また起こってしまったフェデラーのシンプソン・パラドックス

2015/10/14 4

Oct. 13, 2015 Shanghai: ランキング70位の選手(ラモスービノラス)に初戦敗退をきしてしまったフェデラーですが、世界のメディアは健忘症にかかってしまったようで、フェデラーが1ヶ月前に全米オープンの決勝まで進んだ選手であったことを忘れてしまい大騒ぎをしています。フェデラーの実力が低下したのではなく、9月11日の記事『フェデラーはシンプソン・パラドックスを克服できるか?』でも紹介したシンプソン・パラドックスが起こってしまったのです。 [private] ラモスービノラス def フェデラー:7-6(4 ) 2-6 6-3 フェデラーはこの敗戦について以下のような分析を行っています。 初戦にしてはまあまあの出来だったと思う。第1セットでチャンスがあったにもかかわらず取れなかったのは残念だったが、第2セットではうまくプレーできた。 第3セットではどうしてもリードができず接戦となってしまい、第1セットのようにセットを取られてしまった。一つのサーヴィスゲームが思うようにいかなかったのが原因だ。 (注釈:第8ゲーム(4R−3F)でフェデラーはBHのエラーを2度おかしてBPに。ラモスがまったく エラーをおかさず、BHのダウンザラインの見事なウィナーでブレーク) 長いラリーになるとどうもうまくいかないようだ。ワン・ツー・パンチの速いテンポのゲームではうまくプレーできたのだが。彼は最高に好調でとてもよい試合をしたと思う。 二人の差はほんのわずかで、どちらに転んでも不思議でない試合でした。しかしフェデラーはビッグポイントが取れなかった。4度もブレークチャンスを逃しています。サーヴィスゲームでもリターンゲームでも獲得したポイントはフェデラーの方が多かったのです。総合ポイントではフェデラーは100ポイント。ラモスは7ポイント少ない93ポイントでした。 「長いラリーになると負けてしまう」というのは言い訳っぽく聞こえます。『フェデラーはシンプソン・パラドックスを克服できるか?』でも紹介しましたが、ポイントを多くとったにもかからわず負けてしまう・・・そのような試合が増えてきています。プロ選手では敗退率が最多のフェデラー。今回もそのパラドックスを克服することができませんでした。 ラモスは予選上がりで油がのりきっている状態。フェデラーはデ杯でランキングの低い選手に楽勝しましたが、実力を発揮できる機会はジョコヴィッチとの全米決勝が最後という油が切れた状態。試合慣れしていない上に、ナダル的なクレーの左利きのラモスに対して苦手意識が走ってしまい、自身の得意なゲーム展開ができませんでした。 それにしても驚異だったのは、クレー専門のラモスのプレーです。まるでナダルを彷彿させる左利きのディップ(スピンで急にストンと落ちるショット)でフェデラーのBHを攻めまくりました。しかもクレー選手の粘りでエラーが少ない。フェデラーがラモスのことを、he’s been in the groove. と表現していましたが、グルーヴの状態にしてしまったのはやはりフェデラーの詰めがあまかったからだと思います。 […]

キッチンシンク戦略とスパルタの戦いだった全米オープン決勝

2015/09/15 3

Sep. 15, 2015 US Open Final: Everything but kitchen sinkという表現がありますが、「あらゆる手段を使う」という意味で、省略してキッチンシンク(流し台)と言います。セイバー 、ドロップサーヴィスリターン(ドロップショットでリターンをする)など、前代未聞のクリエイティヴ戦法で戦ったフェデラーはまさにキッチンシンクのテニス。それに対抗して「This is Sparta!」と叫んだジョコヴィッチはレオニダス王のテニスでした。 [private] ジョコヴィッチ def フェデラー:6-4 5-7 6-4 6-4 フェデラーとジョコヴィッチのスタッツを比較してみたいと思います。 非常によく似ています。ウィナーの数とunforcedエラーの数ですが、ウィナーが多いフェデラーはその分エラーも多く、成功率としてはほとんどジョコヴィッチと変わりません。またネットでのポイントですが、成功率から言えば二人とも66%と同じです。 スタッツからもフェデラーの戦法はいかにアグレッシヴだったかわかりますが、その分リスクも大きく、成功率はジョコヴィッチとあまり変わりませんでした。 Becker said […]

フェデラーはシンプソン・パラドックスを克服できるか?

