳がない。彼のギアが上がってきた。それにしてもハイレベルなプレーで、予断を許さない。錦織が余りにもアグレッシブでエラーでBP。スタンのFHウィナーでブレークバックされてしまった。

2-2 スタンのサーヴ: スタンのギアがどんどん上がってくる(汗)  40-0  BHのウィナーをラインに放ってゲームをキープ。強い!ちょっと錦織が焦ってきた(?)あくまでも「冷静」と「フォーカス」を肝に銘じて頑張れ!

2-3 錦織のサーヴ: 二人ともエンジン全開。激しいラリーで錦織は辛うじてサーヴィスゲームをキープ。

3-3 スタンのサーヴ: スタンがプレッシャーでダブルフォルトをして0-40 。しかし錦織のリスクが多いショットでエラーがかさみ、ブレークポイントを全て失ってしまった。こんな美味しいブレークチャンスを逃してしまったのは本当に惜しい。スタンのギアがどんどん上がってきた。

「今日の試合に勝つためには、絶対に逃してはならないのが第2セットでした。ブレークするチャンスがたくさんあったのですから。これは本当に残念でした。第2セットで勝てなかったのは、最大のミステークでした。この勝利でスタンに自信を与えてしまったのですから。」と錦織はポストマッチの記者会見で語っていましたが、見ていても明らかに疲れているような鈍い動きで、ポジションにたどり着けずエラーが増えてきました。

4-4 スタンのサーヴ: さかんにネットラッシュを繰り返す錦織の賢明な作戦。スタンも負けず必死。互角の戦い。BPになってはサーヴで救ってしまうスタン。4度目のデュース。残念!リターンできずに、錦織はまたブレークチャンスを逃してしまった!

スタンがアグレッシヴになってきたのは2倍以上に増えたウィナーの数(スタンは15。錦織は9)でもわかります。

4-5 錦織のサーヴ: 危険なゲームです。ブレークされるとセットを落としてしまう大切な第10ゲーム。落ちつけ!出ました!スタンの鮮烈なBHのウィナー!敵ながらあっぱれ!錦織のドロップショットのエラーで、スタンのセットポイントです。まずい!しかし錦織はリスクを減らした堅実なショットで、スタンがエラーを出してブレークを逃れました。ホッ(汗だくだく)

5-5 スタンのサーヴ:錦織がBHを大きく出してしまいました。フォーカスが切れている。

5-6 錦織のサーヴ: ここでタイブレークにもっていかなければ!しかしスタンのサーヴが落ちないのでブレーク出来ない。錦織がネットラッシュしたが、ヴォレーがあまく、スタンにパッシンショットで抜かれてしまった。スタンがどんどん自信を増してアグレッシブに攻めてくる。

セットポイントです。スタンの余裕のあるBHダウンザラインのウィナーで、第2セットを落としてしまいました。(涙)

第2セットで急激に錦織のレベルが落ちてきました。1stサーヴは71%から49%へ下り、エラー(unforced errors)は3から16にも増えています。

第2セットの最大の敗因は、錦織はブレークチャンスをものにできなかった点でした。8回もチャンスがありながら、ブレークできたのはわずかに1回のみ。疲れていたとはいえ、今後の大きな課題です。

a little bit better, a little bit faster, a little bit heavier 、第2セットの後半から、少しづつベターに、より速く、よりヘヴィーに打ち始めたと語るスタン。錦織も彼がステップアップしてレベルを上げてきたと述べていましたが、最後まで崩れなかったスタンはさすがGSチャンピオンでした。

第3セット:錦織 – ヴァヴリンカ 4-6

0-0:スタンのサーヴ:ワイドサーヴがよく入って、錦織はコートの外に出されてしまいリターン出来ない。サーヴが落ちない。

0-1 錦織のサーヴ: 執拗にネットラッシュする錦織。ドロップショットです。撹乱作戦でスタンを揺さぶる錦織だが、エラーが目立ってきた。気を引き締めよう!

スタンのBHクロスがかなりのアングルをついてくるので錦織は取れない。錦織がネットにかけるエラー。元気がない。錦織がネットラッシュ。スタンのBHのパッシンショットのエラー。また錦織がネットラッシュ。スタンがロブをして出てしまった。ラリ=を続けたくないせいか。錦織のネットラッシュが増えてきた。

1-1 スタンのサーヴ:スタンも疲れが出てきたのか、ダブルフォルト。余りにもハイレベルでプレーをしてきた錦織はレベルを維持するのが難しい。しかし30-40のBPに、チャンスです!錦織のBHとFHのエラーでブレークチャンスを逃してしまった。もったいない!

