やっとディミトロフがタイトル獲得:フェレールを破ってストックホルム優勝

October 20, 2013 Stockholm:

記事の題名を『やっと・・・』とつけてしまいましたが、この気持ちはテニスファンを代表する言葉だと思います。ハース優勝でシニアの活躍は嬉しいのですが、次代をつぐ選手がなかなか育っていないのがテニス界の悩み。ディミトロフはジュニア時代から未来のテニス界を背負う選手として期待されてきた割には結果がともわず、テニスファンを失望させてきただけに嬉しいニュースとなりました。

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Dimitrov-won-Stockholm
低迷期を脱したディミトロフ

グリゴール・ディミトロフ Grigor Dimitrov はすでに22歳。フェデラーに似た美しいBHとフットワークの軽さから「ベビーフェデラー」と呼ばれ、イケメンでジュニアの頃からグルーピーのファンに追っかけられ、最近はシャラポヴァとのロマンスで、テニス以外のところで話題をふりまいてきましたが、どうも期待された割には結果がともわず、テニスファンをがっかりさせてきました。

しかもシャラポヴァとのロマンスが進行するにつれて、フォーカスがますます落ちてきたようで、『錦織圭に敗れたディミトロフはシャラポヴァ病?』でも書いたように、全米オープンから1回戦どまりで3連敗のという低迷。勝てないイメージが強かったディミトロフだったのです。

ディミトロフがスウェーデンのコーチと別れてすぐ、スウェーデンのトーナメントで優勝してしまったのは皮肉な話ですが、10月にヒューイット、モンフィス、ツォンガの元コーチのロジャー・ラシードを雇ったばかりで、すでにその効果が現れました。

ディミトロフ def フェレール:2-6 6-3 6-4

準決勝でディミトロフはペアーと対戦した時は、ペアーのテニスが面白くて(予想外なトリックショットを使った楽しいテニス)、ディミトロフのプレーはあまり印象に残らなかったのですが、ペアーの膝の故障も原因して、ディミトロフがフルセットでペアーを破り決勝に進出。

しかしまさか根性と粘りのメンタルのフェレールを破ってしまうとは驚きでした。

ディミトロフの運動神経はプロの中でも五指にはいるのではないかと思うほど優れていますが、ショットの選択とコンシスタンシーに欠けるために、なかなかビッグポイントがとれずに敗退してしまうことが多かったのです。弱いとされたメンタルの問題も、この優勝でかなり自信がついてきたと思います。

今年のマドリッドでジョコヴィッチを破ったのですから、トップ選手を破れる実力の持ち主であることを実証したディミトロフですが、問題は自己のテニスをまだ信じることができない点ではないかと思います。

第3セットはディミトロフにとって貴重なステップアップとなるセットでした。

フェレールは老化現象? それとも疲労?

第1セットでは二人とも緊張度が高く、不思議なブレーク合戦を繰り広げていました。最近のフェレールはつまらないところでエラーをおかすことが増えてきましたね。この現象はフェデラーにもみられ、コンシスタンシーが落ちてくるのが、老化現象(すみません)の最初の兆候だと言われていますが、鉄人フェレールもハードコートシーズンに入ってからは、マヤー(50位)、ソーサ(77位)、ツルスノフ(44位)に負けてしまって、ちょっとどうしたのか?と心配な傾向にありました。

ストックホルムでもフェレールはストレートに勝った試合はなく、91位のソックにも苦戦を強いられました。ベルダスコの棄権でラッキーな不戦勝で準決勝へ進みましたが、グルビス戦では彼の感情コントロールの欠如で救われましたが、決勝では第3セットでギアアップしたディミトロフに敗れてしまいました。

ハイレベルな試合内容でしたが、第7ゲーム(3−3)でフェレールがダブルフォルトをしてしまい、自滅のブレークを許してしまいました。このブレークからどうしても挽回することができずに終ってしまったフェレールですが、クレーに強い選手はどうしても後半のハードコートシーズンで疲れが出てくるようです。