2015/09/11 4

Sep. 11, 2015: CNNで日本の水害の様子が毎日放送されています。心が痛みます。ヨーロッパでは大量の難民。ニューヨークで楽しそうな全米オープンの記事を書くのはためらわれますが、フェデラーのNo.18のGSタイトルが現実的になってきましたので、ここで最も気になるフェデラーが最悪記録者と言われるシンプソン・パラドックスについて述べてみたいと思います。 [private] シンシナティで優勝したフェデラーが、今までにない速いペースで快進撃を続けている全米オープン。待ちに待った18番目のタイトル獲得が実現しそうです。今日のワウリンカを破れば、ジョコヴィッチ(たぶん)との決勝。錦織の早退で出端をくじかれた全米オープンでしたが、2012年のウィンブルドン以来GSタイトルのなかったフェデラーの復活で、やっと全米が盛り上がってきました。 あらゆる分野で記録を更新しつづけるフェデラーですが、シンプソン・パラドックスのデータでは、トップのプロ選手の中で最悪の記録を更新しつづけていることをご存知ですか? 今年のフェデラーはすでに5タイトルを獲得していて、敗退した試合は7試合のみという好調なペースですが、7試合のうち2試合が取得したポイントが多いにもかかわらず、敗れてしまっています。 全豪オープン:セピに敗退 46 67(5) 64 67(5) サーヴィスポイント:セピ66%、フェデラー67% リターンポイント:セピ33%、フェデラー34% 3つのタイブレークで激戦を展開したマドリッドでのキリオス戦をみてみましょう。 マドリッド:キリオスに敗退:76(2) 67(5) 67(12) サーヴィスポイント:キリオス66%、フェデラー67% リターンポイント:キリオス33%、フェデラー34% シンプソン・パラドックスとは、このようにスコアの上では勝っているのに、結果としては敗れてしまう矛盾した現象のことですが、フェデラーの記録はアトランティック誌によると最悪なのだそうです。ベストのイズナーと比較してみましょう。 フェデラーのシンプソン・パラドックスは4勝24敗 4勝:取得ポイントが相手よりも少ないのに勝利 24敗:取得ポイントが相手よりも多いのに敗退 イズナーのシンプソン・パラドックスは19勝5敗 […]

あなたも真似のできる話題沸騰のフェデラー新戦法 “SABR”(セイバー)紹介

2015/09/04 14

Sep.4, 2015 シンシナティで突然ネットに向かって前進して、ハーフヴォレーでサーヴィスリターンをするフェデラーのアタックテニスが話題を呼びましたが、私も全米オープンで目の当たりに見ました。一か八かの突撃で、成功するとスリル満点の楽しいプレーで、SABR(セイバー)と名付けられました。その由来は? フェデラーはこれからも戦法の一つとして使っていくとか。私たちも真似のできるSABRのやり方をビデオで紹介します。 [private] フェデラーはウィンブルドンを終えたあと、練習でシンシナティに向けて遊び半分で始めたこの特攻隊リターンでしたが、重ねてやっているうちにタイミングも合い始め、どんどん向上してきたのだそうです。そして実際にシンシナティの試合で実験するという大胆な試みを行って話題が沸騰しました。 この新戦法にはシンシナティの時点では名称はなく、「カミカゼ」などと一部の人たちが呼んでいましたが(私は「特攻隊」と呼びました)、全米オープンの初戦マジェル戦(Mayerをアルゼンチンではマジェルと呼んでいます)で、初めてSABRとフェデラーキャンプが呼んでいることがわかりました。 SABRとは、S(Sneak) A(Attack) B(By) R(Rober)の省略で、セイバーを呼ぶのだそうです。 2015年シンシナティでの「セイバー」 まずシンシナティで全ての対戦相手に対して使った「セイバー」を紹介します。大胆にも決勝でジョコヴィッチとのタイブレークでも使い成功しました。 全米オープン1回戦の「セイバー」 この試合は私も生観戦しましたが、一方的なフェデラーの試合で内容としてはつまらなかったのですが、この「セイバー」を目の当たりにできたことがせめてもの救いでした。しかしリターンが浮いてしまう可能性が大きく、よほど余裕のあるときにしか使えない戦法。 Sneak Attackの名前が示すように、相手の意表をつかなければ意味がなく、頻繁に使うと「また来るな」と予想されてしまうギャンブル的なリターンで、逆にパッシングショットで逆襲される恐れがあります。 「セイバー」のやり方 普通のリターンは前にワンステップ前進してスプリットステップをしますが、「セイバー」では3ステップほど前進してスプリットステップします。 キーはサーヴァーがトスを上げた瞬間にステップをとりこと。 足もとに落ちてくるサーヴをリターンするのですから、ハーフヴォレーの感じでボールをブロックするのみ。スピードが速いサーヴには適用できず2ndサーヴが対象になります。 「このリターンはコミットすることが大切。中途半端に前進すると逆襲されてしまう。」とフェデラーが語っているように、突進して相手を驚かし、リズムを崩すのが目的ですので、ダメもとで行かなくてはなりません。 このビデオは全米オープン前に製作されていますので、「カミカゼ」と呼んでいます。 私も何度か以前やってみたことがありますが、よほど弱い相手しか通用せず、成功率は低いですが、楽しいショットですので一度お試しください。