「錦織が下がりすぎて、リターンに威力を失ってしまっていますね。」とTVでアナコンが分析。私も生観戦していて、どんどん下がっていく錦織が気になってました。

1-2 錦織のサーヴ:錦織はスタンに振り回されて疲れ切ってしまった・・・エネルギーがなくエラーの連発。ベースラインの長いラリーが続く。コートポジションをコントロールしているのはスタン。錦織のエラーが続いてBPに。しかしエースを打ってBPをセーヴ。ホッ

ところが錦織の不注意なFHのエラー。後ろに下がってしまってネットにかけるエラー。自滅のブレークです。

「錦織の位置ですが、第1セットよりも第2と第3セットは、8インチ(20cm)も下がってしまっています。スタンに時間を与えてしまっていますね。いつもの錦織の相手の時間を奪うプレーを行っていません。逆にスタンはベースラインに詰めています。」(アナコンのTV解説)

1-3 スタンのサーヴ:錦織がやっとベースから上がってきました。アグレシヴにネットラッシュしてスマッシュ。しかし錦織のショートボールを叩かれてしまいました。

1-4 錦織のサーヴ:2度のダブルフォルト。2時間が経過しました。15-40のBPへ。スタンがラケットを手から滑らしてしまいました。湿気があまりにもすごい。ここから錦織はサーヴ&ヴォレーでアタック。ヴォレーがあまくスタンにパッシンショットで抜かれても、ネットにかけるエラーを犯しても、S&Vを続ける錦織。

2-4 スタンのサーヴ:錦織はネットラッシュをやめません。ネットに来てはパッシングショットで打ち抜かれてしまいます。危ない綱を渡りながら、やっとスタンをショット力でブレークバックしました!スコアはこれでスクエアに。

3-4 私のいる席からは見えませんが、雨が降ってきたようです。屋根が閉まります。

3-4 錦織のサーヴ:屋根が閉まり錦織のサーヴから始まります。後ろの日本のおばさんがゲーム中に「そこを打って!」「走って!」「見て見て!」としゃべりっぱなし。ちょっとマナーが…気になって、観戦に集中できない!

4-4 スタンのサーヴ:スタンがネットにやってきます。そのタイミングがうまい。パワフルなショットで錦織のカウンターが浮きがち。

4-5 錦織のサーヴ:このゲームは絶対落とせない。簡単なBHをネットしてしまう錦織。重心が乗っていない。前に倒れてしまう重いサーヴィスモーションでネットにかけてしまう。なんで2ndサーヴでサーヴ&ヴォレーを? ネットラッシュしたものの、ハーフヴォレーが甘くスタンに叩かれてしまう。ネットに来たものの、スタンのパッシングショットの嵐にあって、ブレークされてしまった。

やることなすことがちぐはぐになってきている錦織。ネットラッシュの作戦が通用しない。どうしてアジャストしないのか? ショットもエラーを恐れてラインのかなり内側に打っているためにスタンはプレッシャーなし。「これだけブレークポントを逃してしまっては・・・」とアナコンが嘆いていました。

第4セット:錦織 – ヴァヴリンカ 2-6

ツイートしているとなかなか試合を見れませんので、このセットはほとんどツイートをやめて観戦。以下は家で翌日TVで観戦した時のメモで、ここからは赤文字なしです。

0-0 スタンのサーヴ:どうもスタンがゾーンに入ってしまったみたい。ラインぎりぎりに打つアグレシッブなテニス。スタンのドロップショットも成功。圧倒的に強い。40-0

スタンのポジションが上がってきました。スタンは32ウィナー、錦織は23ウィナー

0-1 錦織のサーヴ:スタンが錦織を左右に振ってネットラッシュしてヴォレーで決めました。お手本にしたい見事なネットプレー。錦織のショットが甘いので、スタンにウィナーを打たせてしまう。出ました!華麗なスタンのBHダウンザラインのウィナー。スタンの一方的なプレーでブレークされてしまった。

0-2 スタンのサーヴ:FHだけでなくBHも入らなくなってしまった錦織。錦織がアングルショットで攻めても、パターンを読まれてしまって、ダウンザラインのウィナーを打たれてしまう。焦る錦織は決めのショットもエラー。スタンが強い!サーヴだけでなくFHもBHも素晴らしい。

0-3 錦織のサーヴ:サーヴ&ヴォレーをしても、スタンのリターンが良いので、錦織はハーフヴォレーをネットしてしまう。ダブルブレークだけは避けなければ。スタンにもエラーが増え、サーヴィスリターンをネットしてくれて、錦織がサーヴィスゲームをキープ。

1-3 スタンのサーヴ:錦織はリターンゲームをギアアップしなければブレークできない。スタンのフォーカスが薄れ始め、不注意なエラーが増え始めた。ダブルフォルトをして0-40のBPに。錦織にチャンス到来!