第3セットでみせたディミトロフの進化のテニス

第2セットではエラーを少なくして、確実なプレーでフェレールのエラーを誘ってディミトロフが勝ち取りました。この勝利でディミトロフは自信が生まれてきたと思いますが、リスクの多いウィナー狙いのショットを打つのではなく、BHのスライスとスピンを交互に打ってフェレールのリズムを崩したり、ネットプレーで不意打ちを食わせたり、つまり頭脳を使ったプレーを駆使したゲームを展開しました。

ディミトロフは総合点としては最も高い点数を上げられる選手ですが、デルポトロのFH、ラオニッチのサーヴ、錦織の足とFH、などのように秀でた武器がないために、肝心なポイントがとれずに終ってしまうことが多く、そのために無理なショットを打ってエラーを出してゲームを失ってしまうことが度々でした。

勝てないテニスから勝てるテニスへ

ディミトロフは最近ショットにヴァリエーションが出て来て、ドロップショットやネットラッシュの楽しいテニスを披露してくれるようになりました。これは嬉しいのですが、まだドロップショットがあまかったり、ローヴォレーがとれないというテクニックの問題があってポイントを落としています。しかしこれも練習次第ですので、ヴァラエティに富んだショットメイキングの精度を上げると、ディミトロフの攻撃力は倍増すると思います。

ディフェンスからオフェンスへのうまいトランジション

足が強烈に速くフェレールのウィナーをカウンターしてしまうディミトロフですが、ラリーが続くとエラーを犯していました。

またいつまでもディフェンスでカウンターばかりしていて相手にウィナーを取られてしまったり、そうかと思えば、早く攻めすぎてオーヴァープレーで出してしまったり、とトランジションがうまくいかずにポイントを落としてしまっていました。

しかしこの第3セットでは勝ち急ぐことなく、かつディフェンシヴになることもなく、コントロールの効いたエラーの少ないプレーで、確実にポイントをとっていました。そうなると焦ってくるのはフェレールです。

落ち着いたプレーでビッグポイントを獲得

ディミトロフはせっかくフェレールを両サイドに振ってオープンコートをつくっても、最後に決めることができないという弱点がありましたが、ビッグポイントで落ち着いてプレーをすることができ、確実にポイントを決めることができました。

ディミトロフの今後の課題

一にもニにも「コンシスタンシー」エラーを減らさなくてはなりません。

BHを向上させること。BHに集中攻撃を受けてしまってネットにかけてしまっています。片手BHの宿命でしょうが、ヴァヴリンカのBHのビデオで研究してほしいと思います。

ビデオの研究効果

余談ですが、タイラー・デントというアメリカのサーヴ&ヴォレーの選手がおりましたが、どうしてもFHが弱く叩かれてしまっていました。背中に故障を負ってしまって引退を強いられてしまった惜しい選手でしたが、彼が解説者として語っていたことが印象に残っています。

フェデラーはどうしてあのような素晴らしいFHを打つことができるのだろうか? と毎日何度も何度もビデオで研究したそうです。スローモーションをみながら、自分のモーションと比較をしてみたそうです。

そうすると大きな違いはフォームではなく、スウィングスピードにあることがわかりました。そこで溜を十分につくってラケットスピードを増して思いっきり打ってみると、コンスタントに入るだけでなく、プレースメントもよくなってきたそうです。現役時代よりも今の方がFHはずっとうまくなったと語っていましたが、彼の言葉は的を得ていると思いました。

ちょっと手加減をしてラケットスピードを落とすと、コントロールが悪くなり出てしまうことが結構多いのです。これをコミットしたショットと呼んでいますが、「いつも同じタイミングで打て」と私も注意されるのですが、どこから打ってもこのコミットしたショットが打てるようになればウィナーが増えるだけでなく、エラーが少なくなってくるから不思議です。

(追記)
ロシアのブログでシャラポヴァが妊娠したというニュースが流れました。産婦人科に通うシャラポヴァを目撃した人がいるそうで、その産婦人科はお産で有名なクリニックだとか。おちおちと産婦人科でチェックもできないシャラポヴァですが、観戦中お腹が大きくなったマリア様の姿が奇妙にダブってしまいました。