全仏Day1: セルフィー乱入者にフェデラーが警備の不備を批判

2015/05/25 7

May 24, 2015 French Open:(更新) 初日の今日は錦織、フェデラー、ヴァヴリンカのトップ10選手、およびカーロヴィッチとガルシアロペスを除くシード選手全員がストレートで勝ち2回戦に進出しました。順調な開幕を切った全仏オープン…と書きたいのですが、フェデラーがシャトリエ会場を退場する途中で、会場に飛び降りた若い男性にセルフィーを強要されるという事件があり、フェデラーは警備の不備に怒りの発言をしました。過去に起こった事件も含めてビデオで紹介します。 [private] テレビでも映ったこの若者の非常識な行動に本当にびっくりしてしまいました。解説者も唖然。しかしもっと驚いたのは警備員の反応が遅いことです。たとえ目的が他愛のないセルフィー(自撮り)であっても、乱入は許されるべきではありません。もし彼がセルフィーとみせかけてナイフで襲いかかったら…おぞましいセレス事件が思い出されぞっとしてしまいました。 昨日もフェデラーは練習中に子供たちがコートに割り込んできたばかりで、いくら子供だと言っても、オフリミットのコートへ侵入は警備の問題。フェデラーは警備の問題は、私個人だけの問題ではなく、選手全員にかかわる問題なので早急な対応をしてほしいと要求しました。 上のビデオでも紹介されているように、全仏オープンにおいて過去にも不愉快な事件がありましたね。フェデラーは2009年全仏オープン決勝(vsソダリン)で、乱入者がフェデラーに帽子をかぶせようとした事件を経験しています。 また同じく全仏オープンで2013年のナダルvsフェレール決勝で、ゲイの結婚に反対する男性がプロテストを目的にトーチをかかげてコートに乱入した事件もありました。 今年は全豪オープン決勝(ジョコヴィッチvsマリー)で、移民を強制キャンプに反対する数人の活動家が前列に席を占め、メッセージを伝えるために二人がコートへ飛び降りる事件が起こっています。 しかし警備員のトレーニングは抜群で、すぐに選手(マリー)を取り囲み万全の警備態勢をとりました。しかし全仏ではたった一人のスタッフが10秒後にコートにやってきただけ!これにはちょっと驚きました。 テニスではありませんが、フットボールやサッカーでもクレージーなフィールド侵入者が結構いるんですね。ビデオで特集していますが、罪はないものの、素敵な裸体ならまだしも、贅肉のついた裸は見せられる方はたまったもんじゃありませんね。 (更新) 錦織 def マチュー:6-3 7-5 6-1  錦織は自信に溢れるショットメイキングが印象的でした。相手のマチューは33歳のベテラン選手。長期間故障で休場してなかなかカムバックがままになりませんが、それでも元12位を誇る実力の持ち主で、特にBHがすばらしく、錦織とスリルのあるBHラリーを展開していました。 マチューはブレークされてもディフェンシヴになることなく、アグレッシヴなプレーで、錦織にプレッシャーを与え続ける作戦は的中しました。錦織は第2セットでダブルブレークされてしまい、マチューに押され気味になりましたが、6−5のセットポイントでネットコードがインとなり、セットポイントを手にいれることができラッキーでした。 しかしマチューの勢いもここまで。実力では勝てないマチューはどうしもリスクの高いショットで無理をしなければ錦織に勝つことができず、第3セットではエラーを連発。欲をいえば錦織は1stサーヴ率を上げること。今日のような4割台ではこれからが苦しくなります。 錦織の華麗なBHに解説者が「Kidding me! […]