ダウンすれば立ち上がる錦織!エラーを抑えて見事なラリー。錦織がネットラッシュ。スタンのパッシングショットがわずかに出てしまった!ラッキーでした。ブレークバックです。

これでスコアがスクエアに戻り、勝負はこれからです。

2-3 錦織のサーヴ:錦織が普段は簡単に入るドロップショットをネットにかけてしまった。二人はウィナーとエラーを重ねながら40-40のデュースに。錦織のショットが甘い。スタンのシグネチャーショットのBHのダウンザラインのウィナーでブレークバックされてしまった!このゲームを守り切れなかったのは決定的。

2-4 スタンのサーヴ:サーヴが落ちない!錦織がリターン出来ずに40-0 スタンのサーヴィスゲームは圧倒的に強い。

2-5 錦織のサーヴ:スタンはダウンザラインを使って錦織をポジションから外し、オープンスペースを作ってウィナー。得意なBHのダウンザラインを使ったこのパターンで勝ってしまう。錦織は力尽き果てて、ブレークされて2-6で敗れてしまいました。残念でしたが、相当疲れているようで、よくここまで頑張りました。

それにしても、人差し指で頭を指すあのスタンのジェスチャーだけは錦織の前ではしてもらいたくなかった!

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6 Comments

  1. 綿密な、スタン戦の振り返りのレポートを有難うございます。
     いわば天下分け目の3位争奪戦、直接対決でしたので、
      こうした詳細な記録は、とても大切だと思います。
    スタンのポーズ、日本でも話題(非難気味)になっていますが、
     一説にはスタンが以前の情緒に流される反省から、常に冷静を保つノルマを課し、
      試合でそれを達成した時にコーチに向かってするポーズだとか・・・
     誤解を招き入れるポーズで、その通りだとしても、避けてほしいですね。

    江口さん、5-7,6-4,5-2(30-0)での中断、左足太ももから膝にかけてテーピング
     リタイアは40-Av、担架で退場とのことです。
      初のWTA決勝、優勝でトップ100入りがかかっていました。
      本当に負傷の重くないことと、早期の回復を祈ります。

  2. 大連の天気は、今日は雷雨なんですよ。一度、10分くらい中断があって、再開後5分で棄権ですから、恐らく濡れたハ-ドコ-トで転んだんじゃないかなと心配してます。

    主催者側が、何としてでも夕方までに終わらせたかったんでしょう。

    中国は法律やルールが全く機能しない、トップの意向次第という人治国家ですから、ありそうなことです。

    僕の友人は、同じ状況で脛の骨が肉から突き抜ける複雑骨折しましたからね。濡れたコンクリ-ト面での転倒は凄く危険なんです。

    残念です。試合を朝から楽しみにしてたのに・・・。

  3. 大連WTA試合が止まったんじゃなくて、江口が最終セット5-2でリ-ドしてて棄権してました。

    5-2で棄権ですから、よほどどこか悪くしたんでしょうか?明日から東京東レWTAに本戦入りしてるのに・・。残念無念!

    • 5-2での棄権は突如起こった怪我とか故障とかが考えられますね。たいした問題でなかったことを祈っています。

  4. デルポの時も勝った後、あのポ-ズをやってましたが、「俺の方が、頭を使ったプレイで勝ったぞ!」という意味なんでしょうか?

    あれは、見てて不愉快な感じですね。

    デルポとの試合はデルポがバックハンドがまだまともに打てない、錦織には、単に、体力勝負で勝ったようなものなのに。

    管理者殿の記事、読んでて、トホホという位、錦織のくたびれきった感じが分かりました。

    とか、書いてたら大連WTA125の江口 実紗ちゃんが決勝、5-2の相手のサ-ブ40-Aであと2ポイント頑張って取れば優勝と思ってたら、雨みたいで試合が止まっちゃいました。

    • comoestaさん

      勝つといつも人差し指で頭を指差すスタン。普通は(1)「頭を使ってんの?」と相手をバカにする(2)「俺は頭を使ってんだよ」と自慢する、のどちらかを意味するジェスチャーで、デルポに勝ったスタンにインタビュアが思わず「その意味は?」と質問してましたね。そして錦織に勝った時も「その意味は?」と同じ質問をしていました。同じ質問を何度も繰り返しているインタビュアは「今度はどの頭の部分を使ったんですかね?」と言いたげな感じ。

      何れにしても公共でやるジェスチャーじゃないです。失礼に当たります。それを知らないところがスタンの変わったところなんでしょうが・・・

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