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6 Comments

  1. こちらこそお久しぶりです!しばらくコメントをせずにすみませんでした。。。
    でもランキングボタンは押してました(笑)
    また一緒に応援出来る日を楽しみにしております:D
    確かに昨今のテニス選手寿命の長さは目を見張るものがありますね。
    10代の選手には、GSでの優勝は無理でもBest 8くらいには一人でも入ってくれれば・・・!と僅かな期待をしつつtennisnakamaさんの発掘する選手を楽しみたいと思います。

  2. スイングスピードの件は、仰るとおりだと思います。
    大事な場面で慎重にボールをプレースメントしようとすると、スイングスピードを落として確実にヒットしようとするせいか、却ってネットしたり、バックorサイドアウトしてしまうことが私自身よくあります。

    スクールのコーチも、クロスだろうがストレートだろうがスイングを変えずに(打点は変えますが…)プレーすることが大事と言っていました。

    ミスを恐れない強い気持ちが必要ですね。なので、最近は「攻め」てのエラーは気にしないようにしてます。Try Again, Fail Betterですね。

  3. tomo68さん

    怪我で手術が選手にとって最大の敵ですね。もとの体に戻ることはほとんど不可能なのですから、マリーの腰もその点が心配です。

    atomさん

    ウィリアム王子を待たせたなんて、ドーピング検査の厳しさを物語っていますね。トロイツキが検査を翌日に伸ばして長期間の出場停止の処分を受けていますが、ドーピングはどんな事情があろうとも延期することはできない・・・というよい宣伝になったみたいですね。

    でももし親が危篤の場合、検査のために死に目に会えなかったという事態が起こるのかも知れないと思うと、フレキシビリティのなさ過ぎる厳格さはちょっと首をかしげたくなりますが。

    araheuさん

    お久しぶりです。USOで一緒に応援していただいてありがとうございました。私のテニス仲間が私たちの応援を観て本当によく応援するので感心したと後で教えてくれました。

    10代で錦織のようにツアータイトルはとれてもGSのタイトルは無理だと言われていますね。今は昔と違って層がものすごく厚く、しかもすごくフィジカルなってきましたので、10代の体では7試合を2週間でやるのは無理だと思います。残念ながらセンセーショナルにGSでデビューする選手はもう観れないのかも知れませんね。

  4. 本当にやっとですね。というか、タイトルを一つもとっていないと思いませんでした。
    アラサー選手が頑張っているのも嬉しいですが、やはり新しいスター選手が出てくることが一番のテニス界活性化だと思います。一昔みたいに10代でグランドスラム優勝!というのは可能性低いですかね。。。

  5. 今回、マリア様がいらしていたようなので、マリア様の“愛の力”がディミトロフをさぞかし後押ししたことでしょう(笑)

    全然違う話でスミマセンが、先週、マリーが勲章をウィリアム王子から受けているニュースを見ました。
    その授章式に出発しようかという時に検査官がやってきて抜き打ちのドーピング検査をさせられたために授章式に遅刻しそうになったとか。
    いや~、厳しい世界ですねぇ(^_^;)。

  6. 将来を期待されていながら、なかなか「優勝」という結果が出せずにいましたが、とうとうやりましたね!
    今回得た自信により、もう一皮むけるんじゃないですかね?

    ミスが多く調子がイマイチそうなフェレールに対して、ディミトロフも硬くなっていたのか、1stセットを落とし、「あ~、やっぱりダメかも…」とストリーミングで観戦しながら、私のテンションも下降気味でしたが、それで逆に開き直れたのか、2ndセット以降は冷静さを取り戻してよく盛り返してくれました!

    ただ、tennisnakamaさんも心配されているように、体の酷使での怪我には気を付けてもらいたいですね。
    デルポンも数年前には同じような過密スケジュールの中で手首を故障して、復帰するまでに長い時間要しましたから。

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