2015 全仏オープンの予想: 有数な賭けサイトでは錦織の優勝は5番目、しかしドロー運でいけるかも

2015/05/23 9

May 22, 2015: 全仏オープンFrench Openのドローが発表になりましたね。ランキング6位のラオニッチの欠場で7位のナダルはシード6となり、残念ながらすでに準々決勝でジョコヴィッチと激突します。錦織は比較的イージードローでフェデラーまたはヴァヴリンカと準決勝で対決です。 世界で有数なギャンブルサイトでの優勝候補のオッズを調べてみました。ほとんどのサイトが同じ結果で、本命はジョコヴィッチ。5番目が錦織となっています。オッズによって世界がどのように選手たちを評価しているのが分かり、興味深いものがありますので紹介します。 [private] Betting Oddsは賭け率のことですが、日本ではオッズで通っているようですのでオッズとします。まずオッズの方法ですが、大きく分けてDecimal(少数点)、American、Fractional(分子)の3通りありますが、ここでは最もわかりやすいDecimalで表示されているオッズを紹介します。 世界で最大のインターネットの賭けサイトのbetfairの例をとってみますと、5月22日のオッズ(Odds)は以下のようになります。オッズの順から3つのグループに分けてみました。 優勝の可能性が高い選手 ジョコヴィッチ:1.97(100円賭けると197円戻る)(ランキング1位) ナダル:6(100円賭けると600円戻る)(ランキング7位) マリー:11.5(100円賭けると1150円戻る)(ランキング3位) フェデラー:16.5(100円賭けると1650円戻る)(ランキング2位) 錦織:17.5(100円賭けると1750円戻る)(ランキング5位) ひょっとして優勝するかもしれない選手 ヴァヴリンカ:44(ランキング9位) モンフィス:70(ランキング14位) ベルディヒ:75(ランキング4位) フェレール:110(ランキング8位) 不思議なのはモンフィスへの期待が大きいこと。会場の応援でノリノリになれば恐ろしいパワーを発揮する、と予想する人が結構いるんですね。 優勝の可能性無しに近い選手 フォニーニ:230(ランキング29位) ディミトロフ:420(ランキング11位) […]

ぎゃ!20歳のキリオスがフェデラーを破ってしまった!

2015/05/06 10

May 6, 2015 Madrid: フェデラーはイスタンブールで優勝したものの、何かすっきりと勝てなくて苦戦が多かったのですが、ほとんど休む暇のないマドリッドの出場はやはり厳しいものがありました。それにしてもハイレベルな3つのタイブレークを勝ち取ったキリオスは見事でした。初戦で敗退となってしまったフェデラーですが、休養をとって、ローマでチューンアップし、全仏オープンでピークを迎えるのも悪くないと思います。ナダルは元のラケットに戻り、安堵感のあるプレーをしていました。彼の問題は自信のみ。安心して振り切れているようで、いよいよクレーキングの登場です。 [private] マドリッド2回戦:キリオス def フェデラー:6-7(2) 7-6(5) 7-6(12) クレーテニスはウィナーが決まらず、延々とラリーが続くので、選手も大変ですが観る方も大変。その中でハードコートのようなテンポの速いゲームで楽しませてくれたのがフェデラーvsキリオス戦でした。 何しろ二人でとったエースはなんと38!キリオスは22のエースを打ち放し、クレーテニスの観念からかけ離れた試合でした。 フェデラーとキリオスはスイスで練習をした間柄。公式には初対戦でも、お互いのゲームを熟知している二人は真っ向から激突。残念ながらフェデラーは惜敗しましたが、19歳でナダルを倒し、20歳でフェデラーを破ったキリオスはまさに未来のチャンピオン。テニス界に希望の光をもたらしました。 フェデラーはイスタンブールで優勝した後、双子のレオちゃんとレニーちゃんの1歳の誕生日を祝うためにスイスへ。そして休む暇もなく昨日の火曜日にマドリッド入りしたばかり。旅の疲れや練習不足にもかかわらず、言い訳を許さないフェデラーは、「無理をしてほしくない」という私の杞憂をよそに、連続3タイブレークの大激戦を戦い抜きました。33歳になっても堂々2位をキープし続けるチャンピオン精神に脱帽です。 フェデラーに辛勝したキリオスですが、彼の最大の課題は感情のコントロールに欠けること。まだ20歳なのですから仕方がないとしても、第1セットでラインジャッジに対して不満が爆発してプッツン。怒りを引きずってしまい、タイブレークを落としてしまいました。 しかし元フェデラーのコーチのアナコンが絶賛したのは、第2セットからのキリオスです。感情を白紙にもどし、リセットしなおして、サーヴ率が落ちてきたフェデラー(47%)から主導権を奪いとりました。 第3セットはどちらに勝利が転んでも不思議でない、ブレークポイント無しの拮抗したセットとなり、タイブレークでは手に汗にぎるmano a manoの決闘。タイブレークでマッチポイントを繰り返す二人は12−12へ。キリオスのFHのダウンザラインのウィナーが決まって13−12。キリオスの4度目のマッチポイントです。フェデラーがFHを出してしまい、キリオスの勝利が決まりました。 2つのマッチポイントをセーヴして勝利を勝ち得たキリオス。爆発的なサーヴ力。ガッツのあるFHウィナー。「作戦なんてないよ。I play my game. それだけだよ。」ナダルやフェデラーに対して萎縮することなく、堂々と最後まで自身を信じて戦ったキリオス。すごい選手が出てきたものです。フェデラーも以下のように賞賛していました。 最も手こずったのは […]

「ナダルのスランプは一過性」とフェデラーの元コーチ・アナコン

2015/04/25 3

April 25, 2015: ナダルの復活がなかなかスムーズに行かず、バルセロナで3回戦で敗退してしまいました。しかもクレーでの早退。リオに続いてフォニーニに2連敗してしまった彼に対して、「もうナダルはクレーキングではなくなった」などと、手厳しい声が聞かれる中、サンプラスとフェデラーの元コーチのアナコンが、テニスチャンネルの解説で「これは一時的なもの」と楽観的な感想を述べました。(^_^) [private] ナダルはモンテカルロではジョコヴィッチに準決勝で敗れたものの、復活が順調にすすんでいる印象を受けましたので、「完成度の高いプレーをみせてくれたナダルですので、もう一息。あとは自信のみ。」と楽観的な記事『ローランギャロスへの道:ジョコヴィッチ vs ナダル』を書いたところだったのですが・・・ しかしバルセロナのフォニーニとの試合で、エラーを頻発するナダルを観ていると、そう簡単には「自信」は生まれてこないことが分かります。 ポール・アナコンは、2年間タイトル無しのスランプに喘ぐサンプラスに全米オープンのタイトルを、また低迷するフェデラーに、2010年と2011年の2年連続ツアーファイナルズ優勝、ランキングNo.1、そしてウィンブルドンのタイトルをもたらした、言ってみればGSチャンピオンの救世主のようなレジェンドのコーチです。 アナコンはテニスチャンネルで解説を担当していますが、ナダルの敗退について以下のようなコメントしていました。 フェデラーやサンプラスが自信が欠如して勝てない時期に、私は「君はチャンピオンなんだ。不敵のチャンピオンの気持ちを思い出してほしい。」と言い続けてきました。フェデラーが見事に復活したのも、彼の底力を信じていたため驚きませんでした。 ナダルの実力が低下したとは思いません。絶えず向上しようとしているナダルのことだから、間もなく復活してくると確信しています。ただナダルは新しいラケットをシーズンの半ばから使い始めていますが、今はその時期ではないと思います。 そう言えばフェデラーが2014年に新しいラケットを何度か試験的に使っていましたが、どうもまだ感触がつかめず、元の90の小さなラケット面に戻してシンシナティで優勝しました。以下はその時のフェデラーのコメントです。 黒のプロトタイプのラケットで1ヶ月間プレーしてきたが、今の段階ではあらゆることをシンプルにするために、自分が最もよく知っているラケットでプレーしてみようと思ったため。新しいラケットに関しては、全米オープンの後からテストを続けようと思っている。 スランプの時は、ことを複雑化するのは禁物。フェデラーが言うように、あらゆることをシンプルにしなければなりません。今のナダルはいろんなことを一度にやり過ぎようとして、頭が混乱しているように思います。「ラリーを少なくしてアグレッシヴに攻める。」「FHをパワフルに打つ」これはよいのですが、ラケットに慣れない状態では、自信をもって正確なショットで攻めていくことはできません。フォニーニ戦では、ナダルらしくなくエラーが30もありました。ビッグポイントでのエラーが多かったのも、ラケットに対する自信のなさが大きく原因していると思います。 昨年の全米オープン以降から、新しいラケットで戦ってきたフェデラーは、上海とバーゼルで優勝し、今年はドバイとブリスベンで優勝しました。まだグランドスラムのタイトルはとれていませんが、堂々2位を走りつづけています。 以下は今年のドバイでジョコヴィッチを破り優勝した時のフェデラーのコメントです。 アグレッシヴさを失わないで、いかにコンシスタンシーを保ち続けるかがキーでした。時にはアグレッシヴさを増して、どれだけ効果があるかを試すことがありますが、(エラーを重ねてしまったりして)効果がなければ、アグレッシヴさを調節しなければなりません。 勝敗が接近した試合でしたが、攻守のバランスがとれたと思います。Right balanceこれなんです。そうするうちにサーヴがよく入るようになったのです。このトーナメントでは今まで思ったようなサーヴを打つことができなかったのですが、今日の試合ではよいサーヴを入れることができました。 接戦でキーポイントで勝負が決まってしまう場合は、エクストラの自信と自己を信じるエクストラのメンタルが必要となります。今日の試合でそれを得ることができたと思っています。今日の勝利はビッグステップとなりました。フィジカル的にも問題がなく、大きな自信を与えてくれました。 Right balanceとエクストラの自信とメンタル・・・難しいですね。今ナダルが必要なのは、パワーアップではなくて、深くてコンシスタンシーのあるショット。全仏まで後わずか1ヶ月。焦る気持ちは分かりますが、フェデラーのように、元のラケットに戻ってシンプル化してみてはどうでしょう。今までそれで全仏のタイトルを取りつづけてきているのですから。 (追記) […]

ドバイ:33歳のフェデラーが優勝、18歳のチョリッチが準決勝

2015/02/28 4

Feb. 28, 2015 Dubai:(更新) トップ3が出場した激戦ドバイのトーナメントは、フェデラーがジョコヴィッチを破って7度目の優勝を飾りました。ネットラッシュを増やし、果てしなくアグレッシヴに攻めるフェデラーテニスは惚れ惚れするほど強く華麗でした。ドバイでは18歳のチョリッチの準決勝進出で、最年長とティーンが活躍するエキサイティングなトーナメントとなりました。 [private] 果てしなくアグレッシヴなフェデラー 決勝:フェデラー def ジョコヴィッチ:6-3 7-5  ドバイの決勝はシード1とシード2の対決となり、エキサイティングな決勝となりました。昨年は二人は6度も対戦し3−3の同成績で、ライヴァルとして見応えのある好試合でした。 フェデラーは最初から最後までアグレッシヴにジョコヴィッチをアタック。自信に溢れているせいか、フットワークも軽く、鋭いショットメイキングでジョコヴィッチの追随を許しませんでした。 ビッグポイントに強いフェデラー ジョコヴィッチに7度もBPに迫られながら、7度ともセーヴしたフェデラーのビッグポイントの強さが印象的でした。逆にジョコヴィッチはわずかに2度のBPでしたが、2度ともセーヴすることができなくてブレークされてしまったことは、まだまだジョコヴィッチのメンタルに課題が残されているように思いました。 第2セットはかなりの接戦になり、フェデラーは5度もBPになってしまう危機に瀕しましたが、エースやサーヴィスウィナーでセーヴ。この試合でエースを9000を記録したフェデラーは、サーヴでジョコヴィッチとの差をつけました。 限りなくネットラッシュを続けるフェデラー サーヴ、ウィナー、エラーの二人のスタッツはあまり変わりはありませんが、大きな違いがあったのはネットラッシュの回数です。ジョコヴィッチの6回に比べてフェデラーは21回。成功率は4割で高くはありませんが、2ndサーヴでもサーヴ&ヴォレーをしてポイントを取ったフェデラーは、ジョコヴィッチに絶えずプレッシャーを与えていました。 フェデラーは時々ネットラッシュが遅れてポジションが下がってしまうことがあり、ジョコヴィッチにパッシングショットを食らっていましたが、それでもヴォレーのミスが減り、見事なネットプレーで観客を楽しませてくれました。それにしてもまるでホームゲームのような(まあ、家があるのでホームなのでしょうが)フェデラー応援一色の会場は、華麗なフェデラーのプレーにわき上がっていました。 今年はデ杯に出ないと宣言し「これからは僕のやりたいことをやる」との発言に、「なんと傲慢な!」とスイス国民から反感を買ってしまったフェデラーですが、ま、彼の気持ちも分からないでもありませんが・・・ちょっと表現がストレートすぎました。 来年はオリンピックの年。同年に一度はデ杯に出ていなければ出場資格が与えられませんので、出場するためにどっとトップ選手がデ杯に出場してきそうで、形骸化されたデ杯を象徴する来春になりそうです。 ジョコヴィッチのメンタルラプス メンタルラプスmental lapse(メンタルのレベルが落ちてしまうこと)を克服するためにベッカーを雇ったジョコヴィッチですが、トップ選手との対戦で追いつめられると、途中でエネルギーが下がってしうためか、フォーカスが落ちてエラーが増え、ディフェンシヴとなってしまう弱点をまだ克服できていないようにみえます。「第2セットはジョコヴィッチがとれるセットだった」とフェデラーも語っていました。 ベルディヒとの準決勝の第2セットの第8ゲームでも、急にジョコヴィッチのプレーがあやしくなり、エラー、エラー、エラー! ベッカーが「一体どうした?」と目を白黒。ブレークされたり、ブレークしたり。ウィナーを打つかと思えばエラー。アップダウンを繰り返して、第2セットを落としてしまったジョコヴィッチでしたが、このような一時的なメンタルラプスはフェデラーとの決勝でも見られました。 […]

生涯ベストのプレーをしたセピにフェデラーが3回戦敗退

2015/01/24 4

Jan. 23, 2015 Australian Open: フェデラーがセピに3回戦で敗退してしまうというショッキングな出来事が起こりました。エラーが55。1stサーヴが59%の低率。ダブルフォルトが9つ・・・どのスタッツをみてもフェデラーが勝てる試合ではありませんでした。問題は総合のポイント数はフェデラーの方が多いのに負けてしまったこと。ビッグポイントを落としてしまったフェデラー。セピが生涯ベストのプレーをしてフェデラーの回復を許しませんでした。まあ、こういう日もあるのかと・・・記者会見を要約しました。 [private] セピ def フェデラー:6-4 7-6(5) 4-6 7-6(5) セピに10連勝しているフェデラーに何が起こったのか? フェデラーが記者会見で説明してくれています。私の感想を付け加えてみました。 質問:今日は単なるa bad dayだったのですか? フェデラー:A bad dayだったというか、もっとうまくプレーするべきだった。最初の2セットを失ってしまったのは痛かった。カムバックできるチャンスがあったのだから。特に2セット目のタイブレークが大切だったのに、失ってしまったのは残念だった。 ( tennisnakama: 第1セットは第9ゲーム(4−4)で急にフェデラーのフォーカス度が落ちてしまい、ダブルフォルトを始めエラーが続出。0−40でブレークされてしまいました。 第2セットのタイブレークではフェデラーは4−1とリードしていましたが、セピがギアアップしてサーヴよし、ヴォレーよしのエラーのないアグレッシヴなプレーをし始め、フェデラーは圧されてしまいました。最後の2ポイントはフェデラーのあまいアプローチショットでネットラッシュして、両ポイントともセピのパッシンショットで取られてしまいました。フェデラーは焦ってくるとネットラッシュで早く決めようとする傾向がありますが、ポイントの確率は58%で成功率は低いのが気になります。) 質問:マッチポイントを見送らずに取れたのでは? […]

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